第2240話 第3皇子一家の好感度向上作戦。(生理用品を配ってみよう。)
「ちなみに、この生理用品ですけど、試供品という事はまだ製品化の1歩手前なのですよね?」
エリカが聞いてくる。
「説明書にはこれから正式販売に向けて、使用感の確認や改善点等のアンケートが添付されていました。
それと開発を進めるにしても最低限の販売個数というのがあるらしく、多くの人に購入をお願いしているという事なのです。
なので、ちょうど始まる子達が多い王立学院でもこういった新しい商品の試用を手伝おうと思いまして声をかけています。」
エイミーが言う。
「使用感ですか・・・これは高いのですか?」
「1個の値段としてはちょっと高めという感じですが、薄い事の方がとても重要かと。
付け心地も良いので、この店は女性の事を考えて物を作ってくれる良心的なお店だと感じます。
協力できることは協力しようかと。」
エイミーが言う。
「そうですか・・・エイミー殿下、これを頼むのにはどうしたら良いのですか?」
「えっと・・・注文書をお送りすれば問題ないかと。
でも一応、この値段は試供品の値段で、製品化した場合、少し値段が上がる事を承知して欲しいとの事も言われていますが。」
「平気ですよ、それはわかっていますから。」
「あ、でしたら、また後日、私宛に来ていた試供品に付いていた注文書を持ってくるので書き写してください。」
「はい、わかりました。」
エリカが頷く。
「エリカさん、買うの?」
「はい、多くを買った方が開発の資金になるのでしょう?
なら、王城内の女性達に協力をお願いしても良いでしょう。
必要ないというのなら使わなければ良いのですから。
とりあえずは、私が買って皆に配れば良いのではないですか?
初期の反応を確認して、第3皇子一家として皆に配ったりしても良いかもしれません。」
「あ、なら、私とレイラからもこの段階から購入資金の供与しましょうかね。
レイラ、平気でしょう?」
アルマが言う。
「そうですね。
やるなら片っ端から配った方が良いかも。」
レイラが言う。
「・・・あれ?お姉様方、こういったのは口伝えで行くのでは?」
「「うん、だから配るんだけど?」」
アルマとレイラがエイミーに言う
「いえ・・・エルヴィス伯爵領内の商品ですよ?」
「そうだね。
私達が配ってはダメなの?」
アルマが聞いてくる。
「いえ、そうではないですが・・・第3皇子一家が動く理由はなんですか?」
「うん?良い人ぶりたいから。」
「王城内での味方を増やしたいからかな?」
レイラとアルマが言う。
「・・・ん~・・・」
エイミーが考える。
「エイミー殿下、この商品は画期的です。
なので、逸早く試供品が出来た事を王城内に広めてあげたら、王家の評価が上がる可能性があるのです。
良い商品が来たら王家で秘匿しないで皆に教える姿勢が私達にはあるとね。
まぁ、確かにエルヴィス伯爵領からの売り込みではありますけど・・・レイラ殿下が居る時点であっても不思議ではないですしね。
なので、皆さんに好感を持って貰おうと思った感じです。」
エリカが言う。
「ん~・・・言ってる事はわかりますが・・・」
エイミーが首を傾げる。
と、扉がノックされる。
「どうぞ。」
ウィリアムが答えると扉が開き武雄達が入ってくる。
「失礼します。
寄宿舎に行って来ますね。」
武雄が言う。
「うん、タケオさん、来ていきなりの外出の挨拶だね。
エイミーが生理用品を持ってきたんでね。
王城内で女性達に声をかけようと思うんですよ。」
ウィリアムが言う。
「よろしくお願いします。」
武雄が言う。
「タケオさん、私達に売り込みに来なかったよね?
来て良いんですよ?」
レイラが口を尖らせて言ってくる。
「まぁ、あれは発案自体は私ですが、開発は第二研究所の鈴音とアリスですし、ラルフさんの仕立て屋が生産していますからね。
そこにお任せ感があるのと。」
「「「と?」」」
「私が出立するまでに渡されなかったので、まだ十分な量が出来ていないと思っていたので話していません。
元々、王家と王城にも新製品の試供品の購入と研究事業の協力をお願いする気でいましたからのけ者にしたわけではありませんよ?」
「ならいーですよー。」
レイラが言う。
「実情を話すとこの生理用品、ナプキンと言いますけどね。
年間通して1人300個、銀貨2枚分を購入して貰ったとして、928名分が事業継続最低人数となっています。」
「「「「928名!?」」」」
アルマ、レイラ、エリカ、エイミーが驚く。
「ええ、この生理用品は圧倒的に利益がありません。
大量に作り、大量に販売出来なければ継続できない事業です。
それも無理強いして買って貰うような商品でもなく、必要とする人を探し、継続的に買って貰わなければならない商品です。」
「なんでエイミーの所にまず行ったの?」
アルマが聞いてくる。
「ついでではないですか?」
武雄が言う。
「ついで・・・」
エイミーが呆れる。
「元々はジーナやアリス、鈴音の為に開発を始めさせたんですよ。
で、出来たのでアリスと鈴音には渡し、ジーナに送る段階になって王立学院を利用しようと思ったんじゃないですか?
ジーナ、ラルフさんから何か言われましたか?」
「はい、王立学院の学友方に説明をして購入を促して欲しいと。」
「そうでしょうね。
928名ですからね・・・少しでも買ってくれる人を増やしたいでしょうからね。
流石、ラルフさん、狙い所が良いですね。」
武雄が頷く。
「なんで王立学院が良いの?」
アルマが聞いてくる。
「最初からこれを使えば、他を使おうとは思わないでしょう?
そして比較的安く提供できると言っているんです。
元々金銭的に余裕のある家の子達が大半ですよ?
買ってくれる可能性は高くなると考えるでしょう。
それに毎年女性が入るようになれば、年々使用者が増えて行きますし。」
「・・・流石にタケオさんの所の工房ね。」
レイラが呆れながら言う。
「私の協力工房はこのぐらい普通に考えます。
だからこそ、新商品をどんどん作れるのです。
良い工房と知り合えました。」
武雄がほくほく顔をさせながら言う。
だが、後ろに控えるジーナは「そのぐらい出来なければ、ご主人様に見放されるかもと考えての事だと思いますが」とジト目で武雄を見ているのだった。
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