第2292話 256日目 エイミーが遊びに来ました。(スミスの態度はあからさま過ぎです。)
武雄の部屋にて。
武雄達は今朝は部屋で朝食を取っていた。
「ここの食事もあと2日ですね~。」
「きゅ~。」
「早く伯爵の所に帰って新種のピザを食べないといけませんね。」
「きゅ!きゅ。」
「そうですね。
ビエラも一人では食べに行かないでしょうからね。
一緒に食べにいきましょうね。」
ミアとクゥが机に座って話しながら食事をしている。
「「「・・・」」」
武雄とパナ、時雨は静かに食事をしている。
と扉がノックされ武雄が返事をするとメイドが入ってくる。
「失礼いたします。
エイミー殿下がお越しになっております。」
「・・・もうすぐ終わりますから、エイミー殿下がそれまで室内で待っても良いというのなら入って貰ってください。
それと入ってくる時に新しいお茶をお願いします。」
「はい、畏まりました。
確認をいたします。」
メイドが退出していく。
「ミア、クゥ、食べ終えてくださいね。
時雨、私の分も吸収してください。」
「了解っス。」
武雄達の食卓は一斉に料理がなくなっていく。
メイドが再びやってきて「待っているので食後で結構です」とエイミーの伝言を受け取るのだった。
・・
・
「失礼します。
食事中だったようですみません。」
エイミーとドネリーとお茶セットを持ったメイドが入ってくる。
「エイミー殿下、いらっしゃいませ。
いいえ、待っていただいてありがとうございます。」
武雄が立ちながら言い、窓際の席を手で指してエイミーを招く。
時雨はクゥを抱っこしながら立っており、ミアは武雄の肩に居る。
「失礼します。」
エイミーが指定された席に向かい座る。
「・・・」
武雄も座るとエイミーと武雄の分のお茶を配膳して、メイドは退出して行く。
「・・・時雨も席についていてください。
ミアとクゥも新しいお茶を淹れますからね。
えーっと、椅子の余りが・・・」
武雄はそう言って椅子を持って来てエイミーの横に置く。
「あの・・・キタミザト様?」
「ドネリーさんも座りなさい。
お茶は私が淹れますよ。
飲んで行ってね。」
「はぁ・・・では、お言葉に甘えまして。」
ドネリーが複雑な顔をさせながら座る。
「・・・流石、王城のメイドさん、しっかりと全員分の新しいカップが用意されていますね。」
武雄はそう言って、武雄とエイミー以外のお茶を用意するのだった。
・・
・
「戦争だと聞きました。」
お茶を飲んでからエイミーが武雄に言ってくる。
「・・・そのようですね。
スミス坊ちゃんから聞きましたか?」
「はい、今朝。
で、タケオさん、勝てるのですか?」
「勝てないまでも負けはしません。
魔王国側の伯爵達は領地拡張をする気はありませんのでね。
現状維持を目的で動いている・・・と私は思っています。
なので、最初の頃から言っていますが、負けない事が重要です。」
「そうですか・・・わかりました。」
エイミーが少し考えてから頷く。
「で?・・・本当は何しに来たのですか?
何か言いたいか聞きたい事があるのでしょう?」
武雄がすまし顔でお茶を口に運びながら言う。
「・・・タケオさん、スミスに何教えたんですか?」
エイミーが少し真剣な顔つきで聞いてくる。
「・・・教えてはいません。
実際にする、しないの最終判断はスミス坊ちゃんが持っています。
スミス坊ちゃんはしないという選択も出来たのですが、実施した。
自ら考えて実施した・・・それだけです。」
「むぅ・・・わかり易かったんですけど。」
「初めてなんです。
上手く出来るわけないでしょう。
態度がぎこちなかったり、声がいつもと少し違うといった事はあって当たり前だと思います。
いきなりするよりも今の内から知っておいた方が良いと思っての事です。」
「それは・・・まぁ、そうなのですけど・・・」
エイミーが考える。
「エイミー殿下としてもスミス坊ちゃんが経験していた方が良いと思いますけどね。」
「・・・私の為?・・・タケオさん、なんの話をしているのですか?」
「え?娼館の話ですけど。」
「しょ・・・あ!確かにそれもタケオさんが企画していましたね!
違います!今は戦争の話から昨日のスミスの態度の話をしているつもりだったのですけど。」
「え?昨日の事?」
「はい、昨日の夜、王城に行ってからの帰宅時にスミスが素っ気ない態度をして話をはぐらかしました。
あんなあからさまにしたら意味がありません。
なぜそんな指示をしたのですか?」
「・・・ちょっと深刻そうな顔をして、昨日一日ぐらいは、はぐらかした方が良いと言いました。
素っ気ない態度かぁ・・・そんなにみえみえでしたか?」
「いつものスミスを知っていれば、ああいう事はしないと知っています。
あの態度は誰かに指示されてしたのだと感づいてしまいます。
するとしたら私にではなく、教室内とか外に居る時のみさせるべきです。」
「なるほど・・・仲が良いと違和感があるのですね。
参考になります。」
「タケオ、エイミーとスミスは毎晩お茶をしている程の仲ですよ。
ああいうのはエイミーぐらい交渉をした者からすれば、あからさま過ぎて違和感に繋がるのでしょう。」
チビアルがエイミーの肩に現れ言ってくる。
「でも、スミス坊ちゃんは昨日いきなり知ったのですよ?
笑顔で『戦争ですって』なんて言ったらスミス坊ちゃんの評価が下がりそうじゃないですか?
それなら1日ぐらいは深刻な顔をさせていた方が、『実家に不運がやって来て傷心したんだな』とか『実家が戦争に巻き込まれても自分が出来る事を精一杯しているな』と周りが評価してくれると考えたのですけどね。」
「はぁ・・・タケオさんがスミスの事を思って進言したのはわかりました。
でも、ああいうのは先ほども言いましたけど、私には違和感しかありません。
やらせるのなら王立学院内か王城内であまりスミスの事を知らない相手にさせた方が良いです。」
「わかりました。
次があるのならそうしましょう。」
武雄が頷くのだった。
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