第2265話 専売局長と財政局長との話し合い。3(鉄の再生事業と将来の交渉方法。)
「紙袋については実施は先ですが、何とか出来るように継続的に検討をしていきます。」
財政局長が言う。
「お願いします。
それとお聞きしたいのは使われていない各種の剣を回収して、また塊に戻すというのはやられているのでしょうか?」
武雄が2人に聞く。
「地方での事はあまりわかりませんが、王都でという所で言うならば、その事業はしています。
各工房にお願いして回収した物を格安で買い取っています。」
専売局長が言う。
「品質的にはどうですか?」
「問題はありません。
ですが、輸入している物と比べてしまうと、値段がちょっと高めですね。」
「・・・高いですか。」
「はい。あー、でも僅かですよ。
剣にした際の品質で何か言ってきた方は居ませんので、品質も大丈夫と考えています。」
専売局長が言う。
「地方では王都からの輸送費用の関係で回収した物の方が安いかもしれませんね。
専売局規模で製鉄は出来ないでしょうから、各工房で1本分程度を作るのでしょうけども。
キタミザト殿は何か思いついたので?」
財政局長が言う。
「いえ、古紙の回収と製紙の事があるので、剣の鋼材も回収の事業が出来るかなぁという思い付きです。
でも・・・そうかぁ、地方で集めた剣や調理器具を王都に売っても魅力は無いのですね。」
「魅力自体はありますよ。
ですが、現状では購入価格は抑えさせて頂かないと販売に繋がらないという事ですね。
地方は地方で個々の工房で対応しているのではないでしょうか。」
専売局長が言う。
「そうですか・・・ん~・・・他に地方で集めて王都に売るような物はないですかね。」
武雄が考えながら言う。
「「王都に売る事が前提ですか。」」
専売局長と財政局長が呆れながら言う。
「領内で物とお金を回しても・・・現状で衣服とかお酒なんかは王都とやり取りしています。
それでも専売局から購入している製品の方が多いような気がします。」
「まぁ、どこの貴族でも大体は王都への販売金額よりも購入金額の方が多いのが実情ですね。
キタミザト殿はそこを変えたいと?」
「販売金額が購入金額を上回る事が良いのでしょうけど・・・いきなりそこまでは出来ないでしょう。
出来るのならもう既に事業化しているでしょうし・・・その差をどれだけ縮められるかを考えて行かないといけないと思っただけです。
他に何かありますかね?」
武雄が聞く。
「ウスターソースが王城のみ出ていますね。
あれを街中に出すというのは?」
財政局長が聞いてくる。
「それは契約上、王都の管轄は第1皇子一家ですよ。
そちらにお問い合わせください。」
武雄が言う。
「キタミザト殿、さっきの剣の回収ですが、今後のウィリプ連合国の関係で各地方・・・魔王国方面の方々にお願いするかもしれません。」
「私は領内の事には口出ししませんよ。
領内の事はエルヴィス家の管轄です。
相談はされても実施の可不可、価格の交渉と決定はエルヴィス家の当主と文官達が決めます。
たぶん依頼される頃は現エルヴィス伯爵と次期エルヴィス家当主殿の交代時期のような気がしますね。
私は高みの見物をしておりますよ。」
「いや、そこは説得に協力してくださいよ。」
「しょうがない、可愛い義弟の為に王都との交渉に力を入れるか。」
「こっちに向かってやる気を出さないでください。
違いますよ、私達の味方になって欲しいのです。」
「ご遠慮します。」
武雄が良い笑顔で即答する。
「・・・・えー?」
「そもそも私に依頼するのが筋違いですよ。
領内の事はエルヴィス家と言ったでしょう?
それに各領地からの鉄の回収は時の陛下の下知でしょうからエルヴィス家は従うと思いますよ?
陛下や王都に何か思う訳でもなく、何のために鉄を欲しているかは知っているんですからね。
ですが、領内の鉄の需要を見て、無理の無い範囲でというのがエルヴィス家からの条件になるでしょう。
それ以上を望むのなら何かしらの対価が必要だというのは当然。
どこに私が説得する余地があるのですか?
専売局と財政局で予算のやりくりをしてエルヴィス家と交渉をすれば良いだけです。」
武雄が言う。
「ん~・・・それはそうですけど。」
専売局長が考えながら言う。
「それに現当主からすれば義理の孫息子、次期当主からすれば義理の兄という関係ではありますが、政策となればエルヴィス家として、そういう事は考慮しないでしょう。
それに私の利益にならない交渉を何で私がするので?」
武雄が聞いてくる。
「ん~・・・何とかなりませんか?
今の時点でも戦争予算関係が大変なんですよ。」
「何ともならないですよ。
エルヴィス家の要望が通らないのであれば、最低限の量しか調達出来ないと思ってください。
財政局長、予備はあるんでしょう?」
「それは穀物関係の話ですよ。
キタミザト殿、エルヴィス家から穀物の供出は出来ますかね?」
「それもエルヴィス家です。
私に言われてもわかりません。
そちらも鉄と一緒で領内の需要によりけりです。
ですが、現在、そもそも領内で生産される小麦が足らないからテンプル伯爵領から購入しているんですよ?
あると思いますか?」
「ですよね・・・」
財政局長が下を向くのだった。
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