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第2201話 250日目 ちょっと知り合いに依頼をしに行きます。(あくどく商売をする事もたまには必要でしょう。)

王城の朝、専売局長のデナムが武雄達の部屋の前に来ていた。


「・・・あれ?」

デナムは何回か扉をノックしているが中から返事がない。

「あれ?専売局長?

 キタミザト様ご一行は朝食後出かけられましたよ?」

通りかかったメイドが言ってくる。

「え?・・・そうなのですか?」

「はい、陛下との打ち合わせが昼過ぎになったからそれまで外で用事を済ませてくると言って出かけられました。

 昼食も外で済ませてくると。」

「そうですかぁ・・・・わかりました、出直してきます。」

デナムが仕事場に戻って行くのだった。


------------------------

アスカムの材木店。

武雄がいつも通される奥の会談場所にて。

「朝一番で来たお客がキタミザト殿でした。

 貴族ならもっとのんびりされるのかと思っていましたが、早いのですね。」

アスカムが呆れながら言ってくる。

「王城に居てもつまらないのでね。」

「はぁ・・・何からお逃げで?」

「面倒な打ち合わせや相談事から。

 親父さん、これ、3日後までに揃えられますか?

 予算は金貨30枚です。」

武雄が(ヴィクターが書いてくれた)紙をアスカムの前に置く。

「失礼します・・・それなりの量ですね。

 ・・・これを持ち込んだ理由は何ですか?」

アスカムが手紙の内容を見ながら言う。

「私個人で各店を回って買い集めるのも出来ますけど、時間がかかりますし、知り合いの店がありませんので、値引き交渉や品質の良し悪しがわかりませんからね。

 王都を知っている方にお願いしたいのです。」

武雄が言う。

「・・・私が断ったらどうされますか?」

「別に・・・特には・・・

 私が各店を回って買い漁れば良いだけです。

 そこに書かれている物が揃えられれば良いのですよ。

 ただ、私は面倒が嫌なので、依頼したいだけですからね。」

「ふむ・・・私に持ってきたのに理由があるのですか?」

「知り合いという事とウィリプ連合国やカトランダ帝国関係でお願いをしているので、少し利益に繋がりそうな仕事をお願いしようかと思っただけです。

 それに親父さんは・・・というよりも商店を街中で開いている人って扱っている商品は違っても横の繋がりがあるじゃないですか。

 なので、すんなりと揃えて貰えると思ったのもあります。

 受けてくれるのなら金貨30枚は置いていきます。」

「ふむ・・・受けましょう。

 ただ3日ではなく、4日にしてください。」

「わかりました。

 なら、金貨30枚は置いていきますね。」

武雄がリュックから金貨を取り出す。

「・・・発注書と請書は?」

「ないので作っておいてください。」

「はぁ・・・わかりました。

 ちなみにですが・・・キタミザト殿の部隊は少人数と伺っています。」

「誰から聞いたかは聞きませんが・・・そうですね。」

「その少人数の部隊でこの量の肉と野菜ですよね。

 何かあるのですか?」

アスカムが聞いてくる。

「何もなければ買わないと思いますが?」

「そうですね・・・エルヴィス領で買わずに王都で買う事が重要なのでしょう。

 ・・・戦争ですね。」

「・・・値上がりする前に買ってくださいね。」

武雄が表情を変えずに言う。

「畏まりました。

 まだ王城から公表されないという事は、まだ正式に来ていないという事なのでしょう。

 情報を厳重に扱わせて貰います。」

アスカムが頭を下げて、金貨をしまう。

「ちなみに、親父さん、ウィリプ連合国の方の穀物って扱えます?」

「ええ、出来ますよ。

 今だって5kgずつ買っているのですからね、その量を多くすれば良いだけです。」

「逆は?」

「・・・ふむ・・・それは例の戦争ですよね?

 ですが、当面は王城で対応するのではないのですか?」

「するでしょうね。

 でも、民間で穀物を輸送して向こうで販売する可能性はありますよね?

 向こうは戦場になった場所ですからね。

 少なくとも1年程度は需要自体はありますよ。

 ま、向こうの住民が買う余裕があるかは、わかりませんけどね。」

「確かに、王城で買って配るというのは出来るでしょうが1年、2年とやれるわけではないですよね。

 どこかの段階で手を引くのはわかり切っています。」

「・・・もしかしたら占領地を治める誰かが買って配るかもしれませんね。」

「・・・なるほど・・・民間で格安で売った者が、その後も卸せるかもしれませんね・・・となると他の商品も扱える可能性があるのか・・・」

アスカムが口に手を当てて考える。

「さらに、向こうは敗戦国なんです。

 国土は取られ、収入は減少、でも国民は少なくなったと言えど、ほとんどは向こうの国に行くでしょう。

 さて・・・足りるのかな?

 向こうの国に少し高めで売れる可能性がありますよね。」

「あくどくはありますが、戦争した相手国です、異様に高くしなければ、真っ当な商売になりそうですね。

 キタミザト殿はそれをエルヴィス領から?」

「国内産ではなく、魔王国産を扱いますよ。

 輸入した小麦で良いのならですが。」

「私が食すのでなく、ウィリプ連合国で売るのですからね。

 価格は高いですか?」

「ん~・・なんとも言えないですね。

 その時にならないとわかりません、ですが、領内のどの領地の価格にも影響なく売りつけられますよ。」

「ふむ・・・それは今結論を出す事ではないですね。

 ですが、今の内からウィリプ連合国のファルケ国の商人と繋がっておくのは、良いかもしれませんね。」

アスカムが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] こうも、一手二手 先を読み、 事前に対処していく、タケオ に、痺れますね。 真っ当に、"利" を得る手段であることも 嗜好に適っています。 アスカム氏 は、そう言った、タケオ と 相通…
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