第2190話 将来を見据える意志。(追加の増産話があるのですか。)
武雄が出て行った雑貨屋にて。
「・・・モニカ、どうしたら良い?」
店長(本名:ボブ・イーリー)がモニカに聞く。
「いや、私に言われても・・・ボブ、どうしたいの?
やるかやらないかだよ?」
「ん~・・・キタミザト様から最終的な販売価格は任せるという事なんだ。」
「まぁ・・キタミザト様は輸入原価+少々の利益で良いという方だからね。
地域に販売するのは店が決めれば良いというのは真っ当でしょう?」
「うん・・・キタミザト家への納入は輸入原価に1割で良いと言ってくれている。
まぁ、何個か地域には販売しないで直接キタミザト家に納入する物品もあるみたいだが・・・
基本的に領内への販売価格は任せてくれると言ってくれている。」
「良い事じゃない。
キタミザト様はその辺は何も言わないけど、普通なら言って来そうでしょう?
もっと利益を寄こせとか。」
「あぁ、稀な方だとは認識している・・・店に商品を置くにしても毎月金貨2枚を賃料として払うとも言ってくれている。」
「良い事尽くめだね。
なにが問題なの?」
「店に空きがない。」
「・・・んー・・・」
モニカが店長の言葉に腕を組んで考える。
「かといって、今の仕入れ数を少なくして、魔王国の物を置いたとして確実に売れるとは言えない。
売り上げが下がる可能性の方が高いとも思う。」
「・・・まぁ・・・同じ物なら領内産の方が魔王国産より売れるだろうね。」
「だが、目新しさに買ってくれる人が居る可能性も否定は出来ない。」
「まぁ、一度なら使ってみたいか。」
「そこから常連が出来る可能性もある。」
「良い商品ならね。」
「・・・どうしたものか・・・」
店長が下を向いて考えてしまう。
「ふぅ・・・今日の店終わりにここの店に来なさいよ。
そこで酒でも飲みながら話をしましょう。」
モニカがカウンターにあった紙に何か書く。
「うん?・・・モニカとか?」
「うんにゃ、皆が居るわよ。
キタミザト様の協力工房が集まって飲んでるのよ。
毎日。」
「体に悪そうな飲みだな。
毎日は参加出来ないんだが。」
「あ、そこは自由参加、毎日誰かしらいるだけ。
居たら集まって飲むのよ。
まぁ、今回は試しに来て飲んでみたら?
1人で考えていたって良い考えは浮かばないわよ。
なら色んな人の意見を聞きながら考えても良いと思うわ。」
「はぁ・・・そうだな。
キタミザト様への回答はモニカが期間を延ばしてくれたしな。」
「うん、私頑張ったから今日は奢って。」
「はぁ・・・半分は持とう。
それより、モニカ、何か買いに来たんじゃないのか?」
「・・・あぁ!そうだった。
近々、また従業員が増えるのよ、木で良いから食器のセット6人分頼むわ。」
「うん、わかった。」
店長が頷くのだった。
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ローの酒屋。
「おじさん、なにか変わった事は?」
「国内の他地域の酒を扱い始めましたよ。
ウィリアム殿下の影響でしょう。
珍しいのか売れ行きも良いですね、ほほほ。」
「なるほど、今度行くのでお礼を言っておきますね。」
「お願いします。
ウォルトウィスキーの第3次増産計画ですが。」
「え?その話は聞いていませんよ?」
「今話します。」
「・・・はい。」
「今年はもう既に増産に動いていますよね?」
「確か、それでも足らないと私とおじさんは言っていましたよね?
3年間は年間3000本の生産量でその内の450本を領外用で、4年後からは12000本の生産でその内1800本を領外用とするでしたよね。
私が扱える本数は要協議となっていて話し合っていませんけど。
まぁ実際は領内の動向を見て領内、領外、国外の配分を決めるのでしょうけど。」
「ええ、そうですね。
なので、6年後の出荷の為に再来年の設備増強計画が出来たのですよ、ほほほ。
キタミザト様、今年の魔王国への輸出量はどのくらいでしたかな?」
「年252本です。
結構気に入って貰えたようですけどね。
増産、増産と要請されています。」
「ほほほ、良い事ですね。
なら、キタミザト様は対魔王国への輸出はいくつ必要だと考えますかな?
いや、キタミザト様がいくら輸出したいですか?」
「・・・月に200本は輸出したいというのが本音ですね。
なので年間2400本は確実に魔王国に入れたいです。」
「はい、私も同じように領外の事を考えているのですよ、ほほほ。
なので、今回の増産計画では6年後には24000本の生産でその内魔王国とキタミザト様、伯爵様用に4000本。
領外に10000本を領内に10000本にする予定です。」
「領内は10000本前後の需要で収まると?」
「いえ?領内の需要は20000本程度はありそうだと思い始めています。
ですが、領外への輸出もしておかないと先々で苦労しそうだとは思っていますからね。
領外と言っても私がするのは魔王国方面の各領と王都のみですが。
領内、領外ともに不足すると思いますけどね、ほほほ。」
「ウォルトさんが倒れないように上手くやってください。
私としては魔王国とエルヴィス家、私用にある程度確保出来れば品質以外に何も言いません。」
「ほほほ、皆さんと話を進めていますからその辺はお任せください。」
ローが頷くのだった。
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