第2310話 258日目 王都出立。(ジーナへの伝達事項は・・・あるようなないような。)
王都の城門前。
「ご主人様、お気をつけて。」
見送りに来たジーナが言う。
「ええ。
ジーナも色々と仕事があるでしょうが、無理はしない事。
無理と思ったら休んで良いですからね。
無理をして仕事が失敗しては意味がありません。」
「わかりました。
それと時雨から磯風に連絡があったエルダームーンスライムは対処しておきます。」
「うん、お願いね。
王都とエルヴィス家の毎日の連絡は少なくとも3体は居ないと出来ないでしょうからね。
出来れば来て欲しいですけど。
条件は変わらずにしてください。
ダメならダメでミア達に頼みますからね。」
「畏まりました。」
ジーナが頷く。
「他には・・・御前仕合頑張ってね。
怪我の無いように。」
「はい、私もスミス様も怪我に注意しながら参加します。」
ジーナが頷く。
「あとは・・・」
「ご主人様?何かあれば定期連絡で報告しますから、出立してください。」
言う事を考えている武雄にジーナが言う。
「ん~・・・あ!ジーナ休暇取っていないそうですね。」
「誰がそんな事を?」
「オルコット宰相。
王城内を散歩してて、会った際の立ち話で。」
「どこを散歩しているんですか・・・で、オルコット宰相様ですか。」
「はい、『どうも、ジーナ殿は休んでいないようですよ?』と言われました。
これから戦争の日報の取次をやらせようという主人ではあります、毎日宿舎と王城との往復の仕事も増えてしまいますからね、今の内に休日を取るようにね。」
「はい、わかりました。」
ジーナが頷く。
「・・・・・・パナ。」
武雄が少し考え、パナを呼ぶ。
「はい、タケオ、マリに言ってスミスにも伝達しておきます。」
チビパナが武雄の肩に実体化し、言ってくる。
「ちょ・・・ちょっと、ご主人様!?」
「ジーナは休むと言って休まないとオルコット宰相から言われましたからね。
スミス坊ちゃんに連絡を・・・あ!エイミー殿下にも言っておいて!」
「了解。」
「ちょちょちょちょ・・・ご主人様!?」
ジーナが慌てる。
「あ、あの2人に任せれば、早い段階で休日を作ってくれるでしょう。
まぁ、エイミー殿下はエルヴィス家に遊びに来るでしょうから。
その間は・・・戦争の日報の取次の仕事があるでしょうからね。
上手くやりくりしてくれるかな?」
「・・・ちゃんと休みますので。」
「だと良いけどね。
あ、そうだ、ウィリアム殿下達からアルマ殿下とレイラ殿下のお産に立ちあって欲しいと言われています。
エイミー殿下は居ないでしょうから、スミス坊ちゃんと一緒に立ち会ってください。」
「わかりました。
お産の際の手伝いですね。
・・・特に何か出来るとは思えないですが・・・王城に詰めておきます。」
「ええ、お願いします。
王都西の宿屋から出産の応援でアズパールカレーの振る舞いがありますから逃さないようにね。」
「それは重大事ですね!
その件は誰に聞いておけば良いでしょうか?」
「エリカさんが手配してくれています。」
「エリカ様もエルヴィス家に行きますので、引継ぎはしておきます。
宿の方々にはご主人様の名を出して平気ですか?」
「平気も何もジーナはキタミザト家でしょ?
相手は第3皇子一家を頼りに来ますけど、うちの者も居れば安心度が違うでしょう。
ま、向こうに帰ったら王都西の宿に手紙を書いて、その辺はよろしくと伝えておきます。」
「はい、お願いします。」
ジーナが頷く。
「さて、帰ろうかな。
アーキンさん、ブルックさん。」
「所長以外問題ないです!」
「いつでも良いですよ。」
クゥは今日はブルックのリュックに居て、時雨はスライム状態になっており、アーキンの方の鞄に入っている。
「はぁ・・・じゃ、ジーナ元気でね。
今度会う時は王城に報告の時でしょう。」
武雄がジーナの頭を撫でる。
「ん♪いってらっしゃいませ、ご主人様。
そしてお気をつけて。」
「過度の仕事はする気はないですけどね。
よし、騎乗しようか。」
武雄が騎乗するとアーキンとブルックも騎乗する。
「忘れ物は?」
「「ありませーん。」」
「じゃ、出立。」
武雄の号令の下、3人が道を進むのだった。
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寄宿舎のスミスの部屋。
「『ジーナを休ませてね』ってアル宛にパナ殿から連絡があったわよ。
タケオさんから私への依頼だろうけど。
・・・スミス、ジーナに休みあげてないの?」
「いえ、あげていますって。
ですけど、確かにジーナから休みたいという事を言わないのは確かなんですよ。」
「それはそうよ、うちのドネリーだって余程体調が悪くない限り、休むなんて言わないもの。
それを管理するのは私達の役目よ。」
「はい、なので、タケオ様がしている研究所と同じように週に1日は休むように言っているんですけど・・・」
「え?タケオさんの所ってそんなに休んでいるの?」
「はい、キタミザト家と第二研究所は週に1度の休みを取るようにとしているそうです。
申請があれば有給休暇もあるとか。」
「凄く待遇良いわね。
・・・だからかぁ。」
エイミーが少し考えながら呟く。
「どうしたのですか?」
「うん?あ~、ドネリーが王都守備隊の兵舎に行った時に第二研究所の試験小隊員募集の紙に『今期は受付終了』という紙が貼られていたと言っていたのよ。
それはその待遇に惹かれた人達が多かったという事ね。」
エイミーが頷く。
「そうですね。」
「で、ジーナを休ませるって、どうやるのよ?」
「そこなんですよね。
皆さんから言われるという事は休んでいるはずなのに周りから見たら何かしているんでしょうね。」
エイミーとスミスが悩むのだった。
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