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第2256話 馬防柵(拒馬)の設置検討。(着々と準備をしよう。)

エルヴィス伯爵邸の会議室。

トレーシーと鈴音がエルヴィス爺さんとフレデリック、騎士団長、兵士長を前に黒板に色々書いて説明をしていた。


「と、このように・・・えーっと・・・このように配置するのもよろしいかと思います。」

「横に2m毎に1m幅の柵を並べて行き、1m外に行った所に後ろの柵の位置から横に0.5mズラして設置、それを4列つ作る・・・ですか。」

兵士長のデビットが考えながら言う。

「はい、拒馬きょばという物は防御力はほぼありません、ですが、騎馬の突進力を封じる事が目的です。

 今回の相手は大きな狼と聞いています。

 なので、試験小隊案とは別に私と室長で空いている時にミア軍団の狼さん達に協力頂き、走り辛い間隔の確認をしてみました。

 結果として4列以上で正面から見た時に0.5m程度に後ろと前の柵を被せた状態で、全速力で走り抜けるのは、ほぼ不可能であり、狼達の感想としては5割も速度が出せなかったという結果になりました。」

鈴音が言う。

「0.5m後ろと前の柵で被るのは意味があったと?」

騎士団長のハロルドが聞いてくる。

「はい、ズラして設置はしましたが、前と後ろの端を同じ位置にして配置した場合、全速力とは言いませんが、8割程度の速さで駆け抜けられるという結果でした。

 端と端に隙間があった場合は全速力で走れたと。

 また、他のとは違い、被らせる事によって通過時に左右に体が振られて足にそれなりの疲労感が強かったったとも報告をされています。

 私達の考えでは、柵を通る際に突撃の速度を落とさせ、尚且つ足を疲れさせるのは柵を突破後の戦闘において、こちらが優位になる可能性が高いと言えると考えます。」

鈴音が言う。

「ふむ・・・伯爵様、フレデリック殿、兵士長殿、この案は良いのではないですか?」

ハロルドがエルヴィス爺さん達に言う。

「ふむ・・・今回は防御に徹する事を考えると、この案は実用的じゃの。

 ちなみにハロルド、デビット、試験小隊との打ち合わせでは何と言っておるかの?」

「はい、試験小隊のアンダーセン殿からはスズネ殿のように整然と並べるのではなく、順不同で・・・と直進的に突撃させないようにバラバラにした方が良いのではないかとの提案でした。

 兵士の視点から左右に均等になっているよりも右に2歩、左に3歩というような形の方が疲れが大きく感じるはずだとの事です。」

デビットが言う。

「ふむ・・・なるほどの。

 どちらも速度を落とし、疲れさせるという着眼点という事じゃな。」

エルヴィス爺さんが頷く。

「スズネ様、お聞きしたいのですが、このように柵をある意味、均等に並べてしまうと確かに走り込んでくる速度は落とせます。

 ですが、絵で描かれてわかりますが、斜めに走り込めば体が左右に振られないので疲れを感じさせないのではないですか?」

フレデリックが質問をしてくる。

「はい、確かに斜めに駆け抜けるという対処法はあります。

 ですが、この柵を抜けると盾を置いた兵士達が並んでいます。

 斜めに入って来て、そのまま盾に当たったとしても正面から当たるよりも威力は下がると思われます。」

「補足として、柵に突入してくる際に冷静に考えられてはいけませんので、近づいてきたら盾の後ろに居る兵士達による投石をしてはどうでしょうか。

 当たらなくても近くに飛んでくれば、そちらに意識が向く為、冷静に対処法を考える暇を与えず、疲れも増すと思われます。」

鈴音とトレーシーが言う。

「ふむ・・・スズネ様の案も良いですが、試験小隊の案ならば斜めの突撃も威力をかなり軽減出来そうですね。」

フレデリックが考えながら言う。

「具体的なのはハロルドとデビットで話し合いをして行くのが良いじゃろうの。

 トレーシーとスズネの方からはあるかの?」

エルヴィス爺さんが言う。

「はい、先ほども拒馬の構造を説明しましたが、柵に拘らなくても構わないと思います。

 現地で丸太が手に入れば丸太を使って三角錐のような障害物でも代用は効くと思います。

 出来るだけ厚めに拒馬を配置する事が肝要と思われます。」

鈴音が言う。

「うむ、そうじゃの。

 持って行ける量にも限りがあるじゃろう。

 その辺も現地で打ち合わせをしないといけないの。」

エルヴィス爺さんが頷く。

「それとトレーシー様、スズネ様、戦地に大勢の兵士が行くので、この街等の治安が一時的に悪くなるでしょう。

 捜査関係の兵士は残しますので、重犯罪は起こらないとは思いますが、いつも見れている所まで見れない事が予想されます。

 キタミザト家および研究所関係の皆様に外出時の注意喚起をお願いします。」

フレデリックが言う。

「わかりました。

 表通りは大丈夫でしょうが、暗くなる前に帰宅するか、夜道の1人歩きに注意するように伝えておきます。」

トレーシーが言う。

「はい、よろしくお願いします。」

フレデリックが頭を下げる。

「伯爵様、戦争の準備は順調なのでしょうか?」

鈴音がエルヴィス爺さんに聞く。

「まだ正式に宣戦布告文が来ておらぬから、表立っての注文等はしておらぬが、来たらすぐに発注が出来るようにしておるし、納期に日数がかかる物で信用が置ける店にはそれとなく話は持って行っておるよ。」

エルヴィス爺さんが言う。

「そうなのですね。」

「試験小隊の方はどうなのじゃ?」

「はい、武雄さんが王都で食物を買ってくる以外は個々の隊員の準備は終わっていると聞いています。

 命令があればすぐ出立出来るように日頃からある程度、荷物をまとめているので準備も終わっているという事です。」

「ふむ、その辺は経験じゃろう。

 ハロルド、デビットも用意を怠らないようにの。」

「「はい。」」

ハロルドとデビットが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ひしひし、と開戦が近付いてる感が良いですよね
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