第2224話 ジーナと料理教室に参加しよう。(新しいドレッシングとパン作り。)
「・・・あ、食べられる。」
ジーナがサラダを食べて呟く。
「お、良い感触ですね。」
武雄がジーナを見ながら言う。
「レモン・・・なんですけど、レモンより酸味が弱くなっています。
コショウもあまり辛くなく食べられます。
食べ慣れれば問題ないと思います。」
「なるほどね。
うちのセレーネとルアーナには同量のコショウで出していますが、辛いけどしょっぱくて美味しいと言ってくれましたよ。」
「しょっぱい?・・・レモンと塩を一緒に使っているので、塩が濃く感じたのでしょうか。
見ていた感じ、そこまで多くの塩を入れているようには見えませんでしたが。」
ジーナが考えながら言う。
「それは個人差でしょうね。
今はジーナが食べられるというのがわかったのが一番です。
レシピは渡しますから、各分量を調節して自分に適した物を作ってください。」
「わかりました。
研鑽に励みます。」
「・・・コショウの量を変えれば王都守備隊の3人にも出せそうですね。」
料理長がやってきてジーナを見ながら言う。
「決まりましたか?」
「ええ、今日の料理の方に使う量を決めました。
今は肉にかけて下準備を開始しています。
・・・キタミザト殿、30kgなんですよね?」
料理長が弱々しく聞いてくる。
「ええ、11年間はそれで輸入する事にしていて、出来るかは只今、魔王国側で最終調整中です。
たぶん輸入出来ますよ。」
「それ以上は・・・出来ないんですよね?」
「出来ませんね。
まぁ・・・しても良いですけど、単価が安くなるとは思えません。
多くを輸入すれば安くなるという商品では、今の所ありませんしね。」
「んん~・・・」
料理長が腕を組んで考える。
「料理長~、すみませんが、こっちで指示をお願いします。」
「ん?あぁ、キタミザト殿、ジーナ殿、少し離れます。」
料理長が料理人の下に行く。
「・・・ご主人様、コショウを輸入するのですか?」
「ええ、王都用には1kgあたり金貨1枚で毎月30kgをね。」
「え?コショウを?」
ジーナが武雄に訝しがりながら聞いてくる。
「ええ、ジーナ、耳を。」
武雄がジーナに耳打ちをするのだった。
「・・・?・・・・!・・・・?・・・ご主人様、それではご主人様しか魔王国から入手出来ませんよ。」
ジーナが呆れながら言ってくる。
「ははは、何とでも言いなさい。
たまにはこんな商売もしても良いでしょう?
それに比較的良心的な値段で卸していますよ?」
「まぁ・・・原価が高いのはわかりましたけど・・・
対魔王国の輸出入は当面はキタミザト家に依頼が来そうですね。
パーニ伯爵領からでは輸出は困難そうです。」
「そうですね・・・やり方に依りますけど、出来ると思いますよ?
まぁ、向こうの魔王国中央の商店がそれを許すとは思えませんけどね?」
「確かに、今の時点で優良なお客様ですものね。
生産者にも忠告をしに行くでしょうね。」
「それが狙いです。
安定供給をして欲しいのでね。」
「はぁ・・・30kgですか・・・多いようで少ないですよね。」
「市場には出回らないでしょうね。」
「うん、知っててやっているんですね。」
「ええ、まぁ当面は王城のみ、エルヴィス家とキタミザト家のみですね。」
「まぁ・・・良いのでしょうね。」
ジーナが再度、呆れるのだった。
「お待たせしました。
ジーナ殿、今日はパンですね。」
料理長がやって来る。
「・・・パン?今から?」
武雄が首を傾げる。
「ははは、今から作る生地は明日の朝用に、そして焼くのは今日の夕食用として予め準備していた生地ですよ。」
「・・・・はぁ、良いのでしょうか、それで?」
「ご主人様、パンは分量を間違えなければ良いと聞いています。
なので、問題ないと思います。」
「・・・そうですね。
料理長、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。
本当なら朝からパン作りをすれば自身で捏ねた物を焼くまで出来るのですけどね。
時間も限られていますから、今日は捏ねる工程と焼く工程を体験すれば良いと思います。」
「ふむ・・・パンかぁ。」
武雄が考える。
「ご主人様も作りますか?」
「そうですね・・・パンを作ったのは相当昔(授業で)にですからね。
もう1度体験しておく事は大事ですよね。」
ジーナの問いかけに武雄が頷く。
「なら、お二人でですね。
明日のキタミザト殿ご一行の朝食のパンはこのパンですね。
今、用意してきます。」
料理長がそう言い、準備をし出す。
「・・・真面目に作るか。」
武雄がボソッと言う。
「ご主人様、真面目に作らない気だったのですか?」
「いえ、そうではないですけど、
形を変えたり、中に何か入れようかと。」
「ご主人様、私が言うのもなんですが、それは普通のパンを作れるようになってからだと思います。」
「はーい。
あ、中力粉と強力粉の違いって粘り気で見分けるんだけど・・・果たして単品で見分けられるだろうか・・・
パナ、わかりそうですか?」
「ん~・・・多分出来ますが・・・コノハより自信はないですね。」
チビパナが武雄の肩に現れて言う。
「ご主人様、何かするのですか?」
「いえ、まぁ、魔王国からの小麦の輸入を多く出来るかどうかという話です。」
「??・・・小麦は小麦では?」
ジーナが首を傾げる。
「まぁ、そうなんですけどね。
パナ、レシピ書き留めておいてください。
同じ工程でエルヴィス伯爵邸に帰ったら向こうの小麦でします。」
「わかりました。」
チビパナが言うのだった。
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