第2203話 結局は現状維持が良いのです。(ほじくりますよ?)
「私もその程度の働きで抑えておけば、こうやって来る事はなかったんですかね?」
武雄が目線を逸らしながら言う。
「まぁ・・・今までのキタミザト殿の動きを見ると・・・動き過ぎと言われる事はあるでしょうが、キタミザト殿は狙ってやっていないので致し方ないでしょうね。
これを意図的にした場合は大変なのでしょうけど、キタミザト殿は別の目的があって、現地に行き、たまたま知った情報が多すぎるという事ですからね。
この結果は致し方ありませんよ。」
クラーク議長が言う。
「早々に魔王国方面は外交局に渡して、私は商売に徹したいんですけどね。」
武雄が言う。
「はぁ・・・普通ならそこで、もっと自身で動き、両国の国政を動かしたいと思う物ではないのですかね?」
クラーク議長が言う。
「クラーク議長、私は今のアズパール王国の政策に不満はありませんよ。
なので、代わって国政をする気はありませんし、数十万の民の命を預かるなんてこともしたくもありません。
まぁエルヴィス領の事は少ししていますけど、基本は部屋に籠ってのほほんとしていたいんですよ。
その為の研究所です。
クラーク議長こそ、国を動かせる立場でしょう?
動かして見てはいかがです?」
「若い時ならいざ知らず、私は年を取り過ぎていますからね。
国政で手腕を振るうという事はねぇ。
それに私は今は貴族会議をまとめる事に注力しております。
この新人達と既存の者達とをまとめるのは大変なのですよ。
キタミザト殿が言う通り、今の王家や王都に不満はありませんからなぁ。」
武雄とクラーク議長がお互いに何とも言えない笑みをしながら言い放つ。
「・・・はぁ・・・ご両人方、そういった事はご自身の自宅の自室でおやりください。
それに私達、新人の貴族会議の人員も今の国政に不満はありません。
なので、どなたかが無理やりに代わりをされようとするのなら抵抗はさせて頂きますよ。」
ボールドがため息をつきながら言う。
「おっと。」
「ふむ・・・少なくともここに居る3人は現王国の維持が望みというのがわかっただけでも良いでしょう。」
武雄とクラーク議長が雰囲気を和らげる。
「それで?キタミザト殿、王立学院に何をしに来られたので?
挨拶だけというわけではないのでしょう?」
ボールドが聞いてくる。
「ええ、ちょっと教えて欲しい事がありまして。」
「我々でわかる事でしたらなんなりと。」
武雄が聞くとクラーク議長が言う。
「生徒さんが2年生終了時に娼館に行くと聞きました。
その店を教えてくれませんか?
あ、これはうちの義理の弟やボールド殿のご子息やそのお付き等々1年の男子達を連れて行こうと思うのですよ。」
「「は?」」
クラーク議長とボールドがいきなり話題が変わって呆気に取られるのだった。
・・
・
「・・・はぁ・・・まぁ、確かにグレース殿下もいますからね。
万が一があった場合の面白さは他人事ならありますが、責任者の立場では無い事が一番ではあります。
ですが、その際に女性の扱いをねぇ・・・まぁ、確かにその後の夫婦関係等々にも影響は出なくはないでしょうけども・・・ん~・・・させて良いのか?
や、でも、キタミザト殿が言う通り、万が一の際の男子が手順は知っておいた方が本人達の為・・・だが、それはグレース殿下とエイミー殿下にとって良いのだろうか・・・ん~・・・」
クラーク議長が腕を組んで悩んでいる。
「まぁ・・・うちのは、そういった事に興味は人並みにあるのかもしれませんが・・・親ではわかりませんからね。
この際に連れて行ってください、良い経験になるでしょう。
費用は息子とお付きの分は私請求で構いません。
妻には内密に。」
「はい、ボールド殿の許可は取れましたね。
あとは・・・ボールド殿、アルダーソン殿の許可取れると思いますか?」
武雄とボールドがクラークが悩んでいるのを無視して話をしている。
「大丈夫だと思いますよ?
魔法師専門学院では学院よりも先に後輩を店に連れて行く悪い先輩もいますからね。
アルダーソン殿も息子さんを入れる気でいたのですから、そのぐらい何とも言わないでしょう。
念の為に私から手紙でも送っておきますか?」
「あ、なら私の連署でお願いします。」
「そこまでする必要はないでしょうけども・・・ま、エルヴィス殿とうちのを連れて行く際に留守番は可哀想だからという所でしょうけどね。
わかりました。
サインは私もキタミザト殿も必要ないような文面にしておきます。」
ボールドが言う。
「お願いします。
クラーク議長、どうせ連れて行くならちゃんとした所に連れて行きたいんです。
教えてください。」
「あ~・・・教えるのは全然構いませんのですけど・・・」
クラーク議長が悩んでいる。
「はぁ・・・浮名を流したクラーク議長らしくもない。」
武雄がため息をつく。
「え?浮名?」
ボールドがクラーク議長を見る。
「キタミザト殿!それは内密に!
んんっ!ボールド殿、私は清き付き合いをしていただけですよ。」
「いったい何人の女性に手を出したのか・・・セシリーさんに聞いてみるか、調べてくれそうですし。」
武雄がボソッと言う。
「キタミザト殿!その件はご内密に!娘にも聞くのは厳禁ですぞ!ちょっとお待ちを!
・・・えーっと、これだな・・・毎年使っている店はこちらです!」
クラーク議長が立ち上がり、小走りに戸棚から冊子を持ってくるのだった。
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