第2218話 隣接3国の報告会。6(読みが正確だと思わせよう。)
「ふむ・・・戦争関連はこの程度か。
タケオ、魔王国関係で言いたい事はあるか?」
「魔王国側で慣例の戦争の兆しがあります。」
アズパール王の問いに武雄がいけしゃあしゃあと言う。
「ふむ・・・エルヴィス伯爵とゴドウィン伯爵から同様な報告は来ていたな。
外交局長は見ているな?」
「はい、ゴドウィン伯爵の関での異変の件ですね?
エルヴィス伯爵の方は見ておりませんが・・・キタミザト殿が今回の視察で感じましたか?」
「いえ、魔王国王都は平穏その物、私達に何かを隠している、もしくは見せないようにしている雰囲気もされてもいません。
なので、魔王国が本気で侵攻戦争をする事はないと考えられます。
ですが、地方領では違うようです。
まぁ、こちらは商売上知った感じではありますが・・・いつかはわかりませんけど、兆しがあると見受けられます。」
武雄が外交局長に言う。
「ふむ・・・具体的にはわからないですか?」
「・・・正確にはわからないですね、報告をあげるような日程までは把握出来ていません。
『近々でどうもそういう感じがする』程度ではありますが、エルヴィス伯爵は警戒をしてくれています。」
武雄が言う。
「・・・キタミザト殿の私見で構いませんが、いつと?」
「8月上旬から9月半ばで・・・でしょうかね。
もう少し後になるかもしれませんが。」
「・・・どちらにしてもすぐじゃないですか。」
外交局長が真顔で言ってくる。
「ええ、残してきている研究所の面々やエルヴィス家には伝えてあります。
宣戦布告文が来たらすぐに準備を始めるように言っています。
まぁ、来なければ動く事は出来ないので、机上演習としては訓練になるでしょうね。
あ、そうだ。陛下、戦争への参戦ですが、費用は前に渡された参戦時の費用精算方法で良いのですよね?」
「あぁ、タケオとアルダーソンに渡したやつで運用してくれ。
今回ので不備があれば後日訂正する事になるだろう。
精査してくれ。」
アズパール王が言う。
「戦争なんてないに越した事はありません。
・・・来たらやるしかないのですよね。」
武雄が呆れながら言う。
「ま、タケオの職務に含まれるからな。
頼むぞ。」
「・・・はい。」
「キタミザト殿、お気をつけて。」
外交局長が難しい顔をさせて言うのだった。
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アスカムの材木店。
アスカムが自身の執務机で武雄に依頼された内容の問屋からの穀物等々の見積もりを見ていた。
「ん~・・・変わらないなぁ・・・こっちにするか・・・こっちか・・・
今の付き合いを勘案すると・・・こっちか?
でも、今後を考えると・・・こっち?
ん~・・・どこにするかなぁ。」
どうも数店から相見積もりを取ったようで迷っていた。
と扉がノックされ、アスカムが生返事をすると店員が入ってくる。
「失礼します。
例の件(ウィリプ連合国との戦争)で王城より見積もり依頼が来ています。」
「・・・また、見積もりか。
何か売り上げになる物を依頼して欲しい物だ。」
アスカムが見積もりから目を放さずに言う。
「致し方ありません。
・・・それは言われていたキタミザト子爵からのですか?」
店員が言ってくる。
「あぁ、キタミザト殿は変な依頼はするが、売り上げになるからな。
ちゃんと精査して次に繋げないとな。
・・・うちって材木店なんだがなぁ。」
アスカムが書類から顔を上げて店員を見る。
「趣味でやられている輸出入が良い結果になっていますね。
この際、そちらも本業にしますか?」
「それな・・・付き合いのある問屋をどうするか決めかねている。
上手く取り込めるように皆には動いて貰う事になるかもな。
それはちょっと今後の事だ、今どうのではない。
どこかで皆で話そう。」
「わかりました。
それでは、これで。
見積もり依頼に目を通してくださいね。」
「こっちが終わったらな。」
アスカムが言うのだった。
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王家ご用達の仕立て屋の奥。
届いた木箱を店長以下数名の店員が見ていた。
「・・・来たな。」
店長がそう呟くと数名の店員も頷く。
「開けます。」
そういって1人が木箱を開ける。
中には綺麗に紙で包装された物が入っていた。
「・・・これがダウンジャケットか。」
店長が1つ持ち上げて包装を取り、目の前に広げながら言う。
「エルヴィス伯爵領ではこれを売り出すのですか・・・暖かそうですね。」
「はぁ・・・なるほどなぁ。」
「これは良さそうですね。」
店員達が言う。
「ふむ・・・ラルフ殿からの売り込みだが・・・仕入れてみるか。
ん~・・・王家に新規のコートが出て来たとお知らせをするにして・・・
仕入れサイズをどうするかだな。
アルマ殿下とレイラ殿下が身籠られている、大き目を注文されるだろうが・・・」
「これも10着ずつなんですかね?」
「そう書いてある、サイズは2種類までなら対応してくれるそうだ。
んー・・・困ったなぁ。
どのくらい注文するべきか・・・」
「LとLLを5着ずつ。」
「いや、エイミー殿下達王立学院にも広がるかもしれない。
SとMを10着ずつでLとLLを15着ずつでは?」
「それだと売れなかった場合の在庫が増えないか?」
皆が注文数を考えるのだった。
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