第2210話 製造方法を教えて欲しい。(挨拶に来ました。)
夕食を終えた武雄達は湯浴みの準備をして料理長の所に来ていた。
「・・・これがコショウ・・・大丈夫ですか?」
料理長が胡椒の粒を見ながら言う。
「・・・害はありません。」
「今の間はなんですか?」
「いえ、大量に食べるとどうなのかなぁと少し思っただけです。
少量を砕いて粉々にして振りかけるのなら問題ないですよ。」
武雄が言う。
「ふむ・・・何に使った方が良いと思いますか?」
「肉料理やパスタはわかり易いと思います。
あとは・・・スープもわかり易いですかね。」
「ふむ・・・陛下や王家にお出しして評価されてから陛下に売られるのですよね?」
「そういう話になりました。」
「・・・なぜこちらに話を最初に持ってこなかったのですか?」
「あぁ・・・なんとなく?
気に入ったら話し合ってください。
王都には毎月30kg卸しますからね。
それ以上は輸入予定はありませんし、出来ませんからね。
30kgしか入手は出来ませんからね。」
「はぁぁぁ・・・わかりました。
明日にでも作りますか?」
「明日は朝から陛下と打ち合わせなので・・・昼過ぎには終わるとは思います。」
「わかりました、牛ですか?鶏ですか?
スープは何を?」
「・・・牛とサラダと卵スープにしますか。
あとはこちらでスイーツを用意してくれれば良いと思いますが、あっさり系をお願いしたいですね。
あ、スイーツのゼラチン届きました。」
「無事に届いて良かったです。」
「もっとください。」
「生産量が・・・」
「生産者、教えてください。」
「買い占めは困りますのでお断りします。」
「買い占めなんてしませんよ。
話をしたいのです。
交渉をさせてください。」
「・・・ダメです、脅迫でしょう?」
「いやいやいや、私は脅迫なんてしませんよ。
ゼラチンを作る工程を売って欲しいのです。」
「製造方法を?」
「はい、エルヴィス伯爵領で出来るか試したいのです。
相応の報酬は出しますし、売上等々を言うのならウスターソースと同じで魔王国方面4貴族領以外は卸しませんよ。
もちろん王都には卸しませんし、王国の西側にも卸しません。
購入に際してはウスターソースのレシピは金貨30枚で買い取らせて貰いましたので、今回も同様な金額で締結させたいです。」
「・・・んん~・・・今の条件で私が交渉してきます。」
料理長が考えながら言う。
「私も行き」
「いや、私がしますから、キタミザト様は待っていてください。」
「・・・ええ・・・」
武雄が悲しい表情をさせる。
「エルヴィス伯爵領で出来るように書いて貰います。
条件も今の条件で報酬もその近辺で説得してきますから!
キタミザト様は大人しく待っていてください。」
「・・・よろしくお願いします。」
武雄が渋々、頭を下げる。
「お任せください。
しっかりと交渉してきますから。」
料理長が言うのだった。
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王都のブルックの実家にブルックとアーキンが来ていた。
で、店内が少し落ち着いたのを見計らい給仕等はブルックの上の姉夫婦に任せ、ブルックとアーキンがブルックの両親と奥の部屋で机を挟んで対面し、ブルックが話をしていたのだが。
「うぅ・・・良かったぁ。
あとはお前だけが心配だったんだ・・・」
「やっとこの子は・・・挙式は先だと言ったけど決心したんだねぇ・・・」
ブルックの両親が泣いていた。
「はぁ・・・」
ブルックが呆れている。
「ははは・・・」
アーキンは愛想笑いしか出来ない。
「アーキン君、ヘザー(ブルックの名)を末永くよろしく頼む。」
ブルックの父親が机に頭を擦り付ける勢いで頭を下げる。
「はい、お義父さん、わかっておりますから。」
「うんうん、ヘザーの旦那からお義父さんとは・・・ありがとう、本当にありがとう。」
「アナタ、良かったねぇ~。」
ブルックの両親が泣く。
「はぁ・・・」
ブルックが深いため息をつく。
アーキンが「この人、第1騎士団の幹部だったんだよね?」と思っているが、苦笑しか出来ない。
「父さん、母さん、お店大丈夫?
お姉ちゃん達がしているだろうけど、そろそろ戻った方が良いんじゃないの?」
ブルックが言ってくる。
「うううむ・・・だが、アーキン君をもてなさなくては。」
「はぁ・・・父さん、それは良いから。
私達は勝手にするから。
お店を蔑ろにしちゃダメだよ。」
「そうね・・・ヘザー、アーキンさん、ゆっくりして行ってね。
さ、アナタ、店に戻りましょうか。」
「ううむ・・・アーキン君、何もないが、好きなだけ飲み食いしてくれ。」
ブルックの両親が立って店に戻って行く。
「はい、ありがとうございます。」
アーキンが返事をして見送るのだった。
「はぁ・・・疲れた。」
ブルックが肩を落とす。
「お疲れさん。
良いご両親じゃないか。」
「そうなんだけどね・・・疲れた。」
「万が一があったらここに所長が来ていたのか。」
「・・・それ疲れるんじゃなくて辛いわ・・・所長、来なくて良かった。
さ、アーキン、食べよう。
母さんの料理食べてね。」
「ああ。」
ブルックとアーキンも席を立ち店の方に向かうのだった。
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