第2207話 色々買ってください。(ドラゴンの皮とコショウについて。)
「はぁ・・・それと魔王国とブリアーニ王国の領地替えや義勇軍については、今考えが及ばん、それは少し考えさせてくれ。
タケオ、口頭での報告は以上か?」
「はい。
こちらが同行した研究所の試験小隊長のアンダーセンさんの報告書と総監のマイヤーさんからの報告書になります。
一応、ドラゴンロードや妖精王、ヴァレーリ陛下との打ち合わせの議事録は入っています。
そして、忠告されておりますが、今回の件も慣例の戦争が終わるまでは口外しないという事になっております。」
武雄がリュックから報告書を取り出して、アズパール王の前に置く。
「わかった。
それは前から言われている事だ。
魔王国の大事に後ろから何かする気はないし、そもそもそんな戦力はない。
ヴァレーリ陛下に手紙でも送るのなら『宿願が成就する事を願っている』と書いといてくれれば良い。」
「了解しました。」
武雄が頷く。
「まぁ、ビエラ殿とミア殿は・・・こちらに居てくれるのは恵まれているのだろうか・・・」
「考えようだとは思います。
まぁ、2人に関しては大した問題ではありません。
出自がわかった所で待遇は変わりませんからね。」
「普通は変えそうだがな。」
「・・・毎日の食事を豪勢にする余裕はありません。」
「そうか・・・ま、そこはタケオ達が話し合って決めたら良いだろう。」
「はい。
で、ドラゴンの皮いくらで買います?」
「本物なんだよな・・・20kgだったか?」
「はい、10kgは私用です。
まだ、何を作るか決めていないので、それまでは保管ですがね。」
「ふむ・・・タケオの事だ、エルヴィス伯爵にも渡したんだろう?」
「はい、ドラゴンロードからのドラゴン一家の滞在費として30kgは渡しています。
どうするかは知りません。」
「ふぅ・・・一番はスミスにだろうな。
まぁそれでも余るだろうが。
・・・タケオ、我が買わないと言ったらどうする?」
「次の候補はウィリアムさんですね。
それがダメなら・・・クリフ殿下かニール殿下か・・・まぁどこかしら買ってくれるでしょうね。
貰った時にウィリプ連合国に売って荒稼ぎしようかと思ったんですけどね。」
「タケオ、それはやめてくれ。
本気の戦争をする相手に一部とはいえ、高性能な防具は渡せん。」
「・・・そうですか。
どうします?」
「・・・買い取ろう。
タケオ、1㎏当たり金40枚出す、これでどうだ?」
「お買い上げありがとうございます。
ところで、エリカさんがエルヴィス領に来られた際に最新の大袋が王家割引をして2個で金貨1000枚と自慢されたのですが。」
「最新の大袋か・・・エリカは買えた事に喜んでいたからなぁ。
確かに今回の金額で1個買えるな。
なら最新の大袋と金貨300枚で良いか?」
「ありがとうございます。
こちらが、実物です。」
タケオがリュックからドラゴンの皮を取り出し、アズパール王の前に置くとアズパール王が1枚持ち上げる。
「ふむ・・・意外と軽いな・・・
我は良い買い物をしたかもしれぬな。
タケオ、今後、ドラゴンの皮を入手して持て余したら我の所に売りに来てくれ。」
「エルヴィスさんにも言っておきますか?」
「いや、あくまでタケオのみだ。
エルヴィス伯爵も考えがあるだろう、そこには何も言わん。」
「わかりました。
あと、魔王国で調味料を入手しました。」
「エルヴィス伯爵の方の報告書にあったコショウとかいう物らしいな。
金額が高いと書いてあったが。」
「1kgで金貨1枚です。
毎月、30kg分を流通に回します。」
「随分とするな・・・それほどに珍しいのか?」
「確実に確保するために原価が高くなっています。
生産者保護を目的としてもですね。」
「ふむ・・・まずはそれが美味いのかだな。」
「わかりました。
持って来ているので、滞在中に試食して頂く事にします。
その後、お決めください。」
武雄が言う。
「その自信から・・・美味しいんだろうなぁ・・・
まぁ・・・贈答に使ってみるという方法もあるな。」
「カトランダ帝国に送って反応を見ますか。」
「本当に美味しいならな。
まずは試食してみない事には何も決められないだろう・・・タケオ、早く作ってくれ。」
「わかりました。
料理長達と打ち合わせをする事にします。」
「うむ、頼む。
さて・・・他にはあるか?」
「・・・ありません。
何か思い出したら次回話します。」
「そうか、明日は我の方からカトランダ帝国とウィリプ連合国の報告をタケオにする事にする。」
「・・・別に報告はいらないと思いますが。」
「そう言うな。誰かに言いたいんだ。
我の考えという愚痴に付き合え。」
「了解しました。
気が付けばもう夕方ですね。」
「そうだな。
タケオ、改めて魔王国の件ご苦労だった。
外交局は当面、カトランダ帝国とウィリプ連合国に注力するだろうから対魔王国案件は穏便にすませておいてくれ。
今の局長達はタケオの行動に何も言わんが、今後の人事ではどういった人物がなるかわからんからな。
やり過ぎないようにな。」
アズパール王が言う。
「狙っての結果なら誇示はしますが、流れでなっただけですからね。
今は、魔王国との慣例の戦争を無事に乗り切る事が最重要かと思います。
その後は領地替えの際のブリアーニ王国、魔王国との商流の確保に動き、次期王の情報を取りに行く事になると思います。」
武雄が言う。
「タケオとエルヴィス伯爵に任せる。
ブリアーニ王国の領地替えで物資の輸出の依頼があるかもしれんが、特に輸出の制限はしないからな。
上手く対処してくれ。」
「わかりました。
向こうの要請が来たら検討し、実施します。」
武雄が頷くのだった。
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