第2183話 引き渡し始まる。(ジーナの管理は完璧です。)
王城のアズパール王の執務室。
窓際でアズパール王がオルコットとお茶をしていた。
「・・・そろそろエイミーの話が聞こえてきそうではあるんだが・・・ないな。」
「エイミー殿下の事です。
すぐに終わらせたのでしょう。
報告するような事でもないと思っているのでしょう。
優秀ですね。」
オルコットがアズパール王の言葉に答える。
「はぁ・・・エイミーには試験にもならなかったという事か。
まぁ、この程度ならエイミーなら少し考えれば自ら対処するというものか。」
「ええ、エイミー殿下は地力が違いますからね。」
「さて・・・どうなる事か。」
「下の王都守備隊の訓練場ではエルヴィス家の準備が着々と出来ていますね。」
「なぁ・・・オルコット、ここまで幌馬車が横一列に並ぶのって壮観だな。」
「ですね。
文官の私でもエルヴィス家の兵士の統率力が凄いというのがわかります。
こうも幌馬車を綺麗に並べられる物なのですね。」
「うむ・・・こういった何気ない幌馬車の止め方だけでそう思わせるというのはエルヴィス伯爵の施政者としての能力なのだろう。」
「王都の壁にさせますか。」
「・・・こうまで出来たら良いな。
お、入って来たか。
あれがニール達からだな。」
「はい、工程表からはそうなりますね。
荷物が予定より多いはずですが・・・慌てることなく指示に従って止めていきますね。」
「ふむ・・・あ、エイミーが降りて来たな。
・・・机の所に行ってエイミーが何か書いているな・・・」
「引継書類か契約書の確認ですかね?
・・・まぁエイミー殿下の方はすんなりと終わりそうです。」
アズパール王とオルコットが観覧しながら成り行きを見守るのだった。
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王都守備隊の訓練場。
「えーっと・・・ジーナ、この量と金額で大丈夫かな?
確認をお願い。」
スミスが書類に書いた数量と金額の確認をジーナに依頼する。
「はい、失礼します・・・はい、大丈夫です。
ドネリー様、エイミー殿下の前にご確認をお願いします。」
「はい・・・大丈夫です。
エイミー殿下、追加の方の書類が出来ました。」
ドネリーが確認してエイミーに言う。
「うん、3人が確認しているけど、私も確認っと・・・うん、問題ないわね。
スミス、追加の注文を受けたわ。
それで・・・これが今回第2皇子一家領から輸送された小麦の発送時の確認書ね、後ろに受け渡しの際に確認する事にしてあるから確認してチェックして。
あとこっちが受け渡す幌馬車の引渡書類になるわ。
全部を確認してサインをお願い、3部ずつになっているからサインをお願いね。」
「はい・・・うん、ジーナ、確認してください。」
スミスが中身を見てジーナに促す。
「はい、失礼します・・・はい、事前打ち合わせの通りの量と引き継ぐ馬車の数は合っています。
問題ありません。
輸送された量の確認をしている兵士が来たらチェックを入れさせます。
では、確認が終わるまでエイミー殿下、スミス様、少々お待ちください。
ドネリー様、私は伝えてきますので一旦離れます。」
「わかりました。」
ドネリーが頷くとジーナが兵士達に指示を出しに離れる。
「・・・はぁ・・・・何とかなりそうね。」
エイミーが皆の動きを見ながら言う。
「はい、でも多かったんですね。」
スミスがエイミーに言う。
「うん、多くなるのも少なくなるのも予想はしていたんだけど、ちょっと予想より多くが来た感じよ。
スミス達が予備の資金を持っていてくれて助かったわ。」
「ジーナが少し多めにお金を持っておいた方が実際に何かあった際にすぐに動けるだろうと言ってくれましてね。」
「なるほどね。
スミスとしては少なく来ても問題なかった?」
「どのくらいかによりますけど。
幌馬車2台分少なくても大丈夫なようにしています。
まぁ・・・この後、そこのお店に頭を下げに行きますけど。」
「そうなの?大丈夫?」
「はい、大丈夫です。
万が一の際に買うと言って契約しています。
優先的に売ってくれるというだけでしたのでね。」
「・・・金額発生しているの?」
「ええ、でも少ないですよ。
銀貨2枚です。
僕のお仕事は依頼された量の小麦を買う事なんでそのぐらい仕方ありません。
予算に入れていますしね。」
「まぁ・・・スミスとジーナが良いというなら私は何も言わないけど・・・
突発的に必要になるならもっと金額がかかってしまうのを抑える手立てとしては十分か・・・用意周到とはこの事なのかもね。」
エイミーがそういった方法もあるのかと少し感心しながら言うのだった。
「スミス様、エイミー殿下、幌馬車ごと引き継ぐ方の小麦の確認と載せ替える方の確認を半分ずつ実施しています。
幌馬車を引き継ぐ方は確認し、第1陣として出立する台数に達したら出発をします。
載せ替える方が確認でき次第、載せ替えを実施します。」
ジーナがスミス達に近寄って報告してくる。
「うん、予定通りだね。
ジーナの工程との差異は?」
スミスが聞いてくる。
「はい、現在・・・5分ほど早く進んでいます。
ですが、確認作業に手間取り遅れが生じた場合は皆が共有するようにしています。
各確認作業において10分の予備を設けておりますので、多少の遅れは許容出来ていると考えられます。
このままで行けば全体の工程通りに推移するだろうと予測します。」
ジーナが懐中時計を取り出し、書類を見ながら言う。
「はぁ・・・ジーナ、優秀過ぎるわよ。」
エイミーが呆れる。
「本当、ジーナが管理してくれて助かります。」
スミスが言う。
「ありがとうございます。
とりあえず、第2皇子一家の方は大丈夫だろうと楽観視が出来ています。」
ジーナが頷くのだった。
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