第2255話 味噌を作ってみよう。(誰の出汁入りかな?)
ベルテ一家の蔵の中。
「おかわりだよー。」
ウカが熱々の煮汁が入った柄杓を桶に入れている。
「くぅーーー!まだまだ!ははは!大丈夫だ!」
ニオが笑いながら桶の中で足踏みしている。
「頑張れ!ニオ!熱さに負けるな!頑張って!
だーちゃん!米麹と塩を1kgずつ追加!
ニオ、これで一旦終われるよ!頑張れ!」
コノハが簡易的な団扇でニオを仰ぎながら応援している。
「あいあい~。
ニオ、ガンバ~。」
ダキニが米麹と塩を入れる。
「途端に重く、あー!熱い!ははは!大丈夫だ!混ぜるぞ!
ん?ウカ!予想より硬くなった、あと柄杓半分だな!」
「はい、おかわりねー。
よいしょ♪」
「はぁぁあぁ!混ぜるぞ!混ぜるぞ!」
ニオが足で大豆と米麹と塩を混ぜて行く。
「わぁ、凄い。」
アリスがその光景を見ながら呟く。
「これが・・・味噌と醤油作りなんですか。」
「煮汁が熱々すぎじゃないですか?」
ボーナとドナートが半ば呆れながら言う。
「こりゃ、大変だね。」
「エンマ、これ、私達が次やるの?」
「熱そうだよね。」
エンマが呆れる横でニルデとジルダが難しい顔させてエンマに聞いてくる。
「確かに、あの熱々の茹でたて大豆の上に乗って、塩と麹を入れて、大豆の煮汁追加って・・・私達出来るのかな?
経験上やるという事になったけどね。」
「エンマ・・・ケアかけっぱなしだよね。」
ニルデが言う。
「ケアかけても熱いのは熱いと思うんだよね・・・ニルデもジルダもダメならダメでしょうがないよ。
テイラーさんにやって貰おうね。
私達は体験で良いらしいから。」
「エンマ、消極的。」
ジルダがエンマに言う。
「ははは、私達は女の子、我慢できない事もあるわよ。
その時は男性に頑張って貰わないとね。
さ、テイラーさんの次にやる順番決めようか。」
「「エンマが最初。」」
ニルデとジルダが指差して言う。
「う・・・その根拠は?」
「エンマ、昨日、『ワインならあるけどね~、まぁ任せて!ワインの経験を元にニルデとジルダに踏む見本を見せてあげるから』て言ってた。」
ジルダが言う。
「昨日の私を殴りたい!」
エンマがガックリとする。
「ふむ・・・」
コノハがお椀で樽の中の味噌の素をすくって、樽の中に落とし、粘度を見ている。
「コノハ!どうだ?」
ニオが足を止め聞いてくる。
「ん~・・・だーちゃん、うーちゃん、どう思う?」
「・・・私はこのぐらいで良いと思うな。」
「でも・・・少し水気多いかな?
ニオ、あと5回かき回して水気飛ばしてみて。」
「うむ。」
ニオがウカの言葉で足で味噌の素を混ぜる。
「・・・」
コノハが再びお椀ですくって、樽の中に落とし、粘度を確認する。
「・・・コノちゃん、これで行ってみる?」
「そだねぇ、このぐらいにしようか。
だーちゃん、椅子を用意してニオに座らせてあげて。」
「はいはい、持ってくるからね。」
ダキニが近くにある椅子を桶の横に置くとニオが足を桶に入れたまま座る。
「よし、ニオ、足に付いたの取るね。
足上げて。」
「うむ。」
ウカが手を洗ってからニオの足に付いた味噌の素を撫でながら取る。
「・・・よし。」
コノハは自らの手で最後に味噌の素を万遍なく混ぜる。
「だーちゃん、瓶持って来て。
ニルデ、ジルダ、お手伝いお願い。
手を洗ってからこっちに来てね。」
「「はーい。」」
ニルデとジルダがコノハに呼ばれてやって来る。
「コノちゃん、持ってきたよ。」
ダキニが瓶を持ってくる。
「うん、ありがとう。
このニオが捏ねてくれた素をこぶし大の大きさに手ですくって、瓶の底に向かって軽く投げる。
底に付いたら、拳骨を作って投げた素を平らにする。
わかったかな?」
コノハが実践しながら2人に見せる。
「「大丈夫。」」
「うん、なら一緒にして行くわよ。
焦らなくて良いからね。」
コノハとニルデ、ジルダが味噌の素を瓶に入れる作業を始める。
「今回ので瓶3つ分だよね。
あと2回か。
ニオ、休憩する?」
ダキニがニオに聞く。
「まだ大丈夫だが・・・我の代わりにテイラーがしてくれるだろう。
準備もしているようだし。」
「うん、足も丹念に洗っているね。
すっごく項垂れていてスローリーな動きでだけどね。」
ダキニが呆れながら言う。
「ははは、良き経験になるだろうな。」
「ニオ・・・やらないとダメなのかい?」
テイラーが弱々しく聞いてくる。
「エンマとウカが店に来て、依頼して来た時に了承しただろう?」
「あんな熱々だとは思わなかった。」
「うむ・・・それはテイラーが悪いな。
ウカはちゃんと言っていたし。」
「・・・精霊との約束なんだよね・・・」
「まぁ口約束とはいえなぁ・・・無理なら我が代わりにやれば良いだけだがな。
代わるか?」
「それはダメだよ。
はぁ・・・やるよ。」
テイラーが諦めながら言う。
「ふむ・・・アドバイスとしては・・・」
「しては?」
「我慢だ。」
「それアドバイスじゃないよ。」
「まぁ熱いのは最初と追加の汁が足にかかった時ぐらいだろう。
他は煎れたてのお茶ぐらいの熱さだ。」
「かなり熱いって事はわかるよ。」
テイラーが呆れながら言うのだった。
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