表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2285/3636

第2269話 宣戦布告文、越境す。(準備はしています。)

貴族の居住区域のとある屋敷の玄関。


「では、失礼します。」

武雄が挨拶をして屋敷から出て来る。

「タケオ、これで書類は用意出来たということですね。」

チビパナが武雄の肩に現れて言う。

「ええ、クラーク議長が在宅で良かったですね。

 これで、人事局長と貴族会議議長の了承サインは貰ったと。」

「スミスを寄宿舎から連れ出すのに物々しい書類を作ったのですね。」

「このぐらいやらなきゃ、夜の外出許可はおりないでしょう。

 5名も居るんですからね、このぐらいの書類を持ってお願いしに行かないとね。

 さて、寄宿舎に向かいますかね。

 あ、その前にどこかで昼食を取りましょうか。

 少し遅くなりましたが、やっている店を探しましょう。」

「はぁ・・・子爵と人事局長と王立学院学院長代理のサインがあれば大概の事は通ると思いますけどね。」

チビパナが呆れながら言うのだった。


------------------------

ブルックとアーキンは雑貨屋や魔法具商店等で回復ポーションと魔法ポーションを確認しに回っていた。


「えーっと・・・回復が20個あるね。」

「ここは回復が20個と。

 明日、最低でも10個は買いにきますから取っておいてください。

 手付で銀貨1枚置いていきます。」

ブルックが数えてアーキンがメモを取っている。

「お預かりします。

 えーっと・・・キタミザト子爵様・・・ですね。

 畏まりました。」

店員がそう言って、商品の棚から回復ポーションを10個取って空いている箱の中に入れ、「キタミザト子爵予約済み」という張り紙をする。

「では、よろしくお願いします。」

ブルックとアーキンが店を出る。

・・

「さてと・・・これでどのくらい揃う?」

ブルックがアーキンに聞く。

「回復が215個、魔法が184個だな。」

「おー、集まったね。

 何とかなるかな?」

「そうだな、所長も含め13名だから・・・1日1個ずつと考えても約半月分以上は欲しいな。

 そうすれば他への供与も出来るだろうし、ビエラ殿達が来ても使えるだろうからな。」

「そうすると・・・約200個以上かぁ・・・回復ポーションは何とかなったね。

 あとは魔法ポーションだね。」

「あと・・・5軒だな。」

「200個は達成できそうだね。

 でも出来るだけ買っておいた方が良いよね。

 何があるかわからないし、万が一はエルヴィス伯爵領まで逃避行かもしれないしね。」

「そうだな。

 子供達が初の戦争だからな、消費量が多くなるだろうからな。

 あればあるだけ安心だな。

 と、次の店は・・・この先を右か。」

ブルックとアーキンが店巡りをするのだった。


------------------------

ゴドウィン伯爵邸の客間。

「ラウレッタ、編み物上手ね。

 これなら何か編んで売っても問題なさそうよ。」

ジェシーが隣に座っている狸系の獣人の女の子の手元を見ながら言う。

「ありがとうございます。

 村に居た時は近所の子供用を頼まれて作っていました。

 売り物と言われてしまうと緊張します。」

「本当に手慣れているわ。

 アリスもこのぐらい出来たらいいのに。」

「向き不向きがあるという事ですね。」

「そうね、アリスは動き回るのが得意だからね。

 はぁ・・・まぁ、タケオさんは気にしないか。

 と・・・えーっと、ラウレッタが腕部分で、襟部分は出来ているから、胴回りがあと半分か・・・

 私も頑張って仕上げないと。」

ジェシーが編み物を開始する。

と客間の扉がノックされ、ジェシーが返事をすると執事服のマヌエルが入ってくる。

「失礼します。」

「あれ?マヌエル、フレッドと一緒に庁舎に行ったわよね。」

「はい、奥様。

 関よりの緊急案件が来ました。

 今、ご主人様と文官、武官方が協議をしており、すぐにこちらの屋敷に戻ってくるとの事で私が先行して戻りました。」

「関からの緊急?」

ラウレッタが首を傾げる。

「そう・・・戦争ね。」

ジェシーが開始した編み物を机に置き、落ち着いた表情でゆっくりと言う。

「はい、奥様。

 詳細はご主人様が戻り次第、ご説明に入ると伺っています。

 また、同時に、王都とエルヴィス家、テンプル家に宣戦布告文の到着をお知らせし、参戦依頼をされると伺いました。」

「うん、手順通りになっているわね。

 ラウレッタ、編み物は一旦中止、まとめて端っこに持って行ってね。」

「はい、奥様。」

ラウレッタが頷き、編み物を片付け始める。

「さてと・・・」

ジェシーがベルを鳴らすと執事長とメイド長がやってくる。

「「失礼します。」」

「うん、宣戦布告文がきたそうです。

 手順に則り、屋敷内で不足している食料や備品の買い付けを実施します。」

ジェシーが2人に言う。

「はい、畏まりました。

 すぐに屋敷内の備蓄を確認し、足りないものを買う事とします。」

「食料については手順に則りますが、それ以外にも料理長にも聞いて足らない物があれば補充を実施します。」

2人が言う。

「公表される前に買い付けを半分以上は終わらせてください。

 たぶん・・・我が家の者とわかれば値札が替えられる可能性もありますからね。」

「「はい、すぐに対応いたします。

  失礼いたします。」」

2人が出て行く。

「ラウレッタ。

 料理長に言ってフレッドが戻ったら甘い物を出すように伝えて来て。

 それと温かいお湯を持って来て。喉が渇いたわ。」

「はい、奥様。

 失礼します。」

ラウレッタが退出する。

「マヌエル、我が屋敷に宣戦布告文が届いたという事は戦争は我が領の方の関よ。

 関の地図があるはずだから出してくれる?」

「はい、ご主人様からも同様の指示を頂いています。

 奥様、お座りになっていてください。

 準備を開始しますので。」

「ええ、お願いね。」

ジェシーが頷くとマヌエルが動き出すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いよいよ、ですね。 それぞれのキャラクターの緊張感が伝わってきて、この作品一番の盛り上がりが期待出来そうです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ