第2217話 隣接3国の報告会。5(穀物の供給が思った以上に多いのでは?)
「まぁ、向こうの軍務に付く者(幹部だけど)にはタケオの言葉を受け止めるぐらい、しっかりとした組織だと思いたい。
我らとしても不用意な事をせずに、とりあえず、経済的に繋がり始める必要があると思う。
少なくともタケオは魔王国との輸出入に注力して貰おう。
エルヴィス伯爵の方も領内改造が上手く運べば輸出の方にも良い影響が出る・・・はずだ。
それと外交局長、戦後の統治時の当該地域の穀物不足だが、魔王国からそれなりの量を入れてみようと思うが、どう思う?」
「良い策だとは思います。
ですが・・・ふむ・・・国内穀物が今と同じ収穫量であるのなら・・・併合地への供給量の8割は輸入しての供給しかないかと思っておりました。
その辺は経済局が試算している最中だったと思いますが、外交局としては国内穀物価格に反映させるような事態は困りますので、出来るのなら国内のには手を付けたくありません。
外交は国内の情勢に左右されます。
国内が安定しないと併合地政策は上手く行かないでしょう。」
「ふむ・・・そうか。
・・・カトランダ帝国から輸出要請は来ると思うか?」
「・・・思います。」
アズパール王の問いかけに外交局長が難しい顔をさせながら言う。
「だよな・・・あの国は穀物が足らないから戦争をするんだ。
併合地への供給は準備をしていても・・・たぶん足らないだろうな。
・・・だが、折角併合したのに、当該地域が不安定になられるのは我らとしても困るな。
どうしたものか・・・」
「それは私達もそうです。
どの局長に聞いても、困ると答えますよ。
困っただけで済むのなら良いのですが、実害が想定されるのです。
何とかするしかないのですが・・・」
アズパール王と外交局長が武雄を見る。
「はぁ・・・まぁ、国内で見繕えないのなら他国しかないのはわかりますけどね・・・
量が量ですから割引が効くと思われるでしょうけど、魔王国は我らよりも人員も資源もある大国、その辺の情報は取っているでしょう。
なので、こっちの足元を見るかもしれません。
穀物価格はちょっと高めに想定してください。
それに私はまだしも中間に入る商店の利益も忘れずに。」
武雄が諦め顔をさせながら言う。
「そうだな・・・費用はウィリプ連合国から貰う事になるだろう。
それに相当な量を輸入するという事は1年前ですら遅いよな。」
「3年ぐらい前には言っておかないと・・・計画して、生産して出荷ですからね。
3年で足りるんですかね?」
武雄がアズパール王に言う。
「4年前・・・今だな。」
「どうします?
依頼しました、でも必要ありませんでしたというのは無しですよ?」
「・・・試算も含め経済局と財政局で打ち合わせをさせる。
タケオ、何が出来るかわからないが、準備をしておいてくれ。」
「はい・・・それもですが、是が非でも勝って、さらにはウィリプ連合国から賠償金を貰わなければならないですね。
外交局長・・・私は国家が破綻するのを見たくありませんけど。」
「私も国家の破綻は見たくもしたくもありません。
この戦争は是が非でも勝たなくてはいけない戦争です。
それもただ勝つだけでなく、優位な位置で交渉に臨むというのが命題です。
第一研究所と軍務局がどう戦争を想定するのか・・・ですね。
キタミザト殿、優位な位置はどうすれば手に入りますか?」
「知りませんよ。
・・・言いたくはありませんし、考えるのも嫌ですが・・・我々にとって有益な人物を生きて捕まえないといけない、要はウィリプ連合国から身代金を取るしかないでしょうね。
ただ・・・奴隷は換金できないでしょうね・・・」
「我先にと逃げ出す相手国の重鎮を生け捕りか・・・難しいな。」
「そうですね・・・軍務の専門でない私ですらそれは難しいというのはわかります。
キタミザト殿なら出来ますか?」
「実施出来るかは置いておけば・・・机上の空論程度なら出来ますよ。
魚の漁と同じで、後ろから攻め立てて、逃げる先に網を用意すれば良いだけですからね。」
「タケオ、簡単に言うな。」
「世の中の戦争事なんて紙の上では結構簡単な物ですよ。
それを実施するのが大変なだけです。
要は明け渡した町を占領させ、こっちから攻め立てて、町から追い出し、ウィリプ連合国に通じる街道で強襲するんです。
大軍が通る前から準備して、通る間は見つからず、過ぎ去ってから網を用意しておく、網にかかれば捕縛しなくてはいけない・・・なんですかね、この面倒なのは。」
武雄がヤレヤレと手を挙げて言う。
「・・・それ良い案だな。」
アズパール王が考えながら言う。
「はぁ・・・どこがです?
こんな事が出来るのは相当の技量を有している兵士です。
ただでさえ攻められているので防衛にまずは力を入れるのは当然、さらに攻め落とす人員なのですよ?
そこから秘密裏に裏に回る部隊は抽出出来ないと思いますが。」
「そうだな・・・我が国に余裕はないな。」
アズパール王が考えながら呟く。
「・・・」
武雄がアズパール王が何を思い至ったかわかり「嘘でしょう」と目を見開く。
「ですが、キタミザト殿、その案自体は悪いとは言えません。
案としては十分に効果が出る物と思います。」
外交局長が言ってくる。
「はぁ・・・やるにしても軍務局と第一研究所には言わないといけないですよね・・・
私からだと何か言われませんかね?」
「ふむ・・・タケオ、その案の骨子を作って我に送ってくれ。
検討するかどうかは別として、手詰まりになったら我から軍務局に提案として出すかもしれん。」
「・・・わかりました。
エルヴィス伯爵領に戻り次第、編纂します。」
武雄が頷くのだった。
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