第2328話 ブリアーニ王国と魔王国では。1(順調に検討が重ねられています。)
ブリアーニ王国の女王の執務室。
執務室にはブリアーニと数名の文官が居て、話し合いがされていた。
「意外と大変だなぁ。」
ブリアーニが書類を見ながら呟く。
「『意外と大変だなぁ』ではありませんよ。
魔王国王軍の駐屯地、街道整備に食料調達、住民への説明と王軍幹部の宿舎の手配・・・やる事が多すぎです。」
「わかっているわよ。
それに今回の事は私達にも関係があるんだし、魔王国が本気でやるのなら私達は協力するのは当然でしょう。
戦地に投入されないだけ良いじゃない。」
「はい、私達では魔王国の本気の戦争では戦力にはなりえないでしょう。」
「あそこは精鋭揃いだからね。
ま、後方を任せられたのならそれを完璧に熟しての同盟国と思わせましょう。」
ブリアーニが言う。
「はい、それと・・・こちらが先程来ました。」
ブリアーニの前に文官が書類を置く。
「・・・ん?・・・ん~・・・これ機密よね?」
「当面はここにいる人員以外は知り得ない情報となっております。」
文官が言う。
「そう・・・ね。
奴隷商の館の一斉強制取り締まりね・・・そこに居る奴隷を我が国が一時保護か・・・
私達に言ってきたという事は決定事項で手配済みなんでしょうけど・・・受け入れは大丈夫ね?」
「はい、衣服、食料、保護施設の選定は期日までには終わらせます。」
文官が言う。
「・・・どのくらい来るかわからないけど・・・出来る限り不備が無いようにしましょう。
前に貰った奴隷のリストの全種族が居ると仮定して、食料の確保も必要ね。
食べられない物を与える訳にはいきませんし、保護されるのなら安心感を与えたいですからね。」
「はい、了解しました。
想定人数はどうしましょうか?」
「はぁ・・・多くて100名として準備では50名を見込みましょうか。
50名を超えてもすぐに対応出来るようにはしておきなさい。」
「はい、余裕は見ておきます。」
「うん・・・50名でも生き残っていてくれるのなら良いのだけどね・・・
それと保護した奴隷の中に我が国の者が居ても一旦は魔王国に引き渡します。
捜査上必要でしょうからね。
その後、身柄を引き渡して貰うのと・・・魔王国から奴隷の首輪の解除の研究の成果を期待するしかないわ。」
「そうですね。
ま、我々は長寿です、いつかは解除出来るでしょう。」
「そうね。
なら、受け入れの方は対応すると。
他には?」
「はい、魔王国のレバント殿から玄米の精製機と削り節器が来ました。」
「来たのね!
・・・あれ?早くない?」
「キタミザト殿の工房が頑張ったのでしょう。
厨房の者達が専用部屋を作って、搬入しております。
今頃、作業をしているでしょう。」
「上手く行っているかなぁ?
キタミザト殿の話だと作業量が1/3ぐらいになるという話なんだけどね。」
「期待しておきましょう。
それにしてもあの『生産する意味があるのか』と言われていた米が今では輸出品になるとか・・・
いやはやわからない物ですね。」
「そうね。
要は使いようという事ね。
考え方を固定させるといけないという戒めと捉えた方が良さそうね。」
「皆の教訓にさせましょう。
あと、現在の領内について、いくつかご報告があります。」
ブリアーニ達が話し合うのだった。
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魔王国 ヴァレーリの執務室。
ヴァレーリとフレッディ、アンナローロが話し合いをしていた。
「如何でしょうか、陛下。」
フレッディがヴァレーリに聞く。
「いや・・・如何もなにも・・・これ領地替え案だよな?」
ヴァレーリが目の前に置かれている地図を凝視している。
「はい、ブリアーニ王国の領土を現在より多く、ファロン子爵、パーニ伯爵の領地はほぼ同じ大きさにした結果です。」
「・・・大きさの問題か?
ブリアーニ王国は現ファロンの所とパーニの所の北部と北東部の領内1/3を合併。
ファロンは現パーニの所の西部と南部、ブリアーニ王国の西部と中央の2/3を合併。
パーニはデムーロ国の北側で占領地の4/5を治める。
・・・ファロンなんて関がある西側とブリアーニ王国の西側で変な形の領地になっているぞ?
この両地を繋ぐ所が細いなぁ・・・森の北部と東部を囲う形になっているし・・・
え?これが幹部達の検討結果なの?」
ヴァレーリが呆れながら聞いてくる。
「「はい。」」
フレッディとアンナローロが返事をする。
「そ・・・そうか・・・これが結果なのか・・・へぇ・・・
あれ?ブリアーニ王国とファロンの所の境でアズパール王国との所に中央領があるな。
これは?」
「はい、魔王国とアズパール王国との慣例の戦争では5000名ずつで対応をする事になりますが、領地替え後でもファロン子爵の派遣する人数が2500名と考えるならば、足らない分は王軍が担わないといけません。
また、ブリアーニ王国とアズパール王国が慣例の戦争をする場合は同盟国として派遣をしないといけません。
その為の駐屯地です。」
フレッディが言う。
「駐屯地・・・町と村が用意出来そうな大きさだな。」
「はい、軍だけではいけませんので、生活品の購入や娯楽の提供、家族が住む町を用意しています。
あとある程度自給が出来るようにと・・・如何ですか?」
アンナローロが聞いてくる。
「・・・えーっと・・・まずは駐屯地の考えはわかった。
誰を行かせるか聞いて良いか?」
ヴァレーリが2人に聞くのだった。
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