第2188話 エルヴィス家から変な依頼書がベッドフォードに。(あ、キッチンカー進んでいるね。)
ベッドフォードの店の奥にて。
「キタミザト様、マヨネーズなんだが・・・」
「うん、喫茶店でマヨネーズ売り出すそうですね。
30個でしたか?
作るの大変でしょうね。」
「あぁ・・・大変・・・です。
なんで、あんなに混ぜるんだ?」
「そういう商品ですからね。
・・・そのうち量産依頼が来るでしょうね、大丈夫ですか?」
「はぁ・・・今の人員では・・・ちょっと・・・」
ベッドフォードが言い淀む。
「従業員は増やせそうですか?」
「ん~・・・ん~・・・」
「当分は今のままですかね。
まぁ大将の所はウスターソースがメインですからね。
当面は喫茶店だけのソースにしましょうか。」
「あぁ・・・そうするしかない。
それと・・・エルヴィス家からこんな依頼が来ているんだが・・・」
ベッドフォードが武雄の前に書類を置く。
「なんですか?・・・あー・・・うん、出来そうですか?」
武雄がメガネをかけて中身を読んでから書類をベッドフォードの前に戻す。
「・・・これってどういう事だ?」
ベッドフォードが聞いてくる。
「どうもこうも・・・現在の販売は維持しながらも追加で作って欲しい、ついでに原材料の追加分は街中から買って貰っても良いという事で増加分を見込んでの発注金額のようですから・・・要は臨時増産のお願いですね。
総発注数が結構な量なので、段階的に納入して貰おうという事でしょうか。」
「つまり、どういう事だ?
この量は・・・誰かを屋敷に呼ぶとかそう言う事ではないというのはわかる。
むしろ・・・領内外で相当な数の兵士が何日にも渡って動くとしか考えられないんだが・・・」
ベッドフォードが真面目顔で聞いてくる。
「・・・さて・・・そのうち何か発表があるのでしょうね・・・」
武雄が店の方を見ながら言う。
「・・・キタミザト様、そのうち・・・なのか?」
「・・・ええ、そのうち。
たぶん10日前後で何か発表でもあるのではないですかね?
ま、私は明日から王都に出張なので知りませんけど。」
武雄がベッドフォードを見て言う。
「キタミザト様が王都に?」
「ええ、魔王国に行ったのでその報告をね。
陛下が気にしていまして。」
「・・・そうか。
請書は回すが、伯爵様には請け負うと言っておいてくれ。」
「わかりました。
準備はお願いします。」
「あぁ、樽の増産や原材料の確保は任せておいてくれ。」
ベッドフォードが頷くのだった。
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ローチ工房では。
ローチとキャロル、モニカの父親と職人が1名、話し合いがされていた。
「・・・簡易厨房搭載車内の各配置のご要望を加味すると・・・これでどうでしょうか?」
ローチがモニカの父親に図面を見せその場で加筆しながら言ってくる。
「ふむ・・・そこだと水回りの固定方法がなぁ。
キャロル殿、ここは壁にネジで止めたいんだがどうだ?」
「そうですね・・・そこの壁に補強ですか・・・ん~・・・壁に止めない方法はありませんか?
やはり固定の下地補強をするのなら床が良いのですが。」
キャロルがモニカの父親の問いに悩みながら答える。
「床か・・・となるとこっちのが多少奥行きが必要だから・・・水洗いの場所をこっちにしたいな・・・だが、料理人の事を考えると、かまどをこっちにというのはなぁ・・・
重量がかかりそうなのは車輪軸上に持ってきた方が良いんだろう?」
「ええ・・・んー・・・いや、壁の方の補強をしましょうか。
料理人の動きが悪くなりそうな物を納入するのは設計での不備と言われてしまいます。
出来る限り床面に近い壁に固定して貰えますか?」
「下かぁ・・・となると製作する際の固定方法を変えるしかないか・・・
ん~・・・おい、選定した水回りとかまどの設計図を出してくれ。」
「はい。」
ハワース商会の職人が直ぐに図面を出して3人の前に広げる。
「真下への固定はこのままで良いとは思いますが、壁側の下にしか止める所が無いとなると・・・
そうですね・・・ここに斜めに木を入れて・・・ここの側面の下の柱間の渡木を厚くしてみますか。」
「それも手だな・・・正面の化粧板を厚くするという方法もあるか?」
「そう言う手もありますが・・・他のも考えると補強自体は最低限の軽さを求められているのですよね?
側面の補強と化粧板を厚くしての強度の確保・・・どっちが良いんでしょうか・・・
・・・ちなみにキャロル殿、壁に取り付けるネジの位置は床から15cmは頂けますか?」
ハワース商会の職人がモニカの父親と話していたがキャロルに聞いてくる。
「そこは・・・そうだなぁ・・・20cmまでは大丈夫・・・なはず、組み立てとしてはどうです?」
キャロルがローチに聞いてくる。
「キャロル殿、組み立て側としての補強ですけど・・・
新たにSL-05でこういった形状には出来ませんかね?」
ローチがコの字型の絵を図面に書く。
「んー・・・大きさは?」
「幅10cmか15cm、短手側の高さは5・・・10cmで。
これを長さ10cmくらいにして内側に取り付けられないですかね?
そうすればそこにネジで固定をする事が出来ると思いますが・・・」
ローチが言う。
「なるほど・・・そうか・・・となると、板の製作段階で取り付けとくのか・・・
出来なくはないな。
さっきの話はなしで出っ張りは出来ますが、壁への取り付けは可能ですね。」
キャロルがモニカの父親とハワース商会の職人に言う。
「ふむ・・・となると天端の加工が必要か・・・
その出っ張りは10cmで確定とすれば良いですかね?」
「あー・・・ええ、そう考えて貰って良いですが差異は絶対にありますから、調理器具の設置の際に穴埋めをして欲しいです。
最大5mm程度前後すると考えてください。」
「最大10mmの隙間かぁ・・・何とかできそうか?」
「何とか、設置の際に埋めます。」
「なら基本配置はこれで行くとして・・・下地のその部材を取り付ける位置の確定をさせないといけないな。」
「「「ええ。」」」
モニカの父親の言葉に3人が頷く。
簡易厨房搭載馬車の製造は着々と進んでいくのだった。
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