第2259話 王城への帰り道。(さっきの店は怪しいです。)
王城への帰り道。
「パナ、マリに連絡を。
明日の夕方になったと。」
「はい、すぐに連絡を入れます・・・問題ないそうです。
午後5時くらいに来て欲しいとの事です。」
「わかりました。
あ、外泊許可貰いに行かないとね。」
「タケオのですか?」
「いや、私は・・・え?必要かな?
後でメイドさんに相談しますかね。」
武雄が考えながら言ってくる。
「タケオ、さっきのはどこの部隊っスか?」
時雨が聞いてくる。
「うん?部隊?」
「はいっス。
さっきの部屋の中に陛下の部屋にあった絵と同じのがあったっスよ?
王都守備隊の総長の部屋に行った際にも見ているっス。
同じのがあったっスよ?」
時雨が言ってくる。
「ラックさん?」
武雄がにこやかな顔でラックを見る。
「知らない!知らない!
それよりも総長の部屋にある紋章は王都守備隊のでは?
あれなら陛下の執務室にもあるはず。」
「時雨、その陛下の執務室にあった絵はどこにありましたか?」
「陛下の執務机の後ろの棚っスよ。
いろいろな絵と一緒に飾られていたっス。」
「・・・それ、第1騎士団と第2騎士団と王都守備隊の紋章では?
それがさっきの部屋に?
・・・ん~・・・気が付きませんでしたが・・・」
ラックが考えながら言う。
「時雨、さっきの部屋のどこにありましたか?」
「タケオが話していたバセットの椅子の脚の付け根っス。
こんな大きさです。」
時雨が親指と人差し指で大きさを表す。
「・・・小さいですね。
それが椅子の付け根に?」
「はいっス。
だから部隊の人だと思ったっスよ?
違ったっスか?」
時雨が武雄に聞く。
「ラックさん。」
武雄が再びラックに顔を向ける。しかし今度は真顔で。
「し・・・調べます。
王都守備隊の紋章はそう易々と外には出さないのですが・・・」
「なら、身内なんでしょう?」
「いや・・・聞いた事が・・・対外的な店なんて私の所ぐらいのはずなんですけど・・・」
「・・・」
武雄がラックを真顔で更に見る。
「滞在中にしっかりと調べてお知らせします。
なので、この件はご内密に。」
「まぁ・・・王城の息がかかっているのならそれはそれで安心ですけどね。
王都守備隊が絡んでいるのなら、あそこでの情報は陛下には伝わるか。」
「我々が知らない王都守備隊となると・・・第三情報か?」
ラックが呟く。
「第三情報?」
「あ・・・あー・・・」
「・・・」
「その・・・ご内密に。」
「・・・」
「うぅ・・・じーっと見ないでください。」
「・・・」
「第三情報分隊は貴族、商家に関わらずに情報を取りに行く部隊・・・らしいです。」
「あー、内偵ですか。
居てもおかしくないし、情報を取るなら貴族のお抱えの誰かでしょうし、こういった歓楽街関係からもというのはなんとなくわかりますよ。」
武雄が「ま、似たような事を依頼しようと思っていたし。」と考えながら歩くのを再開する。
「私が漏らしたと言わないでください。」
「言いませんよ。
それに言った所でどうしようもないでしょう。」
「?・・・キタミザト殿はそう思うので?」
「むしろ、されていないという考えにどうなったら至れるのか聞きたいんですけど?
まぁ私の所とかアルダーソン殿の所といった小所帯だと入れ辛いというのはわかります。
でも入れ辛いだけで入れない訳ではありません。」
「キタミザト殿の所にも居ると思いますが。」
「居て結構、どうせマイヤーさんに陛下宛の報告書を書かせていますしね。」
「え?キタミザト殿の命で?」
「ええ。ま、一応は目を通すようにとマイヤーさんには言われていますが、虚偽がないかの確認程度にしています。
あとは今の段階では報告できないような危険な物とかは書かないようにして貰っていますけどね。」
「キタミザト殿とマイヤー殿が報告を控えるというのは相当に危険な事なんですかね?」
「まぁ・・・下手な解釈をすれば国家が滅亡するなり、国内で内戦に発展する程度ですかね。」
「大問題ですね。」
「今現在、こちらで調査や確認をしているので・・・それなりに時間がかかる事は一応伏せています。
報告出来る段階になれば陛下には報告しますよ。
それに陛下としては今回の魔王国との打ち合わせや見聞きした事に満足されています。」
「満足ですか?」
「ええ、机に突っ伏して弱音を吐く程度に。」
「・・・ご苦労様です。」
「私は肩の荷が少し降りました。
出来れば全部下ろしたいので早々に外交局が乗り出してくれるとありがたいのですが。」
「外交局は今は西が主戦場となっていますからね。
もうしばらく待っていただくしかないでしょう。」
ラックが言う。
「ラックさん達の報告も上げているのですか?」
「私の方は総長に上げています。
まぁ・・・キタミザト殿よりかは内容が薄いかと思いますけどね。」
「・・・ファロン子爵領をどう見ますか?」
「ふむ・・・特に気にする事はありませんでしたね。
何もなさ過ぎたとも思いますけど。
それは向こうの護衛方がしっかりと仕事をしてくれていましたけど。」
「・・・脅威度はどうでしょう?」
「上がっているかどうか・・・難しいですね。
今まで越境をしていなかった所にしたのです。
私達では何とも、次回があればわかるでしょう。」
ラックが言う。
「次回・・・ねぇ。」
武雄がそう言いながら空を見上げるのだった。
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