第2329話 ブリアーニ王国と魔王国では。2(あれ?ジーナ正解?)
魔王国 ヴァレーリの執務室。
ヴァレーリとフレッディ、アンナローロの話し合いが続いていた。
「そこは第6軍になります。」
フレッディが言う。
「新設軍か・・・そのアズパール王国のこの駐屯地に派遣される規模はどう考えている?」
「1個大隊と支援部隊として補佐官2名と1個中隊が入ります。」
「・・・うん・・・他の者達は王城か?」
「1個大隊と支援部隊の3個中隊が王城、1個大隊と1個中隊はパーニ領の東側の駐屯地に入る予定です。」
「・・・うん・・・つまりはファロンとパーニに監視を付けるという事か?」
ヴァレーリが聞く。
「いいえ、違います。
今までは2領主で各々アズパール王国と面してはおりましたが、実質はどちらか1か所でした。
その1か所に2領主が2500名ずつ送り出し、防衛をしていたのですが、今回の領地異動ではファロン子爵がアズパール王国、パーニ伯爵がデムーロ国に対応をするでしょうが、どちらも今と同じ3000名を維持して頂こうと考えています。
そして戦場には2500名で・・・となると派遣する軍が必要になります。
本来なら足らない分の2500名、約2個大隊が必要ではありますが、まずは1個大隊が即応し領主軍と共に足止めをして貰い、王都から残りの1個大隊の到着と他の王軍からの援軍を待っていただくというのが主になります。
あくまで即応大隊を置いておかなければいけない状況だからです。
陛下のおっしゃりようでは身内が何かしていると言っていると同意義ですが?」
フレッディが言う。
「・・・ま、表向きはそれで良いだろう。」
ヴァレーリが呆れながら言う。
「表向きも何もこれ以外にはありませんので。」
フレッディが言う。
「・・・で?指揮官補佐、こういった話になっているのはわかるが、ここで監視と言わないのはなんでだ?」
ヴァレーリがアンナローロに聞く。
「常に表向きの事を言っておかないと論点が監視に向いてしまう可能性が高いからです。
事実、領地替え案の中には監視に重きを置いてしまっていた物もありました。
国家として『外敵から国を守れる配置を考えなくてはならない』という大前提を熟しつつ、地方領で不穏な事があった際にも対応出来る配置も入れ込むという形になりました。
そこで各軍で話し合った結果がこれです。
そして各指揮官殿方は表向きの事を話すようにしている・・・みたいです。」
アンナローロが言う。
「最後は弱気だな。」
「陛下、指揮官達がなんかしているんです。
不思議だなぁと思いながらも特に支障はありませんので、放置しています。」
「そうか・・・支障がないなら良い。
それにしても駐屯させる大隊はどんな編成なんだ?」
「はい、1個大隊は5個中隊で成り立っていますが、第2軍より2個中隊が、第4軍より1個中隊、第5軍より2個中隊が入ります。」
アンナローロがヴァレーリの疑問に答える。
「・・・待て。
第5軍から2個中隊?1軍は3個大隊編成だから合計6個中隊、魔法師を第5軍から1200名を抜くのか!?」
「はい。
各大隊に400名の魔法師を配備します。
第5軍も了承しています。」
アンナローロが言う。
「待て待て。
アズパール王国は過去の実績と偵察で慣例の戦争では、魔王国側の兵士5000名の内、魔法師が400名程度しか確認されていないんだぞ?
そんな所に2個大隊で800名の魔法師を出すのか?
いくら数が居ないからと言っても魔法師が過剰だぞ。」
「はい?
陛下、お言葉ですが、今回の慣例の戦争でベッリ男爵に参戦を頼みましたよね?」
「ああ、頼んだ。
やり過ぎるなと言わないとな。」
「そのベッリ男爵から先程、『そろそろ出立しようかと思うんです』と気軽な報告書が来ました。」
「うん、まぁ、ベッリは戦争に対しては、やる気がないからそのぐらいの連絡で丁度良いな。」
「1000名来るそうですよ?」
「・・・え?何しに?」
ヴァレーリが真顔で返す。
「慣例の戦争でしょう?」
「待て待て待て待て・・・え?あいつ何考えているんだ?
ちょっと待て・・・そんな人数来たら戦場が荒れるって・・・下手したらパーニとファロンが勘違いしそうだし・・・キタミザト殿とエルヴィス殿から抗議文来ちゃいそう・・・
アンナローロ!すぐにベッリに手紙書くからすぐに第4軍に持って行かせて!」
「は~い。」
慌てているヴァレーリにアンナローロが軽く返事をする。
「フレッディ!どういう事だ!?」
「知りませんよ。
ダニエラが要請したんでしょ?」
フレッディも軽く言う。
「こんな数は依頼していない!
あぁ、くそっ!なんだよ!もっと軽く考えろよ!
ええーい!」
ヴァレーリが机から紙を取り出して手紙を書くのだった。
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ブリアーニ王国の女王の執務室。
「ふむ・・・領内は農業も物価も安定しているのね。」
「はい、ですが、どうもデムーロ国からの入国が多くなっているような感じです。」
「・・・それは私達の行動が漏れている?」
「そうではないようです。
ですが、国内にいつもより多くが入っているとの事です。」
「・・・誘拐は?」
「発生したとは聞いていませんし、警戒をしています。」
「ふむ・・・魔王国に許可を得て、公に魔王国の王軍が蟲対策で来る事を言った方が良いかな?」
「我らが困窮していると公表するという事ですね?」
「うん、事実蟲には悩まされているし・・・デムーロ国にもそう思って貰わないとね。
私は外出を控えるわね。」
「わかりました。
でしたら、女王は気分が優れないからとして、蟲の対応に悩まれていると思わせましょう。」
「ええ、お願い。
侵攻については直前まで知られてはいけない事項だからね。」
「畏まりました。」
ブリアーニと文官達が頷くのだった。
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