第2250話 質問を受け付けます。(色々と問題点を確認してみよう。)
「こういった改正は一領主でしても意味が無いと思います。
王都で決めて国中の軍組織に一気に改正を求める必要があると思います。
そして、そこに先ほどの士官学校案があるんです。
初級幹部みたいなものですね。」
「なるほど・・・別々に見えて繋がりがあるんですね。」
軍務局長が言う。
「というよりも・・・これは繋がりを持たせないと財政局が首を縦に振らないだろうな。」
クラーク議長が考えながら言う。
「それに・・・初等教育の部分も解決しないといけない事がありますね。」
ボールドが言う。
「ボールド殿、初等教育の所ですか?
各領主の所に施設を作るという。」
人事局長が聞いてくる。
「ええ・・・初等教育自体は良い案ではありますが、その最初の読み書き計算を教える教師をどうするかですね。
現状、この王都でさえ、13歳未満の子の教育は個人個人に任せています。
それを国立の施設で教育するという事は教師を置かないといけない。
まぁ実際は領主に頼んで誰かを配置させれば良いのですが・・・領主に頼ると地域間でバラツキが出ませんかね?」
「ふむ・・・キタミザト殿の言う内容ならあまり地域差は出ないと思いますが・・・あー、領主の意向が強い教育がされるのもあまり良い事ではないのでしょうかね。」
ボールドの言葉に人事局長が考えながら言う。
「それと初等教育での全国入学試験の内容は人事局の方で作成されるという事でよろしいでしょうか?
採点は現地でとなるでしょうが、確認の為に答案用紙を一度、王都で集約する必要があります。
そこから全領主の初等教育施設での点数の集計と施設毎の最高点と最低点、平均の集計を実施して、各領地にある施設に配布・・・局内で部程度の人員が必要ではないですか?」
ボールドが言う。
「ううむ・・・・」
人事局長が悩む。
「それとキタミザト殿、最初に言っていた特待生制度での授業料の補填とその制度を使い入ってくる苦学生の入学後の生活費の補助案ですが、これ自体は納得はしますが、公的な働ける場所の斡旋というのはどこの管轄でしょうか?」
ボールドが聞いてくる。
「・・・斡旋する店との交渉と生徒に提示するのは人事局だとは思います。
ですが、依頼する予定の店については王城の厨房の方々にお聞きした方が良いと思います。」
武雄が言う。
「・・・それはなぜですか?
公的というのであれば私は王城内の各局の雑用かと思ったのですが。」
「まだ、文官でない者が国家の中枢の各局の文書に触れるのは危ういと思います。
それを狙って良からぬ事を考える者が居ても不思議ではないでしょう?
なので、王城の厨房の料理人の出身店や付き合いのある問屋等の店で品出しや売り子の仕事をさせて貰えるようにしたらどうでしょうか。
基本的には勉学をする事が目的ですので、長時間働かせてはなりませんが、そこで知り得た販売方法や棚の整理方法等々はのちのち文官になってから生かす事が出来るかもしれません。
生徒さん方のお小遣いを得る方法として、店の方は従業員が主力の仕事に注力する事が出来、簡単な作業を信用が置ける者にさせられる。
なので、取引先と交渉をしてくれる部署であればどこでも構わないと思います。」
武雄が言う。
「クラーク議長、この斡旋関係は総監局に依頼する事になるのでしょうか。」
「うむ、王城の厨房だけでなくメイドとの付き合いのある仕立て屋も働かせて貰えるか聞いてみる必要があるでしょうな。
その辺は私達と人事局、総監局と話をしてまとめてから貴族会議にかけないといけないでしょう。」
クラーク議長がボールドに言う。
「わかりました。
キタミザト殿、王立学院としては斡旋の方法や生徒の働く為の条件については王立学院で検討します。」
ボールドが言う。
「お願いします。」
「それと王家、貴族、商家、地方からの入学者、その実家の資金力によって服装等の格差をなくす方法としての制服の着用義務ですが、キタミザト殿、それは本当に格差是正になるのでしょうか。」
ボールドが聞いてくる。
「現状よりかはなると思います。
ですが、人というのは面白いもので同じ物を与えてもオリジナリティ、つまりは弄りたくなるものです。
ボタンを変えたり、何か刺繍を入れたりとか・・・
ですが、制服自体は変わらないとしてあげるのであれば特待生も負い目が少ないと思います。
また、提案としては、卒業生から制服を買い取り、それを綺麗に洗濯して欲しい生徒に分配するという制度を設けてはいかがでしょう。
制服も実際はそれなりに高価になるはずです。
中古の制服が手に入るとわかれば喜ばれると思いますし、子供は背とか大きくなる時は一気に大きくなります。
地方から来た特待生には何着も買える余裕はないと思います。」
「なるほど。」
人事局長が頷く。
「キタミザト殿、ダッフルコートは魔法師専門学院にも使って良いでしょうか。」
「ん~・・・厚手のコートです。
動き回る学生さん達に適しているかと言われると・・・ちょっと自信がありません。
どちらかと言えばトレンチコートの方が良いと思います。
確か、トレンチコートで生地の色が選べたはずです。
他の部隊で使っていない色を使ってみるのも手ではあると思います。」
「わかりました、魔法師専門学院で考えてみます。」
軍務局長が頷くのだった。
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