第2202話 王立学院に行ってみよう。(貴族会議の情報量。)
武雄はアスカムの材木店でその後も雑談をしていたが、少ししたら席を立ち、材木店を後にしていた。
「さて・・・時間はまだ余っていますね。」
「「そうですねー。」」
武雄が時計を見ての呟きにアーキンとブルックが言ってくる。
「ブルックさんの実家で昼食を」
「嫌です。」
武雄の言葉にブルックが被せて言ってくる。
「・・・拒否されたので・・・王立学院に行きますかね。」
「ジーナ殿ですか?」
アーキンが聞いてくる。
「まぁ、子供達は前回見に行ったのであまり心配はしていませんし、何かあればジーナが報告して来るでしょうが、それもありませんからね。
同期が王立学院に居るはずですし、いなければ誰かにちょっと聞きたい事があったのでね。」
「王立学院にですか?」
「ええ。
ま、ついでに食堂でお昼を頂きましょう。」
武雄達が王立学院を目指すのだった。
・・
・
王立学院の学院長室にて。
「・・・ボールド殿、この書類はどうですかな?」
「これは・・・事前に教えて頂いた、この予算でしょうか。
毎年同じ予算額というのも違和感があります。
予算の内容確認は一度した方が良いと思います。
確認した上で同額で問題ないとするのなら決裁をして構わないと思います。」
クラーク議長とボールドが打ち合わせをしている。
「・・・」
武雄はソファで2人が一段落するのを読み物をして待っていた。
武雄以外は別室での待機との事でここには居ない。
「・・・うむ、その判断で良いでしょう。
なら、昼前の仕事はこれまでとしますか。」
「はい、昼食後はこの内容の確認を実施します。」
クラーク議長とボールドが頷く。
「キタミザト殿、お待たせしました。」
クラーク議長が立って、ソファにやって来る。
ボールドも書類を整えてから席を立ちソファにやってくる。
「いえいえ、急に来て申し訳ありません。」
武雄が頭を上げる。
「ははは、良いのですよ。
王立学院は誰でも来れるのに、来客は少ないのでね。
こうやってたまに来てくれると、私達も身が引き締まって良い仕事が出来るという物です。」
クラーク議長が言う。
「ありがとうございます。」
武雄が言う。
「それにしても研究所関連の召集があるとは聞いておりませんでしたが、どうされたのですか?」
ボールドが聞いてくる。
「いえ、陛下との直接の打ち合わせでね。
まだ公表が出来ない内容なので、直接というわけですよ。
今日の昼過ぎからなんです。
時間があったのでご挨拶等々に来た次第です。」
武雄が苦笑しながら言う。
「ほぉ・・・魔王国で動きが?」
クラーク議長が聞いてくる。
「ええ、ま、何があるかは待っていてください。
詳細は言えませんが、私が来た時点で察してください。」
「・・・ふむ・・・厄介な事ですな。
キタミザト殿はこれから報告を受けるでしょうが、先に陛下とニール殿下がカトランダ帝国に、ウィリプ連合国には外交局長達が視察に行っております。」
「・・・陛下の方は聞いておりましたが、ウィリプ連合国の方は初耳ですね。」
武雄が顔色を変えずに言う。
「うむ・・・まだ、報告書自体は貴族会議には来ていないのだが・・・
聞きかじった所では、カトランダ帝国は順調、ウィリプ連合国はどうも戦争準備が始まっているとの事ですよ。」
「え?・・・まだ4年はあるのでしょう?
いくらなんでもあからさま過ぎませんかね?」
「ふむ・・・キタミザト殿もそう思うか?」
「ええ、向こうは攻める側です。
秘匿しなくちゃいけない事が多いはず。
攻めるのなら防御がしっかりしている所よりも油断されている所を攻めるのは当然と思います。
で、あるのなら極力情報は出さない。
わからないような情報を出すというのが普通なのではな・・・つまりは、出しても良い情報がもう戦争に行きつく内容という事なんでしょうか・・・
あり得るんですかね・・・何かしら大きい事を隠しているのでしょうか。」
武雄が考えながら言う。
「そう思うのが普通だろうな。」
「私もさっき聞いた時に同じ反応をしましたよ。」
クラーク議長とボールドが言う。
「正式に貴族会議には?」
「いや、まだ。
正式な報告書は陛下の裁可が降りてから貴族会議に回されるそうです。
私はたまたまこの場に居たのでクラーク議長から雑談をされたまでです。」
武雄の問いにボールドが言う。
「・・・クラーク議長、ボールド殿、貴族会議には同期も含めウィリプ連合国に対面している貴族領出身の者がいますよね?
そこからの相談は?」
「相談はされていないな。」
「私もされていません。」
武雄の問いに2人が言う。
「・・・対面している貴族からも・・・ですかね?」
「ああ。」
クラーク議長が頷く。
「・・・対面している貴族領はわかっているんですかね?」
「わかっていて王都に言って来ないのか、言っているが貴族会議の所にまで降りてこないのかはわかりませんがね。
ただ、魔王国関連のキタミザト殿を見ていると少なくとも王都は信用していないというのはわかりますよ。
外交局長を行かせた時点でキタミザト殿が持ってきた情報以上の物が入って来ていないのでしょう。」
「はぁ・・・大丈夫なんですか?」
「さて・・・貴族会議は各地の貴族に号令をかける事はせず、王都での政策の確認と提言が仕事ですからね。
直接どうのこうのではありませんが・・・魔王国側の貴族方より危機感は薄いのだというのはわかります。」
クラーク議長が言うのだった。
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