第2244話 勝率が高いのか低いのか。(夜の散策のご連絡をします。)
「・・・何でしょうか?」
ジーナがスミスの部屋に入って来ての第一声がこれです。
「ジーナは強くなっているという話をしていました。
もうジーナとは戦わない方が良いのかもしれませんね。」
「まだ、ご主人様に勝っていませんけども。
その決意は私が勝ってからでお願いしたいです。」
ジーナがジト目で言ってくる。
「・・・勝っているからもう戦わないのですよ。
それに私は我流でしかありません、鍛えたいのなら王都守備隊のように訓練をしている人達としなさい。
あの人達なら何人かは達人がいるでしょうし。」
「ご主人様も達人だと思います。」
「それは買い被りだと思いますけどね。
マリ、現状で私とジーナが模擬戦をしてどのくらいの勝率ですか?」
武雄がマリに聞く。
「・・・速さならジーナ、搦め手ならタケオだな。
7割方タケオが勝つだろう。」
「マリもそう思いますよね?
ほら、ご主人様、」
ジーナが頷く。
「・・・3割も負けるのか。
じゃやってはいけませんね。」
「ええええええ!?」
ジーナが驚く。
「3割も負けるのなら十分に負けます。
主人としての威厳があるので、怖くて出来ませんね。」
「ご主人様・・・7割勝つのですよ?
何が問題なのですか?」
「前の模擬戦での感覚から・・・あれの時より厳しくなるのですよね?
なら、次回は負けるでしょう。
私は攻撃手段が変わっていませんけど、ジーナはマリに習って剣技を磨いているんですよね?
・・・勝てないでしょう。」
武雄が考えながら言う。
「だが、タケオもタダではやられまい?」
「痛いのは嫌なので抵抗はするでしょうけどね・・・
ジーナがアリスと同等の速度で動くのなら・・・タイ捨流でしょう?
良くて相打ちかな。」
「むぅ・・・」
ジーナが口を尖らせる。
「まぁ!可愛い顔が台無しですよ。」
武雄がにこやかにジーナを見る。
「ちなみに・・・タケオ様、模擬戦ではそうですけど・・・
戦闘中ならどうですか?」
スミスが聞いてくる。
「うん?それはジーナと同等の技術や速度を持っているとして?」
「まぁ・・・相手がジーナでも良いのでしょうけど。
タケオ様が考えやすいというのなら同等の者と戦った場合としてでも良いですけど。」
「ん~・・・1対1ですか?」
「はい。
訓練場とかの開けた場所とかならどうですか?」
「・・・ん~・・・条件にもよるでしょうけど、1対1なら私がたぶん倒すでしょうね。」
「え?」
ジーナが武雄が言い切った事に少し驚く。
「タケオ様が勝つのは確定ですか?」
「ジーナと同等の相手ですよね?
1対1で不意の遭遇ではなく訓練場のような場所でというのなら・・・たぶん勝てますよ。」
「どうやるんですか?」
「基本は同じですよ。
相手と対峙して、振って来た所をシールドで躱して、拳銃で撃ち込めば良いだけです。
もしくは前にジーナにしたように動く前の拳の位置をシールドで固定させ、手を動かせないようにして撃ち込めば良いだけです。
もっと簡単にするなら開始と同時に進もうと一歩歩き始めた時に足元にシールドをしておけば、転ぶでしょうから、倒れた所を首元にでも撃ち込んで終わりでしょう。」
武雄が言う。
「・・・容赦ないですね。」
スミスが呆れながら言う。
「戦争で容赦も何もないと思いますけどね。
むしろさっさと終わらせる事が重要だと思いますけど。」
「むぅ・・・ご主人様はまだまだ高みに居ると思います。」
「ジーナからの評価は高いですね。
ま、気が向いたら模擬戦はするかもしれませんが。」
「本当ですか!?」
ジーナがぱぁっと顔を明るくさせる。
「あくまで気が向いたらです。
いつ言われても良いように訓練をしなさいね。」
「わかりました!
いつでも戦えるように訓練しますね。」
ジーナがやる気を見せる。
「はぁ・・・ジーナ、ダッフルコートを持って来ましたか?」
「はい、こちらに。」
ジーナが武雄にダッフルコートを渡す。
「確かに預かります。
あ、そうだ。
スミス坊ちゃんと寄宿舎の男子達と私で夜の社会見学に行きましょう。」
武雄がスミスに言う。
「社会見学ですか?」
スミスが聞いてくる。
「夜のね。
夜の街がどんな物なのか体験しに行きましょう。
今、段取り中なんで決まったら即実行です。
あ、ボールド男爵殿には了承を得ていますから息子さんとお付きの子も連れて行きますよ。
まぁ、アルダーソン男爵の方はボールド男爵から手紙で伝達してくれる手はずになっています。
なので、男の子達に連絡しておいてください。
予定があるとかなら無理にとは言いません。
スミス坊ちゃんのみ連れて行けば良いだけです。
予定が決まり次第、パナーマリ間で連絡を入れます。
わかりましたか?」
「わかりました。」
スミスが「前にジーナが行った女性が居る飲み屋に連れて行ってくれるのかな?」と思いながら頷く。
ジーナがやり取りを見ながら「あー、エリカ様に聞きに行くか」と思っていたりする。
「よし、なら、私は帰りましょうかね。
ジーナ。」
「はい、ご主人様。」
「最後にジーナの部屋を軽く見て帰ります。
行きますよ。」
「私の部屋は問題ないですから好きなだけ見てください。
こちらです。」
ジーナが先導して武雄がスミスの部屋を退出するのだった。
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