第2204話 王立学院の昼食。(ジーナに怒られる。)
学院長室を後にした武雄は別室にいる皆と一緒に食堂に来ていた。
ここで昼食を取る事はクラーク議長にも許可を貰っての行動だ。
クラーク議長的には「これ以上昔の事を言われるわけにはいかない」と武雄を追い出し、ボールドに事の経緯を説明する為に学院長室に残っていた。
「所長、挨拶にしては長かったですね。」
ブルックが聞いてくる。
「いろいろとお話合いをね。
ま、それは席に着いた時にでも軽く話しますよ。
それより、えーっと・・・食堂で料理はどうやって貰うのでしょうかね?」
武雄が食堂の入り口でどうやるんだろうと中を見ている。
「あそこに並んで順々に貰って行くのではないですかね?」
アーキンが指を差して言う。
「なるほど。
なら、まずはあそこに行って、聞きながらしますか。
すみませーん、クラーク議長に許可は貰ったんですけど~。」
武雄が軽い足取りで昼食を貰いに行くのだった。
・・
・
料理を貰い、席に着いた武雄達はというと。
「タケオ、パラスとマリ、アルに連絡しましたよ。」
人間大のパナが武雄の横に座りながら言う。
「・・・え?したの?」
武雄が聞く。
「はい、パラス経由でジーナがタケオが今どこに居るのか聞いてきたので、王立学院の食堂に居ると言ったら、3人から『は?』って言われました。」
「うん、言うだろうね。
そして・・・授業が終わると同時にジーナが来そうな予感がします。」
武雄が言う。
「所長、たぶん駆け込んで来るんじゃないですか?」
「そうですね、ジーナ殿はちょっとあ・・・仕事熱心なので所長の専属メイドの地位は絶対に外さないと思いますし。」
武雄の対面に座る、ブルックとアーキンが言ってくる。
時雨とミア、クゥは武雄の横に座って大人しく食べている。
「ジーナは真面目で良い子ですよ。」
武雄がにこやかに言う。
「あ、そうだ。
休暇明けに仕事を1つ。
この店に予約を取って欲しいので頭に入れてください。」
武雄がさっき学院長室で取ったメモをブルックの前に置く。
「はい・・・メガネっと。
・・・あれ?この店って・・・所長、何名ですか?」
ブルックがメガネを取り出して中を見て武雄に聞いてくる。
アーキンはメガネをかけて横から中身を見て何も言わないでブルックの話を聞いている。
「えーっと・・・スミス坊ちゃん達寄宿舎の子達だから・・・5名ですかね?」
「貴族の子息かぁ、だからここなんですね・・・所長、費用的には?」
「ん~・・・いくらが相場かわからないですけど、1人に2人付けて欲しいのです。
男子1人で金貨1枚が上限だと思います。」
「金貨5枚で10名かぁ・・・まぁ予算としては十分ですね。
アーキン、ラック隊長に根回ししておこうか。」
ブルックがアーキンに言う。
「そうだな。
パット殿下の時は第二情報が確認していたから店主とは顔がわかっているだろうしな。」
「いつも王都守備隊が?」
「いえ、パット殿下の時は警備の関係上ですね。
第1騎士団が所用でこういったのが得意な小隊が出ていたので私達がしたんですよ。」
「覗いたの?」
「そこまではしていませんが、まぁ、女性隊員は除いての配置をしましたよ。
平気です、ここの店は護衛の待機場所みたいな所があるので、お茶でも飲んで待っていられますよ。」
「ふーん、それと・・・ここの店主さんと面会がしたいのですけど。」
「・・・事前の打ち合わせは私達で十分だと思いますが?」
「うん、そっちのはね。
私としては今後の話をしてみたいのですよ、ここが高級店という事はそれなりの情報を扱っているでしょう?
魔王国ではないですけど・・・ウィリプ連合国関連でね。」
「わかりました。
早々に店主と所長が打ち合わせ出来るようにします。」
「ええ、お願いします。」
武雄の言葉にアーキンとブルックが頷くと、
それと同時にガンッ、と食堂の出入口から音が響いた。
武雄達が見ると片手が出入口の三方枠をがっちりと掴んでいた。
が、すぐにジーナが入ってくる。
「・・・勢い余って通過しそうになったのを手で枠を掴んで止めたんですかね?」
アーキンが言う。
「はは・・・」
武雄が「空母への着艦じゃないんだから・・・」と呆れている。
ジーナが武雄の下にやってくる。
「ご主人様、来るなら来ると言って頂かないと、準備が出来ません。
というより陛下との打ち合わせではなかったのですか?」
「その陛下から午後からと言われているんですよ。
なので、貴族会議の長に挨拶に来ただけです。
ついでに王立学院の料理の確認にね。
すぐにお暇する気なので連絡しなかっただけです。」
「はぁ・・・来るなら来ると・・・」
ジーナが再び深いため息をつく。
「タケオさん、いらっしゃい。」
エイミーがドネリーとキティを連れて食堂に現れ、武雄の所に来る。
「エイミー殿下、お久しぶりです。」
武雄が立ち上がって、挨拶をする。
「うん、いきなり来ると驚きますからね。」
「別に、エイミー殿下の生活を監視しに来ていませんよ。
クラーク伯爵とボールド男爵に挨拶に来ただけですから。」
「それでもですよ。
タケオさんは貴族なんですから・・・はぁ・・・まぁ、タケオさんだからこそ、ここに居るんでしょうけどね。
あ、スミス達も来ましたね。
ジーナ、昼食を取りますよ。」
「はい、エイミー殿下、ご主人様、スミス様も連れてきますから。」
「いや、私なんかより皆さんで食べなさい。」
武雄が同席を拒否する。
「いーえ、ご一緒します。」
ジーナがそう言って昼食を取りに行くのだった。
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