第2326話 研究所の打ち合わせ。5(キタミザト家の給与も上げよう。)
戦争等の試験小隊と研究所内の話を終えて、マイヤーは一旦、退席してアンダーセンの所に向かっていた。
そして所長室内には武雄とヴィクターが残っていた。
「さて、私の給与が多くなるという事なので、キタミザト家の収支の内訳を考えてみました。
こちらです。」
武雄がヴィクターの前に手書きの紙を置く。
「失礼します・・・え?」
ヴィクターが紙を見て驚いている。
「ヴィクターとジーナの給与は合計していましたが、分離させました。
その上でヴィクターが金貨5枚、ジーナは金貨2枚とします。
実質金貨1枚増加です、あ、家賃補助は継続ですからね。
アスセナさんと子供達、ベルテ一家への支給金額も増額としました。」
「ジーナを除く、全員昇給ですか・・・」
ヴィクターが驚きながら言う。
「ええ、全員頑張りました。
前にも言ったでしょう?収入が増えれば給金を増やすと・・・あれ?言ってなかったでしたか?」
「いえ・・・はい・・・大丈夫なのですか?」
ヴィクターが聞いてくる。
「大丈夫かどうかはわかりませんけど・・・増額した分を割り振ったら残りが金貨4枚、銀貨6枚でした。
ま、これは王都と研究所からの固定収入のみから支出を引いた場合なので、契約上の収入については加味していませんけどね。」
武雄が笑いながら言う。
「そうですか・・・」
「順調に来年の予算が王都から出てくればというのが前提なのでね。
王都から研究所の資金を頂けたら実行しましょう。」
「はい、わかりました。」
ヴィクターが頷く。
「こちらも草案ですので、良く見て貰って修正が必要なら話し合いをしましょう。」
「はい・・・ですが、研究所の資金からキタミザト家の給与が多く支払われていますが・・・大丈夫なのでしょうか。」
ヴィクターが考えながら言ってくる。
「元々、キタミザト家とアルダーソン家は領地がありません。」
「はい。」
「領地持ちは領内からの収入で切り盛り出来ますが、私達は実質的には王都の貴族会議のように副業をする事が求められています。
が、アルダーソン殿の住んでいるのは一緒に男爵になったバビントン殿の所。
資金を出し合って一緒に領内運営をするというのは話上は楽です。
ですが、後々の事を考えると領内の運営を2貴族がしてはダメです。
なのでアルダーソン殿は副業を基本的には出来ない状態です。」
「はぁ・・・」
「私の場合はエルヴィス家が既存でありますからね。
多少の副業をしても領主の地位は脅かされないですし、領民がエルヴィス家を慕っているのでキタミザト家が成り代わろうという意図はなくなりますが、新興貴族で今街を作っているという状況下では色々と制約があるのでしょう。
さて、アルダーソン殿は王城に困窮している旨は報告していて・・・王都は考えたようですよ。
そもそも貴族報酬を上げると他の貴族も上げなくてはならず、王都の費用が出過ぎる。
で、あるのなら研究所の試験小隊を3小隊に増加させる事に加味して、所長の費用を上げて対応しようとした・・・で、今回の処置です。」
「それは・・・主は言われたのですか?」
「ええ、飲み屋でオルコット宰相と話し済みですよ。
宰相曰く『研究所の資金分配は所長の権限です、そこから所長費用を上手く捻出してください』とね。
なので、今回の私の給与が多くなったのは王都は黙認してくれるでしょう。」
「そうですか・・・わかりました。
であるのなら、問題はないとして精査し、対応していきます。」
「うん、お願いしますね。」
ヴィクターが言うと武雄が頷く。
「それはそれで・・・研究所の資金ですが、来年は試験小隊の人員が10名増える見込みです。
その経費等々を抜いたとしても金貨4000枚が余ると思いますが、何かに使われますか?」
「そこは研究所の資金です。
貯蓄しましょう・・・と言いたいですが・・・金貨3000枚をエルヴィス家に貸し付けでしょうか。
余らせておく必要はないでしょうし、戻ってくるのならしても良いでしょう。
それと本当ならマイヤーさん達の給与もかなりの増額にしても良かったのですが、研究所の人員には報奨金を年に1度支払う事にします。
これは年間予算の雑務費用の残り、もしくは今まで使わなかった年間予算の残りの積み立てからと考えています。
金貨10枚を上限にマイヤーさんとアンダーセンさんで考えて貰い、各自に支払う金額を決めて貰えれば良いでしょう。」
「なるほど、わかりました。」
ヴィクターが頷く。
「それとブルックさんとアーキンさんが婚約されました。
今すぐどうこうではありませんが、ブルックさんは退職をする事になるでしょう。
そこで、ブルックさんに任せる仕事を考えようと思います。」
「主、簡単に辞めさせないのですね?」
「本人が専業主婦になりたいのなら引き留めはしませんが・・・ま、それは追々話し合わないといけないでしょう。
ブルックさんがダメなら他の方に依頼すれば良いだけですからね。」
武雄が言う。
「はぁ・・・そうですね。
それで、主はどんな職業を考えたのですか?」
「出来る出来ないは今は考えないでしたい事を言いますね。」
武雄が話し始めるのだった。
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