第2189話 雑貨屋の苦難。(代理店を探そう。)
武雄がいつも来ている雑貨屋にて。
「・・・ん~・・・」
雑貨屋の店長が悩んでいた。
「いや・・・そこまで悩まれてしまうと・・・無理強いはしたくないので、無理なら無理と言って頂けるとありがたいのですけど。」
武雄が言う。
「いえ!出来ない訳ではありません、出来ない訳では・・・なのですが・・・ん~・・・」
だが、店長は悩んでしまっていた。
「こんにち・・・あぁ・・・」
とモニカが店に入って来て武雄を見つけため息をつく。
「・・・」
武雄は店先に落胆中のモニカ、横に悩んでいる店長・・・端から見たらどうなのだろうか・・・そんな事を考えながら何も言わないでモニカを見ている。
「キタミザト様・・・こんにちは。
お久しぶりでございます。」
「ええ、こんにちは。」
「キタミザト様は買い物ですか?」
「買い物と相談です。」
「そ・・・そうですか。
なんだか、ボブが悩んでいますが?」
「うん?モニカさんと店長さん知り合いなんですか?」
「ここら辺の商店の方々は知り合いですけどね。
ボブとは歳が近いので小さい時から知っています。」
「へぇ。」
武雄が生返事をする。
「で・・・何を言ったんですか?」
モニカが聞いてくる。
「いえ、なにも?
ちょっと商売上で出来るかの確認をしただけですよ。」
「本当に?」
「ええ、私の家が対魔王国の輸出入をしますけど。
領内の店から注文を受けたとして、うちの者に対応させても相手がどんな人なのか、店の位置とかわからないでしょう?
毎日毎日違う所から来られても私達が大変なので、領民達からの注文の管理と各客先への発送の管理と魔王国からの輸出入品の管理を代理して貰おうかと。
もちろん、貴族であったり、対魔王国関連の書類は私達が対応はするんですけど。
店先に商品を置かせて貰ったり、たまにうちの従業員が店内で働かせて貰ったりとしたいんです。」
武雄が言う。
「えーっと・・・つまり、キタミザト様が買って来た物を管理するのと領内向けに販売をして、こっちから輸出する物はキタミザト様から依頼をされたら用意して発送するという事ですかね?」
「はい、そんな感じですね。
モニカさんに依頼している筆記具とかベッドフォードさんのウスターソースとかローさんのウォルトウィスキーとか・・・
少量だから私やヴィクターで対応出来ているんですよ。
これから先、量が多くなっていくでしょうからね。
その時に依頼するよりも今からその辺の管理をしっかりとしてくれる所を探そうかと思ってですね。
ここは前から私が買い物に来ていますし、扱っている商品も丁寧に置かれていますからね。
まずは・・・と思ったのですけど・・・」
武雄が店長を見る。
「・・・うん・・・キタミザト様の言わんとしている事はわかります。
つまりはキタミザト様はあくまで商談をしてくるという事でその物品の管理や発送の手続きは任せたいという事ですよね。」
「ええ、そうすれば『いついつまでに用意してください』とここから各店にお願いして、用意して貰い、一括で送れますから。
各々から送らなくて良いと思うんです。」
「まぁ・・・キタミザト様が今している事をさせるわけですよね。」
「はい、私の仕事をお願いする形ですね。
言うなれば代理店ですかね?
それと店内の一角をお借りして魔王国で買って来た商品を陳列させて欲しいという依頼ですね。
たまにうちの者が販売員として協力しに店先に立って貰って、売れ行きや客先動向を確認に来て次に輸入する物を考える機会を得る実地訓練をさせて欲しいという依頼も入れました。」
「うん・・・なるほど。
キタミザト様、どのくらい買うのですか?」
「うん?もう買って来ていますよ。
近々、皆さんにお披露目します。」
「あるんですね・・・」
「フレデリックさんから各組合に話が行っているのです。
ここの店長も声がかかっているようで内容に関してはすぐに理解してくれました。」
「まぁ・・・ボブも組合員ですからね。
確か、今は理事だったっけ?」
モニカが聞くと店長が頷く。
「まぁ、諸々お願いしたいんで相談に来たのですけどね・・・」
「それは悩むでしょうね。」
モニカが即答する。
「無理強いはしたくないので断ってくれて構わないんですけど・・・ダメならダメで違う店に話を持って行こうかと思っているんです。
どうしたものか。」
武雄が考える。
「キタミザト様、それ、すぐに答えが必要ですか?」
モニカが聞いてくる。
「ん~・・・あまり時間はかけられないかと。
お披露目するので注文がある可能性もありますし、やるなら最初からと思ってですね。」
「まぁ・・・そうですね。
でも、今日、明日ではないですよね?」
「ええ、私が2週間程度、王都にまた出張なので戻って来たら決めたいんですね。」
武雄が言う。
「ん~・・・ならちょっと考えさせてくれませんか?
ダメなら代わりの店を紹介しますから。
キタミザト様が戻ってくるまでに店を見つけておきますよ。」
モニカが言う。
「・・・うん、そうですね。
私が考えてもあと数軒しか知りませんし。
違う店を紹介してくれるのならそれはありがたいですからね。」
武雄が頷く。
「ならば、後は私達がしておきます。」
モニカが答える。
「わかりました。
なら、私はここに不要ですね。
モニカさん、店長さん、お願いしますね。」
武雄が店を出て行くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




