第2276話 寄宿舎に帰宅します。(撤収します。)
寄宿舎にもうすぐという所。
先頭に武雄とスミス、男子4人と最後尾にブルックとアーキンが歩いていた。
「「「「はぁ・・・」」」」
スミスを除く4人がため息をつきながら歩いている。
若干、恍惚とした表情をさせているが、騒ぐでもなく淡々と武雄の後を付いてきている。
「・・・タケオ様、彼らどうしたんですかね?
控室からずっとああですよ?」
「いや、スミス坊ちゃん、あれが正しい反応だと思いますよ?」
「え?だらしなくないですか?
貴族なんですから外を歩く時はしっかりとしないといけないと思います。」
「あー・・・まあ、そうですね。」
「でも・・・気持ちはわかるんですけど、あそこまでですかね。」
スミスが呆れた顔をさせる。
「スミス坊っちゃんは余韻はないのですか?」
「・・・なんとなく手や体が火照っていますが、問題ないです。」
スミスが手を開いたり握ったりして確かめながら言ってくる。
「同衾するなら覚悟を決めなさい。」
「しません・・・と、経験する前なら言ったと思うのですけど。
ちょっと自信がありません。」
「ほほぉ、良い兆候ですね。
エルヴィスさんに言って部屋を用意しておきますね。」
武雄が笑いながら言う。
「タケオ様、それは早すぎると思いますけども。」
「いやぁ~わからないですよ?若いからねぇ~♪」
「はぁ・・・まぁ、何とかして自制します。」
「うん、なったらなったですよ。
スミス坊ちゃんはその辺は大丈夫でしょうけどね。
もし、同衾する覚悟は出来ないけど、欲求に耐えられないようならまたあのお店に行きなさい。
あそこは職人集団です、上手くしてくれるでしょう。
まぁ、お店の方にのめり込まれても困りますけど・・・どちらにしてもほどほどにね。」
「はぁ・・・わかりました。
僕としては僕自身より後ろの4人が気がかりですけど。
彼らは通い詰めるかもしれません。」
スミスが横目で4人を見る。
「ふむ・・・自己責任と言いたいのですけど、連れて行ってしまった手前、強くは言えないかなぁ?
スミス坊ちゃん、彼らが危なそうならクラーク議長とボールド殿に言いなさい。」
「学院長達にですか?」
「ええ、あの店を紹介して貰ったのはあの2人からです。
今回の事も知っていますので上手く対応するでしょう。
まぁ、息子さんですから大変そうですけどね。」
武雄が苦笑する。
「・・・僕で止められないなら相談します。」
「ええ。
・・・もうすぐ寄宿舎ですね。」
武雄達から玄関の明かりが見えたので武雄が言う。
「そうですね・・・なんだか、濃厚な時間でした。」
「楽しかったでしょう?」
「まぁ・・・楽しかったです。」
「女性に手を出すなら覚悟をね。」
「はーい。」
スミスが生返事をする。
寄宿舎の玄関まで15mくらいの所で武雄が止まり子供達の方を向く。
「・・・ここで良いか、中に入ったら長話になりそうだし。
君達、今日はお疲れ様、体験したからと言って、遊べと言っている訳ではないですからね。
しっかりと欲に負けないように生活をしてくださいね。
そして挑む時は丁寧に、ですよ?」
武雄がにこやかに言う。
「「「「「今日はありがとうございました。」」」」」
スミス達5人が武雄の前に並んで頭を下げる。
「うん、じゃ明日からも勉強頑張ってね。
ほら、寄宿舎に入りなさい。」
「はい。」
「「「「失礼します。」」」」
子供達が寄宿舎に向かう。
「所長、中に入らないので?」
ブルックがコソッと聞いてくる。
「入れるわけないでしょう。
今何時ですか?」
武雄がアーキンに聞く。
「えっと、午後11時ですね。」
「なんでそんな時間に玄関の明かりが煌々とついているのでしょう。
普通なら明かりを消すか、少し明るさを下げると思うのですけどね。」
「・・・」
ブルックが何も言わないで玄関を見る。
「所長、ちょっと小走りしたくなりました。」
アーキンが提案してくる。
「あ、私も。」
「奇遇ですね、私もです。
なら、撤収しますよ♪」
「「了解でーす。」」
3人は音を立てないように素早く足を動かし敷地外に移動するのだった。
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寄宿舎の玄関に入った5人は固まっていた。
目の前には。
「おかえり。」
そう言うエイミーと無言のグレースが並んで待っていたのだった。
ドネリー、ジーナ、バウアーのお付きメイド達は2人の後ろで伏し目をさせて佇んでいる。
「「「「「・・・」」」」」
5人は動けないでいた。
「どうしたの?帰って来たのでしょう?」
エイミーが言う。
「・・・・・・・・・・はい、今、戻りました。」
スミスが目線を下に向けながら言う。
「も・・・戻りました。」
「た・・・只今、戻りました。」
イーデンとカイルも言葉を絞り出す。
「おかえり。
良い匂いがするわね。」
エイミーが言う。
「「「「「・・・」」」」」
5人は再び動けなくなる。
「・・・スミス、話をしましょう。」
「・・・はい、エイミー殿下。」
スミスがぎこちなく頷く。
「イーデンとカイルは私と話です。」
「「はい。」」
「バイロンとブルはお付きご苦労様。
ゆっくりと寝なさい。
2人はちょっと私と話をします。」
グレースが2人に言う。
「「・・・はい、了解しました。」」
2人が頷くのだった。
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