第2314話 261日目 帰領しました。(まだ飲み会が収まらない。)
夕方、エルヴィス伯爵邸がある街の城門。
「到着。
何事もなく着きましたね。」
「「お疲れ様です。」」
武雄の呟きにアーキンとブルックが言う。
「キタミザト様!無事のお戻りのようで何よりです。」
城門の兵士がやって来る。
「はーい、お疲れ様です。
日が沈む前で良かったです。」
「はい、エルヴィス家より今日の到着と言われていましたので、安堵しております。
それと、アリス様のご懐妊おめでとうございます。」
「あー・・・アリスが魔王国からの宣戦布告文の到着と同じ時に公表したようですね。」
「はい、良い事と悪い事が同時に来ました。
・・・やっと街中が落ち付いたのですが・・・今日は表通りは宴ですかね?」
兵士が困った顔をさせながら言う。
「・・・裏城門から戻っても同じでしょうね。」
「残念ながら。」
「はぁ・・・アーキンさん、ブルックさん。
ここで解散です。
クゥとミアと時雨をください。」
「よろしいのですか?」
「良くはないけど、致し方ないでしょう。
酒盛りが始まる予感ですし、私に何かあるような事はないでしょう。
私に巻き込まれると帰宅が1、2時間遅れる可能性があります。
研究所に行って皆に報告をしてください。」
「わかりました。
一足早くエルヴィス伯爵邸に行き、私達の馬を戻させて頂き、その後研究所に向かいます。
誰か居ますかね?」
「うん?・・・うん、パナがテトに連絡を入れまし・・・え?コノハにも入れたの?
あ、皆に・・・わかりました。」
武雄が考えながらぶつぶつ言っている。
「アリスからゆっくりで良いと言われましたし、アンダーセンさんは残るようなので試験小隊の詰め所は開けておいてくれると、鈴音が言っているそうです。」
「わかりました。
本当に1人で大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。
私に危害を加える人はこの街にはそうそう居ません。
それに表通りの住人達が・・・え?はぁ・・・アンダーセンさんがアーキンさんとブルックさんは私と一緒に最後まで伯爵邸に行くようにと言っているらしいです。」
「隊長の命令が優先でしょうね。」
「ま、そうだね。
いくら所長でも命令系統を無視できないからね。
私達の上司は隊長なんだし。」
アーキンとブルックが言う。
「あー・・・なら、ゆっくりと帰りますか。
飲まないからね。」
「「笑顔を振りまいてくださいね。」」
アーキンとブルックが言う。
「主~、クゥも主の方に移動しますよ。」
「きゅ。」
ブルックのリュックからクゥが顔を出して言ってくる。
「そうですね。
ま、リュックの上に居なさい。」
「きゅ。きゅきゅ。」
「はいはい、移動ですね。」
ブルックがリュックを降ろし、クゥを抱き上げると武雄のリュックに乗せる。
「きゅ~。」
「はぁ・・・馬達も人が近づいていますけど、我慢してくださいね。
後で餌を多めにして貰いますから。」
武雄がそう言うと馬達が鳴くのだった。
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エルヴィス伯爵邸。
「ふむ、タケオ達は無事に着いたようじゃの。」
「ですね。
まぁ、表通りを無事に通過してくれれば良いのですけど。」
「うむ、そうじゃの。
ここ数日はアリスでも外出を控えているからの。
昨日から酒盛りも収まって来たという報告じゃったのだが・・・今日もじゃの。」
「ですね・・・うちの領民達飲み過ぎだと思うのですよね。」
「仕方あるまい。
スミス以来の領主関係の出産じゃ。
飲みの言い訳に出来るという事じゃろうし、戦争という事を忘れたいという思いもあるじゃろう。
で、朝のジーナからの報告は何と?」
「はい、特段・・・私達に関する事は何もありませんでしたが・・・王立学院で公募があったそうです。」
「ほぉ、公募とな?」
「はい、『王都の西に村を作る案があり、どのような村にすべきか、皆の検討を公募する』という新規の村の公募だそうです。
ジーナちゃんからは『レッドドラゴンの跡地だと思われます』とありますね。」
「・・・うむ、リツ殿の棲みかでタケオが訪問した所じゃろう。
ちなみにビエラ殿、そこは村ぐらいの大きさだったかの?」
「あ?・・・あ~・・・はい!大きさ、こっちと一緒!」
大人しくかりんとうを食べていたビエラが少し考えてからエルヴィス爺さんに言う。
「うむ、ジーナの考えは正解かもしれぬの。
で、公募はどうすると言っておるのじゃ?」
「タケオ様が出立して次の日に貼り出されたと言っていますね。
『これは絶対、ご主人様に私達が聞かないように仕向けられた日程です』と怒っていますね。」
「ははは、それはそうだろう。
ジーナとスミスならタケオに聞く可能性は高いとわしらでも思うからの。
王都の文官達は王立学院の生徒で考えた案が見たいのじゃろうからの。
この件についてはスミスとジーナ、友人達と話し合って何か提案してみると良いじゃろう。」
エルヴィス爺さんが言う。
「そうですね。
王都の西側ですか・・・現状では王都で品不足の物を作れたら良いでしょうね。」
「王都での品不足の物とな・・・第1はウスターソースだと思うがの?」
「あー・・・第1皇子一家が居れば専用の村になったかもしれませんね。」
「じゃが、それは王立学院の生徒達が提案する事はなかろう。
ジーナからウスターソースが販売されたという報告が無いという事は一般にはあまり知られてないのじゃろうしの。」
「そうですね。
どんな提案がされていたのか・・・概要を手に入れたいですね。」
「そうじゃの。
概要とまで行かなくとも提案書の題名だけでも知りたいの。
わしらの領で出来る事があるかもしれぬからの。」
エルヴィス爺さんが言うのだった。
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