第2347話 武雄が居ぬ間に受け取りします。(農業部門の出番です。)
武雄達が昼食を取っている時のエルヴィス伯爵邸の客間。
エルヴィス爺さんとアリスも昼食を取っていた。
「カレーとコロッケとクリームコロッケとな。
食後のスイーツは餡子という事じゃが・・・攻めるの。」
「タケオ様はヴァレーリ殿とグローリア殿の胃袋を掴むのでしょう。」
「はぁ・・・わしらもそうじゃが、料理の力というものは凄い物じゃ。」
「はい、それも大した金額ではないというのが良い所ですね。」
「この程度の出費で魔王国の陛下とドラゴンロードが満足してくれるのであれば安いものじゃの。
あのお二方なら王都に正式に訪問されたら凄い豪勢な食事になるじゃろうからの。」
「豪勢ですか・・・同じ金額でタケオ様がやったらどうなるのでしょうか・・・」
「・・・とんでもないものが出来上がりそうじゃの。
まぁ、タケオが居てくれたおかげで、隣国の王を持て成す料理が出せるのだがの。」
「タケオ様がいらっしゃるので、隣国の王が遊びに来るというよくわからない事が起こっているのですが。」
「・・・良し悪しという事じゃろう。
それに総じてみれば外交も領内も良い影響が出ておる。」
「そうですね・・・ん?」
アリスが頷いてから首を傾げる。
「アリス、エンマとうーちゃんが来たわ。
タケオが持ってきたサツマイモじゃなかった、紅甘を渡して。」
チビコノハが机の上に現れて言う。
「何か持って来ていましたが、玄関横に置いて、食堂に向かう際に子供達に言付けをしたと聞きましたが。」
「うん、タケオが戻って来る時に精霊通信で打ち合わせ済みよ。
ベルテ一家で栽培を試験的にする事になったから。
アリス、玄関に行こー。」
「はいはい。
お爺さま、話してきます。」
「うむ、タケオ達はまだ食事に時間がかかるじゃろうが、あまり長く話さない方が良いじゃろう。」
「はい。」
アリスが立ち上がり、玄関に向かうのだった。
・・
・
エルヴィス伯爵邸の玄関にて。
「ん~・・・小ぶりだねぇ。」
ウカが木箱の中を確認しながら言う。
「うーちゃん、どうかな?」
チビコノハが聞く。
「・・・この地が国内でも東北部に位置していて、割と気温も低めなんだけど・・・
苗作りと苗の植え替えがなぁ・・・今から苗を作る為に植えるとして間に合うのか・・・いっその事ジャガイモみたいに親芋ごと埋めてみるのもありかなぁ・・・ん~・・・
コノちゃん、やるだけの事はやるわ。
それとタケオに依頼して、来季の種芋は3月末か4月上旬に植えられるように輸入してほしいの。」
ウカが言う。
「なら、3月中旬くらいにあれば良いかな?」
「うん、それで良いよ。
サツマイモは割りと育てやすい野菜だけど・・・帰りに藁を買ってこようかな。」
「確か、延びた茎や葉が地面に着くと実を作っちゃうんだっけ?」
「うん、ジャガイモは1/4カットした親芋を植えて行けば後は育つのを待つだけなんだけどねぇ、サツマイモは親芋から生えた茎を切って、それを植えて根づかせるんだけど・・・横に生える茎が地面に着くとそこから根が出て実を付けちゃうから定期的に茎を移動させないといけないんだよね。」
「生命力強いんだね。」
「そうだね。
サツマイモは元々鹿児島でしょう?
火山灰の影響で栄養が少ない所でも育つ野菜だからね。
むしろ畑に栄養があるとダメになるんだよ。」
「ふーん。
そこに来て、手間を惜しむと小ぶりしか出来ないのかぁ。」
「そ、大本の所に出来る最初のサツマイモに葉の栄養を全部送りたいしね。
途中の茎に出来る実に栄養を送ったら分散して全体的に実が小さくなっちゃうのよ。
藁を敷いても根を張るのを防げはしないけど、出来にくくはさせられるしね。」
「小麦の収穫は来月でしょう?」
「うん、その時に藁が大量に出るだろうから格安で集めて敷いてみるね。
ま、これもキタミザト家の農業部門の仕事だね。
とりあえず、今年は作付けを何とかするのと、来年の種芋にする個数を用意する事に注力するよ。
あとは皆で少し食べれるぐらい出来れば良いけど・・・様子見だね。」
「わかった。」
チビコノハが頷く。
「なら・・・これとこれと・・・これとこれと・・・」
ウカが少し大きめのサツマイモを渡す。
「うん?」
「こんなにいっぱいいらないよー。
エンマ達ともちょっと食べるけど、これはエルヴィス家とキタミザト家で食べて。」
「わかったー。」
チビコノハが頷くのだった。
アリスとエンマが精霊達とは別に話をしている。
「肥料の試験は順調なんですね。」
「はい、キュウリが驚くぐらい大きいです。
ただ、あまり大きくすると食感が良くないので、植えてから収穫までが通常より短くなる感じだと感じています。
高性能肥料は成長促進の効果があるのかもしれません。
経済局の方とドナートとボーナが打ち合わせをしていて、早く収穫出来るのなら、肥料を入れなおしてもう1回育てられるのかの試験もしようと考えています。」
「・・・1年に2回の収穫ですか?」
「はい、そうすれば収穫が2倍になりますからね。
増産が出来れば、価格が安定すると考えています。」
「なるほど・・・良い事尽くめなんですね。」
「はい、今はです。
思惑としては、2回収穫した後に畑の栄養が枯れ果ててしまってはいけないので、2回栽培した後の畑がどうなるかも確認しておきたいというのもあります。」
エンマが言う。
「なるほど、色々と確認しないといけないのですね。」
アリスが頷く。
「それがキタミザト家の農業部門の仕事です。
米以外は肥料の試験と、肥料の使い方を物にする為にあるようなものです。
あ、そうだ、タンポポも凄い勢いで育っていますよ。
こちらも年に何回出来るのかニルデとジルダが確認する事にしています。」
「ほぉ、順調なんですね。」
アリスが感心するのだった。
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