第2234話 スミスとジーナと武雄で打ち合わせ。2(慣例の戦争関係。)
「まぁ、その辺は戻る際に考えますか。」
「それと、ご主人様、敵陣に分け入ってはいけませんからね?」
ジーナが言ってくる。
「確かに、タケオ様なら試験小隊の方々を率いてするかもしれないね。」
スミスが頷く。
「・・・するわけないでしょう。」
「「・・・」」
2人がジト目で武雄を見る。
「いやいや、しませんからね。
何が楽しくて敵陣に斬り込むんです。
私は遠くから観察してエルヴィスさん達に報告したり、その日の事を書いてアリスに送る事しかしませんよ。
あとは向こうが仕掛けてきたら相手をするくらいですし。」
武雄が言う。
「一応、信じておきます。」
ジーナが渋々頷く。
「わぁ、その信じていない顔・・・可愛い顔が大変な事になっていますよ。」
武雄がジーナを見ながら言う。
「そうさせているのはご主人様の日頃の行いです。」
「・・・戦闘で前に出た事なんてないで・・・あ、初陣の時から出てましたか。」
武雄が苦笑してしまいます。
「そうですね・・・初陣からおかしい行動していましたよね。」
スミスが呆れながら言う。
「ははは、その頃より私は成長しているのですよ。
どこがどんな風にとは言えませんけどね。
なので、戦争で前に出るなんてしません。」
「「はぁ・・・」」
2人がため息をつく。
「それと慣例の戦争ですが、正式な報告書と日報のような経過報告はゴドウィン伯爵が辺境伯という役目上、王城に出すでしょう。
私は王立研究所という立場上、同種の事を陛下相手にする事になりますが、まずは一風変わったことをしようと思います。」
「「はい。」」
「ミア軍団の鷲を多用しようと思っています。
まず戦地の上空からの情報を鷲にスライムを持たせて確認をさせる。
同行する初雪にそのスライムを吸収させる事によって当地の地図の作成をさせます。
また、我が国と魔王国双方の布陣も地図の上に駒等を用いてわかり易くします。
その日に起きた事と配置をエルヴィス邸に送る事とします。
アリスには戦地からの情報を書き写して貰い、ジーナに送って貰います。
この時は彩雲と紫雲が交互に行き来して貰う事になるでしょう。
なので・・・戦地からエルヴィス伯爵邸まで1日か2日、エルヴィス邸からジーナまでは1日。
この報告を毎日しようと思います。
ジーナはその情報を陛下に渡してください。」
「畏まりました。
ですが、戦地の地図情報が私にはありませんが。」
「それは最初の時に初雪に何枚か書かせて送る事になるでしょう。
王城で紙を繋ぎ合わせるか、新たに書いて用意してください。
日々の経過報告は駒の配置と雰囲気を送る事になると思います。」
「わかりました。」
ジーナが頷く。
「タケオ様、僕達は特にやる事はないのですか?」
「・・・無いですがあります。」
「?」
スミスが首を傾げる。
「どんな情報が入って来ても動じない。
これが大事です。」
「・・・どんな・・・情報でも・・・ですか?」
スミスが難しい顔をさせながら言う。
「ええ・・・大丈夫、いざとなればエルヴィスさんだけでも守って帰還しますよ。」
「ご主人様、先ほどは大まかな兵力を言ってくださいましたが、どうなるとお考えですか?」
「基本的にはファロン子爵とパーニ伯爵が2500名ずつ、ベッリ男爵が500名と私とエルヴィスさんは思っています。
そこにヴァレーリ陛下以下5000名が後ろに控えるのですけど。
ヴァレーリ陛下は魔王国側が大敗しない限りは動かないとは言ってくれています。
ベッリ男爵には『あまり攻めるな』とは言ってくれるという事にはなっていますが・・・さて、魔法師が500名ですよね。」
「・・・ご主人様、そこなのですが。」
ジーナが考えながら言う。
「ベッリ男爵の所ですか?」
「はい・・・領主が来られるのに500名なのですか?」
「と、私とエルヴィスさんは思っています。
エルヴィス家の騎士団と同じ程度かなぁっと。」
「・・・ベッリ男爵も常駐兵力が3000名ですよ?
確か各領主は常駐兵力が3000名程度のはずです。
慣例の戦争には2500名出て、500名は居残りとするはずです。」
「・・・500名は少ないですかね?」
「ん~・・・特に今回は領主間の依頼ではなくヴァレーリ陛下からの下知ですよね。
常駐は3000名、戦争では2500名が展開、ですけど、今回は他領への支援・・・陛下の下知を加味して・・・私なら陛下からの依頼に応える姿勢とパーニ伯爵達への牽制で3割の1000名は連れて行くかと。
見栄えも威力もありますからパーニ伯爵達に侮られない数だとこれくらい出したいと思います。」
「・・・魔法師が1000名かぁ・・・」
「私ならです。
ご主人様や伯爵様のおっしゃる通り500名かもしれません。
ですが・・・多めに見積もっておいた方が良いかと思います。」
ジーナが言う。
「わかりました。
帰ったら伯爵達と協議します。」
「タケオ様、大丈夫ですか?」
スミスが聞いてくる。
「ま、今回は防戦でしょう。
守り切れば良いので知恵と勇気を振り絞ってきますよ。
ですが・・・やられ過ぎもダメでしょうし、隙を見せて大敗するのも・・・ね。
なので、追い詰められた場合、後先考えないで行動する事にします。
前にも話しましたが、現在小銃改1と改3が計6丁あります。
それを24時間ぶっ放して相手陣地を崩壊させるくらいはさせて大敗は免れようと思います。」
「・・・ご主人様、今更なんですけど・・・もしかして慣例の戦争ではご主人様方は勝てますよね?」
「・・・防衛戦において、私達は現状で後先考えなければ負けはありませんよ。
皆で関を守りながら試験小隊で小銃改を24時間撃ちこみ続ければ、向こうが勝手に引いてくれるでしょうからね。」
ジーナが聞いてくるのを武雄が言う。
「それは・・・」
ジーナがそう言って考える。
「ですが、その後の事を考えると容易に国家間の戦争で小銃改は使えません。
最後の一手でのみ使用する事としています。
もしくは相手にわからないように使用するならばとなるでしょう。
犠牲は出てしまいますが、今は温存させたいですね・・・先を考えればその方法しかありません。」
武雄が言うのだった。
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