第2213話 251日目 隣接3国の報告会。1(まずはカトランダ帝国。)
朝食を終えた武雄達はアズパール王の執務室前まで執事に連れられてきた。
「では、私はこれにて。」
執事が武雄に会釈をして去っていく。
「・・・はぁ・・・」
武雄がため息をつく。
「タケオ、トイレっスか?」
時雨が聞いてくる。
「違いますよ。
時雨、この中の会話はあとでまとめますから。
覚えておいてください。
私が書いた物と照らし合わせます。」
「了解っス。」
「クゥとミアはお菓子でも食べながら打ち合わせが終わるのを待っていてくださいね。
なんなら寝ていても良いですよ。」
「はーい。」
「きゅー。」
ミアとクゥが返事をする。
「じゃあ、行くかぁ。
・・・キタミザトです、入ります。」
武雄が扉をノックすると中から返事があったので扉を開ける。
「うむ、来たか。」
「お久しぶりですキタミザト殿。」
中にはアズパール王と外交局長が居た。
「おはようございます、陛下、外交局長。」
「ああ、おはよう。」
「おはようございます。」
2人が挨拶をしてくる。
「タケオ、これは堅苦しくしたくない打ち合わせだ。
そこにお茶もある、適当にしてくれ。」
アズパール王が言ってくる。
「わかりました。
クゥ、ミア、あっちの空いている所で大人しくしていてくださいね。
陛下、お茶煎れさせて貰います。」
「ああ、構わん、ついでに我らのも分も頼む。」
「わかりました。」
武雄がミアとクゥを離れた席に座らせ、隣に時雨を座らせ、面倒を見させる風を装わせる。
そして皆の分のお茶を用意し、ミア達にはお菓子もリュックから取り出し渡して置く。
そしてタケオはメモ帳と鉛筆を持って、アズパール王と外交局長が居る席に向かうのだった。
「タケオ、2日目だな。」
「今日は報告を受けるだけと認識しています。」
「ははは、まぁ、そのぐらいの気持ちで聞いてくれ。
さて、我がカトランダ帝国、外交局長がウィリプ連合国、タケオが魔王国において視察をして来た。
その報告と連絡事項があれば相互に伝えておこうという感じの報告会だ。
外交局長、タケオ、双方から我は報告を受けている。
だが、外交局長はタケオに、タケオは外交局長にまだ、この時点で言えない事があるだろう。
それは我もわかっているが、今後の事も含め、相談しないといけない事もあるのは確かだろう。」
アズパール王が言うと外交局長と武雄が頷く。
「さて、我の方が一番簡単だろう。
カトランダ帝国での話をまずしよう。
挙式自体は絢爛豪華だった。
クリフとニールの挙式を見せていたからな。
かなり、力を入れていたと思う。
一気に3人も嫁を娶っていたぞ。」
「クリフ殿下は2人同時でしたからね。
その例もあって、同時挙式としたのでしょう。」
外交局長が言う。
「一気に3人というのはカトランダ帝国、我が国双方の歴史を見ても初めてだろう。」
「何も知らない私のような者が見たら、贅沢と見るか、決断力が無いと捉えかねませんね。」
武雄が言う。
「ふふ、クリフの件があるからその意見は耳が痛い。
だが、我としては世継ぎの事があるのだと思っている。
言っては何だが、子は多く居て困る事は最初はないからな。」
「キタミザト殿、現在、カトランダ帝国で残っているのは挙式を挙げた、第4皇子チコ殿下しか居ないのです。
万が一の為にも男子でも女子でも子が早急に必要という事なんです。」
アズパール王の言葉に外交局長が添える。
「まぁ、そこはわかりますが。
妃が同時に3名とは派閥が出来そうですね。」
「そうだな。
挙式より先に少し話させて貰ったが、人当たりの良い妃達だったぞ。」
タケオの言葉にアズパール王が言う。
「・・・王都守備隊の顧問という体でしたか?」
武雄がジト目で聞いてくる。
「ああ、向こうも帝都護衛軍の顧問とその息子と部下の女性と紹介して貰った。
なかなかに綺麗だったぞ。」
「綺麗処が多いのは王家も向こうの皇帝ご一家もなんでしょうね。」
「確かにな。
まぁ、皇帝の話としては現状の確認だ、大きくは変更がない。
詳細については向こうの国境近くの町に我が国から商店を出店させてくれるとの事でそこでやり取りをする事になった。
これには外交局と軍務局、経済局から出向して話をしていく見込みだ。」
「そうですか。」
武雄が頷く。
「向こうで出された料理はジャガイモが多くてな。
色々、感想を総長と書いてきたんで、あとで目を通して料理長と打ち合わせしてほしい。
ジャガイモ料理が多かったが、味や食感が違ってな、楽しめた。」
「わかりました。
そちらは後日打ち合わせをします。」
「うむ。
それとタケオが気にしていた自動人形だがな。
タケオの予想通り、会場の表玄関に4体あった。
動きはしなかったが、直立していたぞ。」
「やはり、ありましたか。」
「あぁ、見てくれだが・・・オークかオーガと同じ大きさだと思う。
それが全身フルプレートを着込んでいる感じだな。」
「中身は見れないと。」
「ああ、オーク、オーガの体躯でフルプレート装着で突っ込んで来られるのは恐怖だな。」
「・・・ふむ、まぁある意味鉄板で覆われた馬車が突っ込んでくるような物でしょうね。」
「そうだな。
タケオ、あれの突進は現状の盾では止められないと思う。
今の盾の研究が終わり次第、幌馬車が突っ込んできても耐えうる強度の盾の開発をしてくれ。」
「・・・了解しました。」
武雄が頷くのだった。
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