第2293話 色んな人に許可を得たんですよ。(まだまだやる事は一杯です。)
「エイミー殿下はスミス坊ちゃんの事を良く見ていますね。」
「・・・それは・・・まぁ・・・」
エイミーがあからさまに顔色を変えて、ゆっくりとそっぽを向く。
「ふむ・・・娼館の件は良い方に行ったようですね。」
「・・・そうだ、それも聞きたかったのです。
タケオさん!何でスミスを連れて行ったのですか!?」
「何でって・・・これから相手をするであろう女性に恥をかかせない為、今から教えておかないとと思ったからですが?」
武雄が恥じらいもせず、堂々とエイミーを見ながら言う。
「くっ・・・」
武雄を問い詰めたはずのエイミーが逆に目線を逸らせてしまう。
「・・・まぁ、エイミー殿下の言いたい事はわかりますよ?
でももうしちゃったし・・・ねぇ?」
武雄が少し申し訳なさそうに「ごめんね~」という顔をさせる。
「はぁ・・・タケオさん、スミスを女性方が居る酒場には連れて行っても良いですけど、娼館には連れて行かないでください。」
エイミーが身を乗り出して言ってくる。
「・・・私としてはスミス坊ちゃんから誘われない限りは娼館には連れて行く気はありませんよ。
今回は体験させたいから連れて行ったのですから目的は達成しています。
あとは個人的な趣味でしょうからね、私としては連れて行こうとは思いませんよ。」
「そうですか・・・なら、安心です。」
エイミーが安堵して座りなおす。
「・・・ま、その辺は当人達で話し合ってください。
大人達には見守るように言っておきます。」
武雄がお茶を飲みながら言う。
「・・・タケオさん、大人達って何ですか?」
安堵していたエイミーが、一転して不安顔をさせながら聞いてくる。
「うん?今回寄宿舎の1年の男子を連れて行きましたが・・・私が根回ししないとでも?
というより、いくら何でもあの子達を連れて行くのに行き当たりばったりで店に行くわけないですよ。
事前にお店に挨拶に行っています。
さて、そのお店は誰に聞いたと思いますか?」
「うっ・・・ま、まさか・・・」
「ふふっ♪
王立学院関係で言えば、クラーク議長に許可とお店の紹介をして貰いました。
息子さんを連れて行くのでボールド殿にも許可を貰っています。
あとは人事局にも説明に行って、夜間外出許可の書類を王立学院には提出しています。
それと陛下も連れて行った事を知っていましたね。
陛下も知っていたならレイラさんやアルマさん辺りも知っているかもしれませんね。」
武雄が言う。
「・・・」
エイミーが口を開けながら固まっている。
「あ、そうだ、今回息子さんとお付きの子の費用はボールド殿に請求して良いんだった。
後で請求しにいきますかね。
アルダーソン殿はボールド殿から連絡してくれているだろうから、王都で会議の際に費用の事は話をしますかね。
差し当っては請求書をどうするかかぁ。」
武雄が腕を組んで考えながら言う。
「・・・ちょ・・・ちょっと、すみません。
タケオさん、その面子はなんですか?」
エイミーが若干、震えながら聞いてくる。
「うん?スミス坊ちゃん達を連れ出す書類を作って、各位に説明とサインを貰いに行ったんです。
問題なく連れ出していますよ。」
「スミスを連れ出すのにどれだけ大事にしているんですか・・・」
エイミーが額に手を当て、ガックリとする。
「いや~、大変でしたね。
あ、そうか、あとで無事終了した事を報告しに行かないといけないか。」
「え?行くんですか?」
「当然、外出許可のサインを貰いに行っているんですから、結果を報告しないといけないでしょう。
・・・エイミー殿下、何か付け加えて皆さんに言っておく事があるのなら言っておきますよ?」
「あ、ありませんよ!」
エイミーが少し大きな声で即答する。
「・・・わかりました。
なら、この件は終いでしょう。」
武雄が頷く。
「ちなみにタケオさん、エルヴィス伯爵領の仕立て屋からダッフルコートが来たのですけど、色の事で相談が。」
エイミーと武雄はその後も雑談をするのだった。
------------------------
アズパール王の執務室。
アズパール王、オルコット、ゴドウィン家の兵士2名が居た。
「書類をお預かりいたします。」
兵士が革袋に書類を入れる。
「しまい忘れはないな?」
「はい!お預かりした書類全部を入れました。」
「うむ、頼むぞ。
ゴドウィンに直接渡すように。」
「はっ!失礼いたします。」
兵士が退出していく。
「オルコット、とりあえず動くな。」
アズパール王がオルコットに言う。
「はい、慣例の戦争程度であれば良いのでしょうが・・・キタミザト殿が来たという事は大事になっているのでしょうね。」
「・・・少なくとも我らがそこまで身構える物ではないさ。
だが・・・そうだな・・・今は無理だが、もう少ししたらオルコットには部分的な情報の開示はしなくてはいけないだろう。」
「畏まりました。
その時が来たらお話を伺う事にします。
さて、魔王国側は各領主とキタミザト殿にお任せするとして、我らはカトランダ帝国や国内の方の話を詰めたいのですが、よろしいでしょうか?」
オルコットが言ってくる。
「・・・カトランダ帝国側に商店を出すと言って終わったはずだが。」
「はい、キタミザト殿と話をしていて輸出用のワイン生産の話があったのですが。」
「あぁ、したな。
クリフの後を継いだ貴族がするのだろう?」
「はい、なのですが・・・他の地域からも出せるのではないかという意見も出てきました。」
「まぁ・・・そう言われればそうだな。」
「なので、輸出用ワインの会議がありますので、ご参加ください。」
「わかった。
はぁ・・・当面はエルヴィス達に魔王国の事は任せるしかないか。」
「カトランダ帝国が落ち着けば、多少は魔王国の事も出来るでしょう。」
オルコットが言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




