第2236話 スミスとジーナと武雄で打ち合わせ。4(領内の農業と酪農について。)
「エルヴィス伯爵領内の政策は順調に推移しているようです。」
「「はい」」
「養鶏場も始まって、稼働率は順調に高まっています。
お肉はまだ市場に大量に回せませんが、卵は予想より多くを回せ始めているようです。
それに伴って卵の殻の回収作業も本格的に動くようです。
もう少し経てば、チョークの増産に臨めるでしょうね。」
「わかりました。
王城内で黒板を購入した方々に連絡を入れておきます。」
ジーナが言う。
「・・・うん、連絡いれるのね。
わかりました、それはエルヴィスさん達にも言っておきます。
ちなみに黒板の普及率はどうですか?」
「王城内の会議室に常設する事になるだろうという噂は聞いています。
それも結構大きめのをとの事です。
王立学院では全教室への設置が検討されているのと教員の部屋にも大きいのを入れたいようです。
教員の方から相談を受けました。」
「ジーナに相談?」
「はい、王立学院の備品等々は人事局なのですが、伺いを上げるにしても大まかな費用がわからないと書類が作れないという事で、何処に見積もりをお願いしようかと聞かれました。
一応、ハワース商会の事を伝えはしましたが、壁掛けなら取付等の工事をこっちで手配する事になるので、一旦、人事局に相談した方が良いと言っておきました。」
「うん・・・そうですね。
まぁ、大きめのが売れるのは良い事でしょうかね。」
武雄がジーナの報告に頷く。
「ハワース商会は大丈夫でしょうか?」
「まぁ、大丈夫でしょう。
キタミザト家関係の仕事も色々としてくれていますし、鉛筆も増産してくれます。
黒板も問題なく製造してくれるでしょう。
本業の方は今は建具や内装材の生産の仕事が多めに来ているようでそっちに注力していましたが、皆さんが仕事に邁進している感じでしたね。
暇そうではなかったですが、無理をしている風ではなかったですよ。」
「・・・わかりました。
なら、特に問題ないという事ですね。」
「ええ、問題ないので注文してください。
見積もりを取るのなら求める納期がわかった方が良いので希望日を書いて依頼すればそれに対しての回答を一緒に貰えるでしょう。」
「わかりました。
それも伝えておきます。」
ジーナが頷く。
「タケオ様、領内の農業はどうですか?
いつも通りですか?」
「西町と南町で主要生産物が変わりましたね。
西町はウスターソースの原材料の生産拠点に、南町は西町で落ちる分の小麦の生産を賄う事になっています。」
「あ、変わるのですね。」
「ウスターソースの供給不足の対応で西町が大幅に原材料の生産に動きますからね。
ウスターソースは領内への供給量増加と領外への輸出増加を見込んでの対応です。
需要はあるので、今年の西町への増産計画では多少豊作になっても全数買い取りが出来ると思います。
その後の増産も見込んでいるようです。
南町の方は実質小麦の増産になり、こちらも西町分の増産となるでしょうが・・・
どこまで伸びるかはわかりません。
元々が少ないので、どれだけ作っても今は領内で消費出来ますからね。
対応は出来るでしょう。」
「ん~・・・増産、増産なのですね。」
スミスが考えながら言う。
「農業従事者の人口は変わらないのに増産をさせるというのは中々に無理をさせてしまいますけどね。
そこは作っただけ売れると考えて貰えればと私は思います。
ゆくゆくは子沢山になって貰い、農地拡張をしてくれれば嬉しいのですけどね。」
「農業は時間がかかるのですね。」
「まぁ何世代にも渡ってその地で農業をして貰いますからね。
その過程で農地が拡大してくれればありがたいですね。
あとは需要が落ちないように領内で消費させる方法を考えるのと、供給が需要を上回った場合を想定しての加工品の検討をしておかないといけないと思いますね。」
「供給が需要を上回るって・・・タケオ様、それ直ぐじゃないですよね?」
スミスが呆れながら聞いてくる。
「スミス坊ちゃんが私の歳になるか、エルヴィスさんの歳になった時の話ですね。」
「そんな先の事をですか?」
「そうですが、今から考えておいて損はないですよ。
もしかしたら今の時点でも領外に輸出出来る加工品が出来るかもしれないでしょう?
それはそれで領内の産業の1つになるのですからして損はありません。
まぁ需要が増えるので小麦の買い足しが増えるかもしれませんが。」
武雄が笑顔で言う。
「んー・・・農業関連で農地の拡大が出来る案があると良いですよね。」
「それはエルヴィスさん達が考えていますよ。
それにスミス坊ちゃんが考えて行く事になりますね。」
「・・・わかりました。
それと他の産業はどうですか?」
「酪農関係でもエルヴィスさん達は悩んでいますね。
料理のレシピを街中に広めたらチーズが品薄になっています。
増産するにも牛が生まれて乳が採れるまで年数がかかりますからね。
すぐの増産が出来ないのです。
ゴドウィン伯爵領から輸入する方向で話が行っていますが、自領内の酪農への支援をどうするかを考えています。」
「んん~・・・こちらでも供給不足なんですか・・・」
スミスがガックリとするのだった。
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