第2288話 その後の打ち合わせ。(あ、研究所の次年度予算通したから。)
アズパール王の執務室。
「いや~、タケオ、スミス、ご苦労だったな。」
アズパール王がソファに座り、お茶を飲みながら対面に座っている武雄とスミスに言う。
「いえ、陛下も大変ですね。」
「ははは、タケオ、そう言ってくれるのは数名だけだから嬉しいぞ。
ま、あとは伯爵達とタケオで穏便に済ませて来てくれる事を願おう。」
アズパール王が肩の荷が下りたのかスッキリした顔をさせながら言う。
「はぁ・・・ここからが私のお仕事ですね。
ま、何とかなるようにしないといけないのですけどね。」
武雄が諦めながら言う。
「そうだな。
スミス、急な呼び出しですまなかったな。」
「いえ、陛下、これも領主家の者の務めです。」
「そうか、ま、今後もこういった事は無いに越した事はないが、やる時はやらねばなるまい。
スミスには気を張れとは言わんが、すぐに動けるようにしておいてくれ。」
「はい、わかりました、陛下。」
「うむ、頼むぞ。
で・・・だが、タケオ、確認と認識を共有したいのだがな。」
「はい。」
「うむ、正式な報告書と経過報告はゴドウィン伯爵から軍務局に提出がされるだろう。
だが、タケオからも報告を受けたい。
見比べるという訳ではないが、総指揮を行う者とは別の視点での戦争経過を見たいと思っている。」
「はい。
私としては今の所、ミア軍団の鷲を多用しようと思っています。
まず戦地の上空から我が国と魔王国双方の布陣の情報を鷲に確認をさせます。
その情報を元に地図の上に駒等を配置し、視覚化をしようと考えています。
その日に起きた事と配置を鷲を使い、エルヴィス伯爵邸に送る事とします。
エルヴィス伯爵邸にて戦地からの情報を書き写して貰い、ジーナに送って貰います。
なので・・・戦地からエルヴィス伯爵邸まで1日か2日、エルヴィス邸からジーナまでは1日。
この報告をほぼ毎日しようと思います。」
武雄がスライム達の事を除いて説明をする。
「ふむ・・・現地の配置か・・・
それが出来るのであれば王城で現地の動きがわかるという物だな。」
「はい、ですが、情報としては2、3日程前の情報になってしまいますが。」
「十分に早いとおも・・・ん?・・・んん~・・・」
アズパール王が首を傾げる。
「・・・」
武雄がにこやかに見ている。
「なるほど・・・王家専属魔法師に良い刺激になるだろうな。
王家専属魔法師の長距離通信研究は今、始まったばかりではあるが・・・唸っておるよ。」
「そうですか・・・英才達の奮闘を期待するしかないですね。」
「そうだな。
上手く物になってくれると良いのだが・・・
わかった、タケオの方からの戦地の味方、魔王国側の配置の情報を確認しながら報告を読ませて貰う。」
「はい、ゴドウィン伯爵領の関間の地図はありますか?」
「うむ・・・最近のではないが、あったはずだ。
写しを用意させるから現地で修正した物を戦争後に提出してくれ。
これで王城とタケオの所で同じ地図を見ながら情報の共有が出来るだろう。」
「はい、わかりました。
総監局で良いでしょうか?」
「ふむ・・・軍務局にもあるだろうが、総監局の方で写しを用意させる。
明日の・・・昼ぐらいには出来上がるように手配しておこう。」
「エルヴィス家用にも欲しいので3枚ください。
出来れば、エルヴィス伯爵領側の関間の地図も3枚ください。」
「・・・明後日の昼までにしてくれるかな?
手配はしておく。」
アズパール王が諦めた顔をさせながら言う。
「よろしくお願いします。
なら、3日後の出立を考えます。」
「あぁ・・・そうだな。
当初の予定通り2日間は居る事になったな。」
「地図の為なら致し方ありません。」
武雄がいけしゃあしゃあと言う。
「このぐらい問題ない。
我としてはこの戦争で関間の最新の地図が手に入る方が収穫とも言えるしな。
まぁ、ミア殿の鷲達の力量次第ではあるが・・・タケオが何とかして書き込んでくるようにな。」
「精度の高い地図は戦略上必要ですからね。」
「ああ、そうだな。
魔王国側の方はタケオがするとして・・・アルダーソンにウィリプ連合国との関や予定の戦地の最新の地図を作らせた方が良いかもしれんな。」
アズパール王が考えながら言う。
「確かに・・・今から各地を回っての地図の作製も良いかもしれませんね。
ですが、研究所を長期離れるのは難しいので、部下がするのでしょうけども・・・一研も私達と一緒で予算のやりくりが大変と言っていましたよ。」
「・・・知ってるよ。
それは前の会議でも言っただろう?来年から増額をさせるからな。
上手く管理して貰うしかない。
それはタケオもだがな。」
「増額、ありがとうございます。」
武雄が頭を下げる。
「うむ・・・ウィリプ連合国との事を考えれば上げる時期としてはギリギリになってしまうがな。
王城としては、かなり早く処理出来た方だ。
これ以上を望まないでくれるとありがたいな。」
「対処して頂いただけでもありがたく思います。」
「うむ・・・ちなみに貴族会議達が嫌味を言ってなかったか?」
アズパール王がすまし顔で武雄に聞いてくる。
「・・・あれ、予算関連からなのですか?」
「ああ・・・結構、増額指示したからなぁ。
人件費が最大の要因ではあるが、貴族会議達からすれば自分達の収入は増えないのに研究所へ資金をだし。
表だって反対意見は出なかったが、個人としては面白くないだろう。
嫌味ぐらい言わせてやれ。」
「はぁ・・・嫌味を言われるくらいの増額ですか。」
「あぁ、金貨6000枚、今の研究所予算の約3.5倍を通した。」
「それは嫌味の1つも言いたくなりますね。」
武雄が額に手を当て、呆れながら言う。
「両研究所への王城からの期待の表れと取ってくれ、そして結果を残せ。」
「重圧ですが、まずは仕事を完遂させます。」
「あぁ、それで良い。」
アズパール王が頷く。
壁際に立っているジーナが「うわぁ、管理が大変だぁ。」と疲れた顔をさせるのだった。
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