第2267話 落ち着かない人々。(エリカ、寝ろ。)
王立学院 1年生の教室。
授業の合間の休憩時間にて。
「「「「はぁ・・・」」」」
イーデン、バイロン、カイル、ブルがため息をついていた。
「・・・貴方達、今日は落ち着きがないわね。」
グレースが4人に向かって言う。
「そ!そんな事ないですよ!?」
「どうしてそう思うのですか!?」
イーデンとバイロンが少し高めの声で返答する。
「・・・もう、それが既によ。」
グレースがジト目で見ながら言う。
「・・・~♪」
イーデンがそっぽを向く。
「いや、あからさまに目を逸らされても。
何を隠しているの?」
「「何も隠していません!」」
イーデン、バイロンが答える。
「ほぉ・・・何をするの?」
グレースがカイルを見ながら言う。
「「・・・」」
カイルとブルが思いっきり顔を逸らせている。
「・・・言わなそうね。
スミスはど・・・席にいないし。」
グレースがさっきまでスミスが座っていた場所を見るとそこにはスミスが居なかった。
「グレース殿下、スミス様は用を足しに行かれました。」
ジーナが言う。
「ジーナ、この4人が落ち着きがない理由は知っている?」
グレースがジーナに聞く。
「存じ上げてはおりませんが、男子ですので、女子に知られると恥ずかしい事もあるのではないかと思います。
販売日という事かもしれません・・・本とか。」
「女子に知られると恥ずかしい・・・本。」
そこまで言ってからグレースの顔がどんどん赤くなっていく。
そして4人にキッと鋭い目線を向ける。
「「「「・・・」」」」
4人共思いっきり顔を逸らせながら沈黙を守る。
「はぁ・・・男の子なのよね・・・」
今度はグレースがため息をつくのだった。
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王城内のエリカの部屋。
「・・・うっ・・・」
エリカが口元を抑える。
「エリカ、想像妊娠ですか?」
チビペイトーが机の上からエリカに言ってくる。
「・・・それ昨日言ったよ。」
「おっと、同じことを2日連続はツッコミの質が問われてしまいますね。
最低でも1日おきにしましょうか。
で・・・何を緊張しているので?
昨日、散々緊張してたではないですか。」
チビペイトーが呆れながら言ってくる。
「私ね・・・初めてなの・・・」
「ええ、伺っています。
新婚初夜に相手が亡くなるという珍事中の珍事が発生したんでしたか。」
チビペイトーが言う。
「・・・」
エリカが下を向く。
「その後は噂が噂を呼び、婚姻話は1つもなく、26歳まで未亡人のまま、気が付けば実家から追い出される。
タケオはそういう噂を気にはしないでしょうし、この時代では珍しい26歳で未経験者でも問題なく対処してくれるでしょう。
タケオが良いなぁではなく意外とタケオぐらいしかエリカを抱ける者が居なかったというのが実態だったのではないかと思う今日この頃。」
「・・・」
エリカが机に突っ伏す。
「26歳で未経験で痴態を晒したら後が無いというのはわかります。
アリスも実はそういった事情を汲んでくれて、書類を送ってくれたんですかね?」
「・・・うぅ・・・」
エリカが突っ伏した状態で静かに泣いている。
「エリカ・・・そう自分を卑下してはいけません。」
「いや!ペイトーに気分を害されているんだと思うんだけど!?」
エリカが体を起こしてペイトーに抗議してくる。
「ふぅ・・・害すも何も事実確認と推測を言ったまで。
これで気分を害するというのは身に覚えがあるからでしょう。」
チビペイトーがヤレヤレと手を挙げて言う。
「・・・」
エリカが無言でペイトーを睨む。
「ははは、言い返せないでしょう?」
「じ・・・事実だからね!」
エリカが苦々しい顔つきで言う。
「・・・エリカ、吐き気は治りましたか?」
チビペイトーが優しい顔つきで聞いてくる。
「はぁ・・・おかげさまで。
悲しみと怒りで気にならなくなったわ。
もっとやり方はないの?」
エリカがジト目でチビペイトーを見ながら言う。
「・・・ないですね。」
チビペイトーが少し考えてからエリカに言う。
「ないんだ。」
「はい。
緊張からの吐き気の緩和に良い対処方法は寝る事と胃に優しい食事でしょう。
エリカ、食事食べられていますよね?」
「出された物は食べていますよ。
味は感じませんけど、胃には入っています。」
「吐き気はあっても吐いていませんよね。」
「そこまでは、まだ。」
「エリカ、ジーナが来るまで時間があります。
ベッドで横になって体を休めましょう。」
「え?湯浴みとか・・・」
「必要ないでしょう。
向こうで出来るでしょうし。
それよりもエリカには睡眠が必要です。
相手はタケオですよ?あの保健の内容の体現者ですよ?
エリカの体力勝負になりますよ?」
「え?・・・私初めて・・・」
「そんなの関係ないでしょう。
あ、そうだった・・・昨日エリカが思い悩んでいたから渡しそびれましたが、超一流の調合師から媚薬を入手出来ています。」
ペイトーが人間大になり、部屋の片隅から小瓶を持ってくる。
「超一流の調合師?」
「パナ殿です。
副作用もなく効果は抜群です。
破・・・本番の痛みも和らげられるでしょう。」
「うん、伏せてないね。
媚薬かぁ・・・どういうものなんだろうね?」
「気分もノリノリになると伺っています。」
「え?媚薬ってそういう効果だったっけ?」
エリカが首を傾げるのだった。
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