第2283話 色々と準備をしています。(ヴァレーリ陛下の依頼ってなんだろうね。)
「ブルック、書記大変だったな。」
「面子が凄かったのもあるし、話す内容がどうしようもなくてね。
もう途中から面白くなったほどよ。」
「ブルック、大変だったんっスね。」
アーキンとブルック、時雨が窓際の机でお茶を飲みながらのほほんとしている。
「・・・改めて復習をしたが・・・で、タケオ、これどうするんだ?」
アズパール王が武雄の前にさっき読んだ手紙を置く。
「・・・嫌です。」
書面を見ながら武雄が言う。
「そうは言うがな・・・正式な依頼っぽくないがこうやって正式な宣戦布告文と一緒に入っているとなると正式な依頼になってしまうと思うのだが。」
「誰かが開けて入れたとか?」
「ないない。
宣戦布告文は対応する領主と我宛に2通作られる。
その両方に魔王国王の蝋封がされている。
開けたらわかるようになっている。
というよりも伯爵でも流石に我宛の手紙を開けてはおらんだろう。」
「それはそうですね。
では、悪戯ではないのですね。」
「ないよ、だから、正式な依頼と言っているんだ。
で、タケオはどうしたい?」
「・・・私は見なかった事にしてください。」
武雄が手紙を見ながら言う。
「なら、本人の意思に任せるという返事にしよう。」
「そうして頂けると助かります。」
武雄が頭を下げる。
「さて、話は変わるが・・・これが以前、ジーナが持って来たレイラ達宛の手紙だがな。」
「あぁ・・・そう言えば、依頼していましたね。」
「ああ、宣戦布告文が来たので渡して説明をしようと思う。
まぁ、実施は慣例の戦争のみの話だがな。」
「今だと直接ダニエラさんから言われて、もう少し内容が濃くなっていますけどね。」
「そうだな。
まさか追加の魔法師があるとは思わないだろうよ。
そこも話をするがな。
タケオがするか?」
「・・・いえ、私はしない方が良いでしょう。
王家のみで話した方が良いと思います。」
「ふむ・・・わかった、そうしよう。」
アズパール王が頷く。
「陛下、夕食後の会議ですが、スミス坊ちゃんは呼ばないのですか?
一応、実家が参戦しますし。」
「うん?・・・あ!呼ばないといけないな。
後で伝令を行かせよう。」
「エイミー殿下とグレース殿下はどうしますか?」
「今回は魔王国側でだからな。
2人は後日で良いだろう。」
「そうですか。
グレース殿下は王城にあまり来られませんね。」
「ふむ・・・まぁ来てもやる事ないしな。
これまでも我の弟がたまに来る時に一緒に来たぐらいだが、王立学院に行ってからは来ていないな。」
「そういう物なのですか?」
「さて・・・それは本人達にしかわからないさ。
弟は今は王城にあまり来ないで自分に割り振られた副業を熟している。
クリフが生まれてからは政策には関わらないようにしているからな。
時の王の直系達が政策をすれば良いと思っているのだろう。
グレースも王家の意識はあっても本音では政策をやりたいと思っては居ないのかもしれないな。」
「ある意味、英断をされたのですね。」
「政争の具にはなりたくないというのは我の近親者達が思ってくれている事だ。
我としては今の弟を見ているから、ニールとウィリアムを領主にしているんだがな。
まぁ・・・ニールもウィリアムもどこかの段階で王家という括りから外れる時が来るんだろうな。
・・・それは次の王が決めれば良い事か。」
「難しいですね。」
「我は我が出来る範囲内で息子達を活かせる場を用意出来たと思っているよ。
多分、弟の事も我らの親が考え出した活かせる方法なんだろう。
そして、弟はそれを受け入れ、変化を望まなかった。
我に相談してきたら領地持ちにしたかもしれんが、そういった事は言われなかったからな。
今を見るとあそこは世継ぎが居ない事で今代のみで終わりだ。
我の親はわかっていたのかもしれないな。」
「感心すれば良いのか、憐れめば良いのか・・・」
「タケオは苦笑しておれば良い。
その程度の話だ。」
「王家も大変なんですね。」
「意地を張って残っても政争に使われ、残っていなくても普通の貴族に降格される。
王家の者達も直系でなければ、王家という身分は一時的な物だからな。」
「王家から外されても伯爵や子爵でしょうから、特権階級ですよ。
世間から見れば大して変わった訳ではないと思います。」
「そうだな。
どちらにしても与えられた役割を全うする事が重要だろう。」
「はい。」
武雄が頷く。
「さて・・・では、私は部屋に戻ります。」
「待て待て待て。
まだ打ち合わせは終わってないぞ。」
「言いたい事は私は言いました。」
「タケオはな。
我はまだある。
王都の兵の訓練について話し合いたい。」
「・・・陛下の好きにして良いのではないですか?」
「そう言うな、参加しない者からの意見も聞きたいんだよ。」
「危機感を煽るのは時として大事ではありますが、やりすぎには注意が必要だと思います。」
「それはわかっている。
だが、今回は危機感を煽るというより目の前に目に見える形で脅威があるのがわかるんだ。
気の引き締めにはもってこいだろう?
これを使わない手はない。」
「まぁ、言っている意味はわかりますが。」
「で、計画なんだがな。
ここにしまってあるんだよ。」
アズパール王が机の引き出しから楽しそうに計画書を出すのだった。
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