第2322話 研究所の打ち合わせ。1(まずは王都での事。)
所長室内のソファで武雄とマイヤー、ヴィクターが打ち合わせをしている。
「・・・西側は・・・まぁ、良いでしょう。
ですが、4年後のウィリプ連合国との話は陛下の考えがどうなるかですね。」
マイヤーが考えながら言う。
「魔王国からの義勇軍の受け入れは保留ですか。
主の話では1個大隊でしたが・・・どうした物でしょうか。
確かに総指揮官はダニエラ様でしょうね。」
ヴィクターが考えながら言う。
「面識がある人がそれを率いるんでしょうね・・・西側に行く中で私しかいないし!」
武雄が言う。
「所長・・・どうしますか?」
「知りません!
はぁ・・・上の方で話し合って貰いましょう。」
「主が中継すると思いますけどね。」
「その時はその時、頑張りますよ。」
武雄が諦めながら言う。
「さて・・・で、これが命令書です。」
武雄が2人の前に命令書を置く。
「はい。」
「わかりました。」
マイヤーとヴィクターが命令書を見ながら言う。
「王都ではそんな感じですね。
対魔王国は私とエルヴィス伯爵で何とか対応しろですって。」
「軽いですね。」
マイヤーが苦笑する。
「事実、王都から何か言われてもねぇ・・・まぁ王都側は何か文句を言って来たら私の方が『じゃあ、貴方がすれば良い』と言いかねないと思っている節がありますからね。
王国にとって不利益がない程度までならこちらで対応してくれという事でしょう。
今回の魔王国への訪問は向こうの戦力確認やヴァレーリ陛下や幹部方との面通しと慣例の戦争の真意を聞き出した事について、陛下も評価はしてくれています。
今後とも情報を取りに行く事が大事です。
ヴィクター、シモーナさんやレバントさんとの付き合いは途切れないようにね。」
「了解しています。
こちらからはウスターソース、ウォルトウィスキーが主要輸出品、向こうからは米やコショウが主要輸出品となると思います。
それとアリス様からの指示でシモーナにはパン用と菓子用の小麦の輸出を先行依頼しています。」
「うん、動いてくれたようですね。
ヴィクターもご苦労様。
輸出入については陛下から鉄の鋼材としての輸入と破棄武器の回収と輸入の検討依頼が来ています。
まずはシモーナさんに可能かの判断と輸出可能なら最大と最小の量と価格の問い合わせをしてください。」
「鉄の輸入を・・・ですか?」
ヴィクターが聞いてくる。
「ええ、アズパール王国の弱点の1つが鉄関係を輸入に頼っている所にあります。
曲がった剣とか使い古された鉄製品を溶かして作り直すという事はしているようですけど、基本は輸入に頼っている。
そして大規模に消費する戦争が開始されるのがわかっている。
となると今の内から使える商流を持っておきたいと思うのは当然でしょう。
そこに私のように専門的に対魔王国と輸出入する者が現れたのです。
なので、今回の依頼です。」
「わかりました。
見積もりの依頼をします。」
ヴィクターが頷く。
「それとこれはまだ計画中ですが。
魔王国からの穀物の輸入計画があります。」
「所長、それは前に言っていたような気がしますが。」
「対ウィリプ連合国の占領地用のね。
それについては陛下からも了承を受けています。
量については後日という事ですが、実施に向けて本格的に動いても良いと言われています。
ですが、今回の打ち合わせでは、それにカトランダ帝国への輸出分が加わりそうだとの事です。」
「「・・・」」
2人が難しい顔をさせる。
「陛下と外交局長が必要性を認識していて、経済局と財政局でどのくらい買えるかの試算を始めてくれるそうです。
来年ぐらいには向こうに内示を出したいとの話ですから・・・試算出来たら見積もり依頼がくるでしょう。
私達がどうのこうのではありませんが、対応する可能性が高いと頭には入れておいてください。」
「「はい。」」
「それと陛下から魔王国から物資等の輸出依頼あっても、特に輸出の制限はしないとの口頭指示がありました。
向こうから物資の輸出について問い合わせがあった場合、出来る限り対応する事になります。
ヴィクター、その事も頭に入れておいてください。」
「畏まりました。」
ヴィクターが頷く。
「はぁ・・・王都での事はこのぐらいですかね・・・
魔王国との輸出入業に手を出したら、大量の物資を扱う事になりそうです。
もっとこじんまりとした輸出入業になると思っていたのにね。」
武雄が呆れながら言う。
「所長、時期が良かったのでしょうね。」
「はい、マイヤー殿の言う通りでしょう。」
2人が言ってくる。
「はぁ・・・ま、仕事がある事が今は大事ですかね。」
武雄が言う。
「それと主、王都での買い物は出来ましたか?」
ヴィクターが聞いてくる。
「はい、ちゃんと言われた物を全部買って来ましたよ。
テイラーさんの所の仕入れ先の問屋さんに依頼して集めて貰いました。」
「そうでしたか。」
「ええ、あとポーションが回復が264個、魔法が202個ですね。」
武雄が言う。
「揃えられたのですね。」
マイヤーが言う。
「買い占めしてきましたしね。
これで何とかなるでしょうかね?」
「これほど用意されて足らなくなる状況とは・・・関が突破されてますよ。
ですが、安心感は高いですね。」
「安心感は大事ですよね。」
武雄とマイヤーが頷くのだった。
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