第2214話 隣接3国の報告会。2(ウスターソースは目玉商品です。)
「我としてはそんな物か。
街中や街道の風景は見たが、飢饉もなさそうだ。
出歩いている人々も顔色や体格に問題はない。
出立前に王都の物価を頭に入れて行ったが、店先の物が特に高いとは思わなかったな。
まぁ、小麦の置かれている量が少なかった気もするが・・・それは気にしなかった。」
「物価が安定しているのは朗報ですね。
キタミザト殿、経済局等から報告が上がって来ていますが、第1皇子一家領に穀物とウスターソースの輸出依頼がカトランダ帝国から来ているとの事です。」
「クリフ殿下の方でもウスターソースの増産に動くのですね。
陛下、王都での売れ行きはどうでしょうか?」
「実はあまり量が入って来ない。王城にはそれなりに入って来てはいるが、街中に浸透はまだまだ先だな。
エルヴィス伯爵から報告では領内と周辺領地に少量という事だな。
クリフの所も同じような感じだろう、まずは自分の領内をというのはわかる。
外交局長、エルヴィス家は大胆にも領内西の町と村をウスターソースの材料供給地にする案を実行しているぞ。
今も着々と領内改造をしているようだな。」
「西側全ての町と村ですか・・・それは大胆な政策ですね。
・・・上手く行けば凄い事になりそうですが・・・上手く行きますでしょうか?」
「我もエルヴィス伯爵もウスターソースの見通しは楽観している。
それほど、ウスターソースの売れ行きが見通せる商品という事だ。
クリフの今の領地・・・新たな貴族に任せるのが勿体ないな。」
アズパール王が考えながら言う。
「陛下、それは決まった事です。
まぁ、それも踏まえてクリフ殿下がどう出るか・・・でしょうか。
経済局が動いていると漏れ聞いています。」
「・・・まだ未決だよ。
ウスターソースの件はクリフの管轄だ。
我がどうのこうのとは言わん。
事前にクリフが何かしているんだろう。
タケオ、気になるか?」
「なりませんね。
私とエルヴィス伯爵が管轄しているのは魔王国方面の4貴族領、加えて魔王国への輸出です。
それ以外の地域でどう動かれるのか・・・今の時点では気にする事ではありませんので。」
武雄がきっぱりと言う。
「・・・はぁ・・・クリフが王城に来た際にタケオに相談すると思うんだ。
一応、気にしてくれるとありがたい。」
「・・・気には留めておきます。」
「そうしてくれ。
ウスターソースは順調とエルヴィス伯爵から来ていたが、タケオとしてはどうだ?」
「順調ではありますが、需要が高く、製造が追いつきません。
エルヴィス伯爵は一早く、原材料の確保に動いてくれていますが・・・まだまだ足りません。
それにエルヴィス伯爵と私では役割が違いますからね。
ウスターソースは確かに私がクリフ殿下領から持ち帰りましたが、生産、製造、領内と他領への分配はエルヴィス家、対魔王国への輸出がキタミザト家です。
地域振興も兼ねて、新しい料理のレシピ考案を促進しているのは私と思われていますが、実際には料理人やエルヴィス伯爵と相談しながら見極めています。
街中にウスターソースの炒め物程度のレシピを公開した所、ウスターソースを販売したら後は街中の店々が勝手にレシピを増やしてくれています。
まだ初期なので変な料理もあるでしょうが、淘汰されて美味しい料理のみが残っていくと思います。
私としては一早く、それらのレシピか料理内容をまとめて国内に教えたいものですね。
私達が最初に作り出したと言っておけば、レシピを盗んだとか言われる事もないでしょうしね。」
「ふむ・・・まぁ、タケオの言わんとしている事はわかるが・・・果たしてエルヴィス伯爵領の料理人達が何と言うかはわからないな。」
「そこは説得しかありません。
ま、それは私の願望なので出来たらしてきます。」
武雄が言う。
「そうか。
・・・話が逸れたな。
カトランダ帝国側としては今後の見通しとしては明るい。
穀物とウスターソースの輸出が多くなってくるという事はカトランダ方面の地域活性に貢献してくるだろう。」
アズパール王が言うと外交局長と武雄が頷く。
「さて、次はウィリプ連合国の話を聞こうか。」
「はい。
と言ってもですね、基本的に今回はキタミザト殿が見聞きした事の確認をしに行ったという事になります。
今後、対応する者を幾人か連れての視察旅行ですね。」
外交局長が言うのを武雄とアズパール王が聞いている。
「キタミザト殿がエルフのご一家を買ったというドローレス国の闘技場や他の施設の見学と奴隷商組合 副組合長のガエル・セスコ氏と会いました。」
「・・・追加ですか?」
武雄が外交局長に聞く。
「ええ、今度は文官をですがね。」
「・・・文官気質は少ないと思いますけど・・・」
「ヴィクター殿は完成度が良く、ジーナ殿やキタミザト家の子供達は成長著しく期待大と聞いています。」
「それは私が吹聴している事ですね。
実際、皆頑張って仕事を熟そうとしてくれています。
多少の失敗はして当然、そこに種族はありません。」
「その通りで。
今回は経済局への異種族文官登用での話を持って行きました。」
「・・・おっちゃん、頭抱えただろうなぁ・・・」
武雄が遠くにいるセスコを心の中で労うのだった。
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