第2317話 夕食後の話し合い。(とりあえず現状の確認をします。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
夕食も終わり、武雄達が食後のティータイムをしながら、武雄の王城での戦争関連の打合せの概要を聞いていた。
「ふむ・・・小麦の依頼については、見積もりが欲しいとビエラ殿がシモーナ殿に伝えに行ってくれておるからの、これ以上は今の段階では何も出来んじゃろう。
まずは魔王国側の事を乗り切らないといけないの。」
「はい、ビエラ、ありがとう。」
武雄がビエラに言う。
「はい!んー・・・シモーナ、に、アリスの手紙、渡した!
手紙くれた!」
「なるほど。
アリス、シモーナさんはなんと?」
「王都に行って確認するという内容でした。
お爺さま、今回の慣例の戦争では関の封鎖はしないのですね?」
「うむ、戦場となる場合は封鎖じゃが、今回はフレッドの方じゃからの。
封鎖はせんよ、まぁ、商隊の検査は厳しくなるじゃろうの。
以前も話したと思うが、戦争時期の往来は危険を伴う。
我らはせんが、向こうで人質にでもなったら大変じゃからの。
元々少なかったが、慣例の戦争時期はぱったりと往来は無くなったの。
・・・しかし、そもそもここまで商流が大きくなるとは思わなかったのぉ。
嬉しい誤算と言えば良いのか。」
エルヴィス爺さんが呆れながら言う。
「ウォルトウィスキーを数か月分送りましたけど、ウスターソースも送る事になりましたし、向こうから見積もりや米が来る状況になってしまいましたね。
シモーナさんなら問題はないと思いますし、関でこちらが不逞を働かなければ問題ないでしょうし。
基本はこちらに送って貰って帰りの幌馬車にウスターソースを乗せて貰いましょうか。」
アリスが言う。
「・・・ま、それが無難でしょう。
戦争の宣戦布告文は王城で陛下と見ましたが、同じ内容で?」
「さての。
本当に同じ内容が来ているかはわしらはわからん。
通常では2通来て、1通はわしら領主向け、1通は陛下宛じゃ。
過去を振り返れば、同じ内容が送られている。
今回もそうだと思うがの。」
「はい、同じ内容の物と陛下宛の別書類が入っていたようですけど。」
「そうなのかの?」
「ええ。」
「何と書いてあったのじゃ?」
「見ましたけど、見てない事にして貰いました。
陛下からの返答は『本人の意思に任せる』としてくれています。」
武雄が言う。
「・・・はぁ・・・厄介な事が増えたの。
まぁ、タケオがどう対応するかを決めれば良いじゃろう。」
エルヴィス爺さんがため息をつく。
「はい、基本的には領内についての事ではありませんので安心してください。」
「ヴァレーリ陛下とは会ってはいるが、そういった事を言うような方ではなかろう。
じゃが・・・ふむ・・・あり得るのは慣例の戦争後に魔王国に遊びに来いとでも書いてありそうじゃの。」
「・・・まぁ、そうですね。」
武雄が難しい顔をさせて頷く。
「陛下に聞いているという事は連れ出しの許可かの?」
「・・・そのような物です。」
「それは陛下も『本人の意思に任せる』という無難な回答を送りたいじゃろうが・・・
行動力があるお方じゃからの・・・戦争中か、今の準備期間中に来そうではあるな。」
「断ったと受け取ってくれるとありがたいのですが。」
「・・・そうは受け取らんと思うがの。
ま、それは魔王国側で判断すれば良い事じゃよ。
基本的にはわしもタケオも知らないという体で臨むという事らしいからの。」
「はい、お願いします。
それで、慣例の戦争の準備は進んでいるのですか?」
武雄が聞いてくる。
「うむ、食料等の物資は9割方の手配が終わっておる。
開戦までには何とかなるじゃろう。
出陣する兵士と騎士団の準備はさせておるし、盾等の保守も済ませてある。
輸送をする幌馬車等については今、新規での製作分と既存分で出立までには用意が出来る見込みじゃ。
あと、タケオが王都に行っている間にスズネ達と話して拒馬の運用方法を考えてある。
ハロルドとデビットには実施検討を依頼して実施案が出来上がっておる。
手配も済ませていると聞いている。
軍務局から試験小隊とタケオに実施案が回るように手配しておるはずじゃから目を通しておいてくれ。」
「わかりました。」
武雄が頷く。
「タケオの方からはあるかの?」
「特には・・・報告出来る事は先ほどの内容のみですね。
研究所内の事は明日、確認をします。
食料についてはヴィクター達から依頼された追加の物資を王都で買っています。
自分達の分はとりあえず用意したのですが、食事はどうしますか?」
「ふむ・・・タケオの所は十数名じゃろ?
大した誤差ではないからの。こっちと一緒で良いと思うがの?
ま、食材があるのなら独自に作っても構わぬよ。」
「ふむ・・・」
武雄が考える。
「キッチンカーの方は料理長達で確認しておる。
今、最終的な手直しを依頼しておるよ。」
「ありがとうございます。」
「うむ、あ、戦場での配置じゃがの。
マイヤー殿とうちの方で大まかに決まっておるからタケオも確認しておいてくれるかの?」
「わかりました。
明日、確認します。」
「うむ、あと・・・何かあるかの・・・
アリス。」
「今の所、ありません。」
「タケオ。」
「ありません。」
「うむ、なら戦争関連の話は終わりじゃの。
タケオ、ウィリアム殿下の方はどうなっておると聞いておるかの?」
武雄達の報告は続くのだった。
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