第2243話 寄宿舎到着。(スミスの剣技はどのレベルなのだろう。)
寄宿舎のスミスの部屋。
ジーナはダッフルコートを自室に取りに行っている。
「ん~・・・」
武雄がスミスの部屋をぐるりと見て軽く考えている。
「タケオ様?」
スミスがしまっていたダッフルコートを出して来て武雄が悩んでいるのを不思議がる。
「うん?
部屋が綺麗ですね。」
「当たり前ですよ。」
武雄の言葉にスミスが呆れながら答える。
「マリ・・・この年齢なら少しぐらいダラダラしても良いと思いますよ?
むしろそっちの方が健全だと思うのですけど?」
武雄が窓際に居るチビマリに言う。
「なぜに某に?
某は何も言っていません、いくら某でも私生活までは指導していません。
これは主の性格です。」
「んん~・・・マリは厳しそうだからなぁ・・・それにしても、これがスミス坊ちゃんの普通ですか・・・」
「いや、タケオ様?
僕を何だとお思いで?」
「いえ・・・実家を離れたので気が緩んで少しぐらい汚くしていないかなぁと。
しっかりしていて・・・ねぇ?」
「ねぇ?と言われましても。
僕は実家でもこんなんですよ?」
「・・・マリの要求厳しいでしょう?
ちゃんとリラックス出来ていますか?」
「マリは勉強と剣技の訓練の日課では厳しいですけど、タケオ様達の忠告通り、自由時間をくれていますからその時は何も言って来ません。
僕的にはもう少し本を読む時間が欲しいんですけどね。」
スミスが苦笑しながら言う。
「そうですか・・・上手く精霊と付き合っているのなら良いですけど。」
「タケオ様達はどうなのですか?」
難しい顔をして頷く武雄にスミスが聞いてくる。
「・・・うち?・・・私はやりたいようにしているだけですけど、パナはどうですか?」
「タケオは出張が多いので私の腰を据えての研究時間が少ないですね。
まぁ、これはタケオの業務なので致し方ないですが。」
チビパナが武雄の肩に現れて言ってくる。
「あぁ、確かにタケオ様は出張が多いですよね。」
「まぁ・・・この後は慣例の戦争もありますが、その後は時間が取れると思いますよ。
パナ、すみませんが、もう少し待ってくださいね。」
「ですね。
それに魔王国に行っても色々と見聞きしていますからね。
研究に無価値という訳でもありませんから、不満はないのですけどね。
マリの方はどうです?
スミスを御前仕合に出させるのでしょう?
タケオ達に話をしていましたが、腕試しをするのは精神の成長には良いとして。
こう言っては何ですが、まだ、スミスは子供です。
過度の訓練をして体の成長を阻害する事は勧められません。
必要以上の負荷をかける必要はありませんよ?
時間はあります、まだ御前仕合に出さなくても良いのではないでしょうか?」
「あ、うんうん、そうですよ。」
パナの言葉にスミスが凄い勢いで頷く。
「体の成長を阻害するような過度の訓練はしておらんよ。
少々の打ち身はあるが、すぐに回復させている。」
「・・・あれが過度じゃないって・・・」
マリの言葉にスミスが呆れている。
「勝負勘を付けさせるのに癖のない今が良い時期なんだ。
それに実戦形式の模擬戦は王都守備隊としているのだが、主は負けてばかりで・・・真剣勝負で勝つという事を覚えさせたいんだ。
聞いた限りでは出て来る猛者達は王都守備隊よりか、組みやすいとの事で問題ないと思っている。」
「・・・ふむ・・・マリ、後で訓練内容を教えてください。
添削します。」
「うむ、わかった。
パナが見ればもっと効率の良い体の鍛え方があるかもしれないな。」
パナの問いにマリが頷く。
「・・・無くならなかった・・・」
スミスがガックリとする。
「まぁ、無理をしてまで勝ちに拘らなくても良いですけど。
真剣勝負をする事によって見える事もあるでしょうね。」
「タケオ様、課外授業でゴブリン相手に真剣勝負しました。
2体倒しましたよ。」
「うん、よくやりましたね。
でも、人間相手はまだですよね?」
「・・・模擬戦はしています。
タケオ様はしましたか?」
「・・・していませんね。
ま、テーアさん達を買いに行った時に少し手合わせはした程度ですね。
オークやオーガはそれなりにしているんですけどね。」
武雄が考えながら言う。
「その経験もおかしいと思うのですけどね。」
スミスが呆れる。
「いや、タケオ、魔眼状態のアリスとしていますよね?」
「・・・模擬戦ではね。
真剣勝負だったのなら、私の命はありませんよ。」
パナの指摘に武雄が答える。
「・・・アリスお姉様となら確かに模擬戦とはいえ、十分に実践ですよね。」
スミスが言う。
「あれ?マリ、訓練でジーナとスミス坊ちゃんとではさせていないのですか?」
「ああ、させていないな。
ジーナの魔眼状態での対戦はいなすだけでも主にはまだ無理だからな。
今は王都守備隊で十分。
むしろタケオは良くやっていると思っている。
こっちにいる間にジーナとやるのか?」
マリが聞いてくる。
「マリに教え込まれているのに?
主人としての威厳をもう少し保ちたいのですけど・・・」
「大丈夫だと思うが?」
「はぁ・・・駆け引きとかで善処すれば善戦ぐらい出来ると思っておきます。
そもそも魔眼に一刀両断のタイ捨流とか・・・どんだけ無敵街道を突っ走っているんですか・・・
小太刀だからまだ間合い的に皆が対応出来るのでしょうけど。
あの魔眼ですよ?
小太刀じゃなくて大太刀だって軽々振れるでしょうし・・・この国では無敵を誇るでしょうね。」
「「この国?」」
スミスとマリが聞いてくる。
「魔王国は基本、アリス以上が跋扈していてもおかしくないし。
それを率いるダニエラさん・・・現魔王国国王陛下、あれは異常でしょう。
ドラゴンと遊び感覚で殴り合えると言うんですから・・・ジーナでも勝てないでしょうね。」
「上には上が居るんですね~・・・」
武雄の言葉にスミスが呆れるのだった。
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