第2245話 エイミーのお悩み。(ブルックの相談。)
寄宿舎の食堂。
「はぁ・・・」
エイミーが夕食を見ながらため息をつく。
「エイミー殿下、どうしたのですか?
夕食美味しいですよ?」
ドネリーが聞いてくる。
「うん?・・・そうね・・・うん、美味しい。」
エイミーが一口食べて頷く。
「王城で何かありましたか?」
「王城ではないわね。
はぁ・・・タケオさんが寄宿舎に来てね。
帰り際に話したんだけど。」
「キタミザト様が?」
「ええ・・・大豆、大量に依頼するって。」
「エイミー殿下に言っても・・・」
「そう、だからタケオさんも第2皇子一家に注文するからと言ってくれたわよ。」
「ふーん。
どのくらいですか?」
「10倍・・・」
エイミーがガックリしながら言う。
「あー・・・確か、クリナ殿下が大豆を使っているんですよね。」
「はぁ・・・加工品が出来て輸出も出来て嬉しい悲鳴だったんだけど、ここに来て逼迫したわ。
それにしても・・・タケオさん、何作っているんだろう?」
「・・・ん~・・・クリナ殿下がしている食材ではないのでしょうか?」
「それだったらタケオさんはそういうんじゃない?
なのに、言わないのよね。」
「それでいて10倍の仕入れを予告ですか。
・・・何か作り出したんでしょうね。」
「そうね、試作から試験販売に向けて何かするのかな?
なのに内容を言わない・・・」
再びエイミーがガックリする。
「・・・たぶん売れるんでしょうね。」
「はぁ・・・やっぱりそう思うわよね。
まぁ、実家での調整が大変なんだろうなぁ。
一応、実家にはタケオさんから言われたというのは伝えておくか。」
「残りに余裕があれば良いですね。」
エイミーとドネリーが諦めながら言うのだった。
「エイミーお姉様、同席してよろしいですか?」
グレースとお付きのバウアーが夕飯を持ってやって来る。
「良いわよ。
どうしたの?いつもは1年生達と取っているでしょう?」
「いえ・・・エイミーお姉様、あとで部屋に行ってもよろしいでしょうか?」
「構わないわよ?
・・・ここでは言えない事?」
「いえ、そういう・・・はい、ここでは外聞がよろしくないかと。」
「そう・・・なら、食後に話しますか。」
「お願いします。」
グレースが軽く頭を下げるのだった。
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王城の武雄達の部屋。
夕食後の武雄達は明日に向けて何をするでもなく、のほほんと過ごしている。
チビッ子達は湯浴みの準備をして、時間が来るのをお茶やゴロゴロしながら待っている。
武雄は窓際でノートに書き物をしていたのだが、扉がノックされ返事をするとブルックとアーキンが入ってくる。
「「失礼します。」」
2人が入って来て礼をして武雄の対面に座る。
「おかえりなさい。
午後から仕事でしたね。
仕事の話の前に、休暇はどうでしたか?」
「どこぞの貴族様に遭遇した以外はリラックスして過ごせました。
所長が帰ってから大変だったんですよ。」
ブルックが言ってくる。
「へぇ・・・迷惑かけてないはずなんですけど?
昼食取っただけで何があったのですか?」
武雄が言ってくる。
「母親が・・・」
「あー・・・それはお疲れ様です。
アーキンさんは何していたんですか?」
「ブルックの実家に行ったのと馴染みの店で友人と飲んでました。」
「うん、健全ですね。」
「・・・健全ですか?」
「いや、所長、ツッコんで欲しい所があるんですけど。」
アーキンが首を傾げ、ブルックが言ってくる。
「え?結婚するんでしょう?その挨拶だったのでしょう?
それこそ今更でしょう?いつ?」
武雄が聞いてくる。
「まだ、覚悟を決めた段階です。
これから色々と考えないといけないなぁという段階です。
所長の場合は・・・あ、唐突でしたか。」
「私はねぇ。
住む所は用意されましたし、仕事も用意されて・・・あれ?私、決められたことを淡々としているだけですね。」
「「うん、淡々ではないですね。」」
アーキンとブルックが否定する。
「・・・まぁ、良いか。
で、今後はどうするんですか?」
「そこもまだですね。
所長、辞表いつ出しますか?」
「そこはアンダーセンさんと相談しながらね。
そうですか・・・仕事作らないとね。」
「私はどこに行くのでしょうか・・・」
ブルックが微妙な顔をさせながら言う。
「専業主婦が良いなら特にはしませんけど・・・そういえば、試験小隊の奥様方が働き出しているんですよね。
お金少ないからなんですかね。」
「いや、そうじゃないでしょう。
エルヴィス伯爵領の物価なら頂いている給金で十分なはずですし、特に何か買いたいのかもしれませんけど。」
ブルックが言ってくる。
「それなら良いのですけどね。
ま、ブルックさんの方は前に言った私的な保育所が有力ではありますよ。」
「・・・子供達を預かるんでしたよね。
すっごく大変そうなんですけど。」
「追々話していきましょう。
さて、仕事の方の話を聞きましょうか。」
「はい、ラック隊長同伴の下、例の店に行って来ました。」
アーキンが言う。
「え?ラックさんも行ったの?
それで?」
「はい、交渉というか打ち合わせの内容を報告します。」
アーキンが話し始めるのだった。
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