第2300話 257日目 王都守備隊に訓練をさせて貰おう。(武雄は何と戦う気なの?)
王都守備隊の訓練場。
「でぁーーーー・・・くっ・・・参りました・・・」
「次!」
「・・・はぁぁぁぁ!!!・・・ぎゃっ・・・参りました・・・」
「次!」
「・・・・・・・やっ!・・・ぎに゛ゃ!・・・(しくしく)」
「次!」
「てやぁぁぁぁ!!・・・・ぎゃふ・・・参りました・・・」
「はぁ・・・次!」
「・・・(チラッ)」
「お待たせするな。」
「・・・行きます!せやぁぁぁぁ!・・・がはっ・・・ありがとうございました・・・」
「・・・次!」
次々と兵士達が1人ずつ向かって行く。
少し離れた所で見学している者達はというと。
「わぁ・・・所長、運動しているねぇ。」
ブルックが次々と元同僚の肩に木剣が打ち込まれるのを見ながら言う。
「所長も変な事を考えるな。
上段からの降りおろされた剣を左回りで避けながら右手だけで持った剣で相手の肩に一撃を入れるなんて。」
「カウンター狙いなのはわかるんだけど・・・これって有効なのかな?
所長のいつもの戦い方の方が確実だと思うんだけど・・・」
アーキンの問いにブルックが首を傾げる。
「ふむ・・・確かにキタミザト殿が使っていた相手の剣を外側にいなしてからの斬り付けもあれはあれで完成された剣技だな。
そこに相手の腕の外側からの攻撃方法を模索か・・・確実に相手の肩への攻撃かぁ。
キタミザト殿の事だ、何か考えがあっての事だろう。
それにしてもジーナ殿が使っている相手の剣を受け流して、手首に斬り付ける剣技も完成されていたな。
キタミザト家ではああいった相手の剣の威力を受け止めずにいなす事を教えているのだろうか?」
総長が考えながら言う。
「そこはたまたまだと思いますけど・・・
総長殿、相手に背を向けるというのは前にしていた方法よりも安全性という点では劣りますよね?」
ブルックが聞く。
「まぁ・・・そうだな。
だが、今は肩に当てているがあれが首を狙う事を想定しているのだろう。
ふむ・・・外にいなしてからと相手の一端外側に逃げての攻撃・・・一番の違いは剣の威力か?」
「確かに外に一旦逃げて、回転しての攻撃だと威力が今までよりも高そうですが・・・」
「ですが、総長、左回りで打ち込むという事は極僅かと言えど目を放す行為です。
その一瞬が命取りになりませんか?」
総長の言葉にブルックとアーキンが言う。
「うむ・・・王都守備隊では目を放す行為はするなと教えているな。
それは目を放した瞬間に何かされても対応が出来ないからなんだが・・・
んー・・・上段から振り下ろされている最中に避けられての首への攻撃・・・んー・・・
キタミザト殿としては両手で握っている事が条件なのかもしれないな。」
「片手で持たれていたらしないという事ですか?」
「右手のみなら左手で魔法やナイフで攻撃が出来るからですかね?」
ブルックとアーキンが聞く。
「さてな、それはキタミザト殿に聞かなくてはわからん。
だが・・・回転の威力を加味して打ち込むというのも安全性は低くなるが間違いという事でもあるまい。
キタミザト殿が何を想定しているのか・・・だな。」
「「・・・」」
総長の言葉に2人が黙る。
「きゅ?」
「確かにそうですね。
ん~・・・総長様、主が今しているような攻撃方法自体は昔からあるのですよね?」
クゥとミアが聞いてくる。
「はい、クゥ殿、ミア殿。
少なくとも王都守備隊や王都の騎士団では褒められた攻撃方法ではないとしていますが、昔からあります。
王都に居る我々としては相手が次どう動くのかを観察して対応する事が大事だと教え、実践させています。
相手から目を放さず、観察し、相手の攻撃に耐え、隙を見せたら有効打を与える。
これが安全性が高い戦い方と言えます。」
総長がミアとクゥに言う。
「きゅ・・・きゅ?」
「クゥ、確かにそうです。
総長様、なら・・・ジーナ様のように一撃で屠る事を想定されるとどうですか?」
「ん~・・・そうですね~・・・いや、それでも相手に背を向けるのは頂けないでしょう。
キタミザト殿が前からしているように相手の剣を外側にいなしてから相手の首、肩、肘、胴等に斬り付けた方が良いでしょう。」
「きゅきゅ?」
「ですね。
なら、総長様、ドラゴンのブレスだったらどうですか?
ブレスは直線で攻撃します。
主の今までの方法ではドラゴンのブレスの軌道を変えないといけませんが、出来ません。
だから、攻撃してきた所を横に移動しながら踏み込み、ドラゴンの首等を狙うのではないですか?」
「それは思いつきませんでした。
なるほど、確かにそれならブレスが放たれる瞬間に一歩横に移動し、攻撃を行った方が良いですね。
となると・・・相手の剣もしくは攻撃において、いなせない程強かった場合はあのように回避してからの攻撃をせざるを得ない・・・という事でしょうか。
アーキン、ブルック、キタミザト殿は何と戦う気なのだ?
ドラゴンと戦う訳ではないだろう?」
「「私達ではわかりかねます。」」
2人が答えるのだった。
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