第2349話 魔王国からの依頼。2(慣例の戦争の事を教えます。)
武雄達は奴隷の輸送について話し合いをし、それとなく結論が出た。
「ふむ・・・それしか手はないでしょう。」
エルヴィス爺さんが言う。
「すまんな。
エルヴィス伯爵殿とアズパール王には迷惑をかける。
強襲計画上は漏れはないんだが・・・たまたまその時に奴隷を輸送しており、拠点が強襲されたと見聞きすれば、逃走を計る・・・場所は人員が少ない場所となると踏んでいる。」
ヴァレーリが言う。
「陛下には内々で知らせしておくとして、ドワーフの方はどうなっていますか?
あそこは陸路での輸送経路だと思うのですが。」
武雄が聞く。
「・・・そこは手出しは出来んな。
一応、手は打っているんだが・・・ま、そこは魔王国の事だ、気にされなくて良い。
あくまでエルヴィス伯爵には越境して来た者達の対処をお願いしたい。
拘留する為にかかった費用は後に請求してくれて構わない。
ただ・・・第1軍が慣例の戦争後、1か月程度は不在だからな。
慣例の戦争後、早くても2か月後からの請求でお願いしたいな。」
「畏まりました。」
ヴァレーリの言葉にエルヴィス爺さんが頷く。
「あ、そうだ。
レバントおば様に聞いたんだが、数年後に小麦の大量輸出があるとか言っていたんだが・・・
これはキタミザト殿が言っていたウィリプ連合国との戦争に起因しているのか?」
「はい、占領地向けの小麦です。
追加でカトランダ帝国にも売る必要があるだろうと考えて、見積もりを依頼していると思います。」
「ふむ・・・両国がどのくらいの領土を獲得するかはわからんが・・・2貴族領程度だな?」
「そうなる予定です。
具体的な量は現在王都で試算をしている最中です。」
「そうか・・・ん~・・・わかった、それとなく皆に言って生産量を少し上げながら備蓄量を増やしておくようにするか。
ちなみに、キタミザト殿、今年の後半か来年前半にかけてアズパール王国から小麦の輸出は出来るか?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「我が国の陛下からは輸出に制限はかけないと言われています。
なので輸出は可能ではありますが・・・量的にはどのくらいでしょうか。」
「まだまとまってはいないが・・・最低でも今回輸出して貰った量の4倍は欲しい。」
「んー・・・輸送力の問題で一括では難しいと思いますね。
分割は可能ですか?」
「あぁ、すぐに全量が必要ではないからな。
毎月か、2か月毎にしても構わない。」
「そうですか・・・たぶん今回と同じような経路で買うと思いますので、我が国の王都と西側から集めるとなると思います。
ただ、量が量なので輸送費用がなぁ・・・ん~・・・ダニエラさん、こちらとしては5倍までは何とか集められるようにはしても良いですが、輸送費用も含めた単価がどうなるかは・・・前回の4倍の費用を見込んでいれば良いかはちょっと現時点では言えません。」
武雄が考えながら言う。
「そうか・・・なら、第1軍を通じてレバントおば様に見積もりは依頼するか。
5倍までか・・・ならキタミザト殿、今回送って来てくれた小麦の5倍の量の見積もり依頼をするからよろしく。」
「はぁ・・・わかりました。
エルヴィス伯爵、すみませんが・・・」
「まぁ、致し方あるまい、何とかするしかないだろう。」
エルヴィス爺さんが諦めながら言う。
「それと、これは迷惑ついでの情報の提供だ。」
ヴァレーリが武雄とエルヴィス爺さん、アリスの前に紙を置く。
「「「失礼します。」」」
3人が書類を見る。
「「「・・・」」」
3人が難しい顔をさせて見ている。
「今回の慣例の戦争での参加する軍の兵士数だ。」
ヴァレーリが言う。
「・・・ファロン子爵とパーニ伯爵の2500名ずつというのはわかります。
ですが、ベッリ男爵が1000名で、ダニエラさんが5000名ですか・・・」
武雄が言う。
「うん、少なくしようとしたんだが、ダメだった。」
ヴァレーリが言う。
「はぁ・・・ん?ファロン子爵とパーニ伯爵の所にオーガが45体ずつとありますけど?」
武雄が紙を見ながら言う。
「計画は聞いているが、流石に教えないぞ。」
「は゛ぁ゛ぁぁぁ・・・」
エルヴィス爺さんが天井を仰ぎ見て、ため息をついている。
「・・・まぁ・・・そうなるだろうな。」
ヴァレーリが言う。
「ダニエラさん、魔王国は侵攻はしないんですよね?」
「我も王軍もアズパール王国に侵攻する気はないし、そっちに目は向いていない。
パーニとファロンも侵攻自体はする気はないが、戦争で戦果は欲しいのだろう。
それと兵士から犠牲者を出させない為だろうしな。」
「はぁ・・・オーガも脅威だが・・・ベッリ男爵とな。
確か、魔法師部隊だったか。」
エルヴィス爺さんが言う。
「一応少なくするようには言ったんだが、パーニ伯爵達と打ち合わせ済みとの事で変更は利かなかった。
エルヴィス伯爵殿、キタミザト殿、対応をお願いする。」
ヴァレーリが言うのだった。
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