第2247話 253日目 おや?想定より多い人が集まっている。(エイミーのお願い。)
王城の中会議室。
武雄達は朝食後、人事局に行き、人事局長達と会議室に向かったのだが、中に入るなり、それなりな人数が既にいた。
「人事局長・・・この人達は?」
武雄が人事局長に聞く。
「人事局と貴族会議だけだと思っていましたが・・・総監局長と軍務局長も居ますね。」
「その2つだと魔法師専門学院ですかね。
部屋は総監局に頼んだんですよね?」
「はい、部下が取ってくれましたが、中々大きい所が取れたなと思いはしましたが・・・
何でしょうね?」
「聞いていないのですか?」
「聞いていませんね。」
人事局長と武雄が顔を見合わせる。
とオルコットが入ってくる。
「お二人とも、おはようございます。」
「おはようございます、オルコット宰相。」
「おはようございます、宰相殿。」
武雄と人事局長が挨拶をする。
「・・・あれ?オルコット宰相??
なんで居るんですか?
今日は人事局とクラーク議長とボールド男爵とで王立学院の問題点と改善案を話すつもりだったのですけど。」
武雄が聞いてくる。
「ふふ、ならその悪巧みは私も知らないといけませんね。」
「いえ・・・悪巧みではないですよ?
私の考えを言って皆で今後を考えようという話なんですけど。」
「それは面白そうですね。」
オルコットがにこやかに言う。
「・・・ん~・・・ま、良いです。
議事進行はオルコット宰相がされるのですか?」
「ええ、私です。
議事録も総監局で取りますのでご安心を。
陛下が来るまでお待ちください。」
「・・・陛下まで・・・はぁ・・・
さて、何処に座るかなぁ。
皆こっちに座りましょうか。」
武雄達が席に向かって歩いていくのだった。
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王城のアズパール王の執務室。
エイミーとドネリーがアズパール王の執務机を挟んで座って話をしていた。
「以上が中間報告になります。」
エイミーがアズパール王に話し終えていた。
「・・・エイミー、グレースの嫁ぎ先の候補というか気になる輩はエイミーの予想通りか?」
「はい、概ね想像通りです。
相手まではわかりませんでしたが、昨日聞き出しました。
・・・条件としては悪くない選択だと思います。
あとはグレースの感情の問題かと。」
「そうか・・・オルコットに伝えておこう。」
「はい、お願いします。
それとお爺さま、お願いがあります。」
「お、エイミーからお願いか。
珍しいな。
なんだ?大抵の事はしてやるぞ?」
「ありがとうございます。
8月の長期休暇の際にエルヴィス伯爵領に行きたいのですが許可と推薦状を頂けますか?」
「8月?・・・何しに行くんだ?」
「1つはタケオさんやエルヴィス伯爵が何をしているかの確認と同窓でエルヴィス家に内定を頂いている女の子の事前打ち合わせに同行しようかと。
スミスとジーナは9月にある御前仕合の訓練で王都に残るでしょう。
なので、女の子1人での旅は危険ですから私とドネリーが一緒に居れば問題もないと思います。」
「・・・うん、まぁ、言いたい事はわかった。
だが・・・ん~・・・」
「お爺さま?」
「行くのも良い経験になるだろうし・・・タケオの暴走具合を見に行ってくれるのは助かるんだが。」
「タケオさんが暴走している事は確定済みなんですか。」
アズパール王の言い方にエイミーが呆れる。
「タケオは自由にさせてこそ国家利益となるだろう。
それにタケオが好き勝手するのは貴族になる時の条件のようなものだからな。
我は名君ではないだろうが、部下が好きに動けるようにしてやれる度量はあるつもりだ。」
「お爺さまは数代遡って比べてみても名君と言われる器であると思います。」
エイミーが言う。
「はは、それは後世の者が決めれば良い。
それにしても・・・ん~・・・エイミー、王立学院の長期休みは3回あったよな?」
「はい、8月から9月半までの7週間と12月末から1月初旬までの3週間、3月末の2週間です。
3月末は休みと言うか次年の準備期間なので遠方の者は帰省をしません。
それに私としても8月の長期休暇中に自領以外の政策も見ておいた方が今後の役に立ちそうと考えています。
なら、タケオさんが新しい事を数多くしているエルヴィス伯爵領が一番です。
なので、エルヴィス伯爵に文官等の仕事を見せて貰えるよう推薦状を書いてください。」
「そうか・・・そぉかぁ~・・・」
アズパール王が腕を組んで悩む。
「お爺さま、何かあるのですか?」
「・・・・・・・・・行くのなら第3皇子一家のエリカを同行させなさい。
エリカはエルヴィス伯爵邸に滞在しているし、向こうの文官とも話をした事があると報告を受けているからな。
それにエリカなら色々と助言もしてくれるだろう。
エリカは火系の魔法師でもあるし、精霊も付いているから、あとは王都守備隊の者を数名で良いだろう。
王都の壁からエルヴィス伯爵領の西の町まで無事に行けば、それ以降は魔物は出ないようだからな。
最低限で良いだろう。」
「わかりました。
お爺さま、私の卒業後の話ですが。」
「ん?王都で我の手伝いじゃないのか?」
「それはクリフ伯父上やパットの仕事ですよ。
パットと比べられるのは避けたいと思います。
・・・私は王都を離れたいと思います。
実家にも戻る気はありません。」
「そうか・・・エルヴィス伯爵の所は楽しそうだな。
それにエイミーは客という立場にはなるだろうが、エルヴィス伯爵ならしっかりとこき使ってくれそうだ。」
「望む所です。」
「うん、それでこそエイミーだな。
だが、まだ仮定の話だ。
今回の現地視察で最終的な身の振り方の判断をすれば良いだろう。
ダメなら、我の手伝いだからな。」
「はい、わかりました。」
エイミーが頷くのだった。
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