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第2221話 名物というのは難しい。(毎日の研鑽がいつか名物になるかも。)

武雄達は食事を取っていた。

「普通ですね。」

フォレットが言う。

「これが街中の普通なんですね・・・普通かぁ・・・

 オリーブオイルと塩と香草ね。

 なるほど。」

武雄が食べながら言う。

「主の食事が美味しすぎるんですよ。

 でも普通でも十分に美味しいですよ?」

「きゅ。」

ミアが言うとクゥが頷く。

「タケオ、このシチューが普通なんっスか?

 伯爵の所も栄養価は高いけど、こっちも高いっスよ?」

時雨が言う。

「普通、普通と連呼しないでください。

 というより、所長何しに来たんですか?」

注文と配膳が一段落したブルックが武雄の横に座り言ってくる。

「・・・昼食。」

「いや、王城で取れるでしょう!?

 フォレットを借りてまで・・・」

「あ、私今日は非番です。」

フォレットが言う。

「昼食を奢る事でここまで連れて来てくれました。

 安心してください、バートさんには許可を貰っています。」

「はぁ・・・どうやってここまで来たんですか?

 フォレットはここ知らないはずですよ?」

「場所は総長に聞きました。」

「はぁ・・・王都守備隊が全面協力ってなんだかなぁ・・・」

ブルックがガックリとする。

「写した履歴書を見せて『ここ行きたい』と言いました。」

「持ち歩いているし。」

「予備ですよ。

 それに大袋だから盗まれませんし、大丈夫です。」

「そっちの心配はしていません、

 アンダーセン隊長かヴィクター殿が写したんでしょうけど。」

「はい、行くなら持って行った方が良いと。

 アンダーセンさんがくれました。」

武雄が笑顔で言う。

「はぁ・・・で、所長、お味は?」

「こういう物なんでしょう?」

「うん、美味しくないという事ですか?」

「いえ、違います。

 でもこれがこの辺の普通の味なのでしょう?」

「はい、昔からこの味です。」

「でしたら、なにも言う事はありません。

 こういった物なのですから。」

「はぁ・・・改善点はありますか?

 もしくはもっと美味しくなる方法とか。」

「あるけどありません。」

「・・・あ、魔王国のコショウですか?」

ブルックが考えながら言ってくる。

「そうですね。

 調理方法は簡単ですよ。」

「・・・王都ですら売っていませんね。

 それは諦めます。

 他に美味しくなる方法はないですか?」

ブルックが聞いてくる。

「ウスターソースとか。」

「王都では見かけませんね。

 となると、クリフ殿下領からの入荷待ちでしょうけど・・・王都で一体いくらで売られるんでしょうかね。」

「さて・・・生産しているエルヴィス伯爵領と第1皇子一家領では販売価格は一緒にしていますけどね。

 他領に卸された際の販売価格はわかりかねます。

 輸送費を加味するでしょうし、入手量にもよるかもしれませんね。」

「高そうですね。」

「少なくともエルヴィス伯爵領で買うよりかは高くなるでしょうね。」

「はぁ・・・となるとこの辺の住民相手にしている実家(ここ)では当面は買えないかもしれないですね。」

「クリフ殿下領での増産が望まれますね。」

「そうですね・・・味の改良は諦めます。

 はぁ・・・所長が来たから何か新しい調理方法のヒントが出てくるかと思ったんですけどね。」

ブルックが言う。

「それは残念でした。

 私は街中の食事がしたかっただけなのでね。

 それに・・・ふむ・・・エルヴィス伯爵領の方が味が良いかもしれませんね。」

「それはウスターソースの影響が大きいですよ。

 私個人としても実家(ここ)よりエルヴィス伯爵領の店の方が各段に上だと思いますもの。

 本当なら何か名物料理が出来れば良いんですけどね。」

「ないんですか?」

「良くも悪くも街中の飲食店ですよ。

 昼も夜も同じメニューですからね。

 なので、変わった味にとは思いませんが、少し美味しい物が出せれば集客になるかと思っただけです。」

「名物料理ですかぁ・・・ん~・・・」

武雄が考える。

「ありそうですか?」

「・・・エルヴィス伯爵領内でとなれば、養鶏場がある関係でそっちで名物は考えられるかもしれませんが、王都というと・・・どうでしょうか。

 王国中から物が集まるという事は食材や調味料が豊富という事ですよね。」

「はい、そうです。

 なので、多少値が張っても買いそろえる事が出来ると思うのです。

 地方領では結構、名物と言っている物が見受けられるんですけどね。

 王都では私が知る限りないんですよ。」

「王都だからこそ名物が無いのかもしれませんね。」

「物が豊富だからですか?」

「選べる選択肢が多いから名物が出来ない・・・のかもしれません。

 食材が乏しい所ではどの店に行っても同じメニューしかなく、町や村を訪れた人が『どの店に行ってもある料理』という認識で、その地の名物というのが確立されるのかもしれません。」

「なるほど・・・王都にはそんな料理はありませんね。」

「それは残念でした。

 個々の店では・・・何か目新しい味で勝負するしかないかもしれないですね。」

「そう簡単には出来ないでしょうね。」

「すぐ出来るのなら誰かがしてるはずですからね。

 研鑽していくしかないですよ。」

「そうですね。」

ブルックが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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