表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2197/3634

第2181話 244日目 羊羹が水羊羹に。(ついでに穀物酢の伝統製法を試してみよう。)

武雄達の寝室。

ミア達チビッ子は湯浴み後に自分達の部屋に帰って行った。

今は武雄とアリス、パナとコノハがお茶をしていた。


「タケオ、こし餡で羊羹を作るとか料理長が言っていたけど・・・作るの?」

チビコノハがかりんとうを食べながら言う。

「ええ、羊羹作ったら持ち運び出来るでしょう?

 あれ一応保存が効きますし、旅には最適ですよ。」

「まぁ、羊羹は砂糖の塊だからね。

 ゼラチンで?」

「はい、羊羹はエネルギー量も多いですからね。

 疲れた際の急速な栄養補給に向いています。」

武雄の言葉にチビコノハとチビパナが言う。

「コノハ、よーかんって何?」

「あー、アリス、羊羹よ。」

「ヨウカン、聞いている限りだと餡子を使うみたいですけど。」

アリスが聞いてくる。

「うん、タケオは、あの餡子を固める気なのよ。」

「固める?・・・餡子をどうやって固めるのですか?

 こう言っては何ですけど、結構べちゃってしていますよね?

 まぁ、冷えた物はちょっと固いともとれますが。」

「アリスも王都で食べたじゃない、ゼラチンよ。」

「ゼラチン・・・あ!前にアン殿下に作って貰ったやつですね。」

「ええ、あれを使ってこし餡を固めます。

 持ち運びに割と便利な菓子が出来る・・・はずなんですけど。

 コノハ、竹ないですよね?」

「あー・・・竹の葉で包むかぁ・・・ないね。

 じゃなくて・・・ねぇ、タケオ、ゼラチンで羊羹作るの?」

「はい、そのつもりですけど?」

「タケオ・・・羊羹って、こし餡と水あめで下地を作って寒天で固めたものを言うのよ。

 寒天の量を少なくした物を水羊羹と言うのが一般的ね。

 確かに寒天とゼラチンは同じような性質はあるわよ?

 でも・・・ゼラチンで作った物は水羊羹と同等にしかならないと思うんだけど?」

チビコノハが言う。

「・・・ふむ・・・固まりませんか。」

武雄が考えながら言う。

「固まりはするわよ。

 でも、ゼラチンと寒天の違いは食感と固まる温度よ。

 ゼラチンはプルプルしていて、寒天はしっかり。

 ゼラチンは15度以下で固まるけど、寒天は40度程度から固まるわ。

 要はゼラチンは冷蔵庫で寒天は常温で固まる。

 そしてゼラチンは夏場の30度くらいに置いておくと溶けるのよ。

 だからゼリーって基本的に冷えているでしょう?」

「確かに・・・なら明日作ろうとしているのは水羊羹程度の塊にしかならないという事ですね?」

「残念ながらね。

 型に入れて冷やすのであれば、水羊羹として楽しめるとは思うわよ。

 実際に寒天で作る方法とゼラチンで作る方法・・・どちらも美味しいと思うわ。

 それにゼラチンなら使用方法が簡単だしね。

 水羊羹として発表しても問題はないレベルだとは思うわよ?

 タケオ、そう言えば前にテンプル伯爵の所から海藻の干物貰っていたけど、寒天あった?」

「パナや料理長と確認をしましたが、なかったですよ。

 昆布やワカメが見つかる事を期待しましたが、まだ発見出来ていませんね。

 その内また向こうから売り込みがあると思います。

 その時に期待ですね。」

「ふむ・・・ちなみにタケオ、寒天の元って知ってる?」

「確か・・・天草という深い赤色の海藻ですよね?」

「あ、見た事はあるんだ。」

「どこだったか・・・漁港に行った際にトコロテンと寒天の材料と言われて見た事があります。

 トコロテンも寒天も興味が湧かなかったので『ふ~ん』程度で赤いんだなぁと思った程度ですね。

 まさかここに来て探すとは思いませんでしたけどね。」

「寒天の作り方は?」

「知りませんね。

 まぁ・・・煮だすのかな?という漠然的なイメージはあります。」

武雄が言う。

「ふむ・・・まぁ・・・天草が見つかってから教えるか。

 ちなみにタケオ、酢欲しいよね?」

「是非にも。」

「だよね・・・黒酢は出来る可能性はあるわよ。」

「ほぉ・・・寒天作りに必要ですか?」

「うん、お酢を少々必要とするわ。」

「なるほどね。

 それで黒酢ですが・・・出来そうですか?」

「うん、確か鹿児島の方の伝統的な酢作りが割と簡単だったはずよ。 

 えーっと・・・壺酢だったかな?

 『蒸し米』、『麹』、『水』だけで出来る方法ね。

 成熟に最低1年くらいかかるからちょっと時間はかかるけど、今のワインビネガーより確実に料理に適したお酢が出来るわね。」

「ふむ・・・レシピの公表次第で売れますね。」

「うん、売れもするし、使えもするわね。」

「材料が日本酒に似ていますね。」

「そりゃそうね。

 日本酒とお酢は製造上、兄弟みたいなものだもの。

 途中で分離する感じかな?

 みりんは日本酒の成れの果てだしね。」

「その壺酢が今一流行ってこない理由は?」

「成熟期間が長い事と品質のバラツキだろうね。

 職人がしているからそこまでは不均一とはならなくても出来るわ。

 タケオが知っている穀物酢の成熟期間は1、2か月がほとんどよ。

 成熟期間が短いという事は風味や色で差があまり出ない、製品品質としては均等に出来るし、そもそも期間が短いという事は保管しておく期間が短く出荷が直ぐに出来る。

 大量生産、大量消費に向いているという事だからね。

 生産者としてはすぐに卸せるというのは商品価値は高いという事だと思うわ。」

「なるほどね。

 壺酢は良さそうですね。」

「わかったわ。

 上手く行くかは試験次第だけど・・・お酒と味噌を作る際に実施してみるね。」

「ええ、お願いします。

 米も試作に必要ならいくらでも使って良いですから。」

「わかったわ。

 うーちゃんとだーちゃんと相談しながらしていく。」

チビコノハが頷く。

「パナちゃん、もう寝よっか。」

「そうですね。

 タケオ、アリス、また明日。」

「おやすみ~。」

チビパナとチビコノハが姿を消す。


「タケオ様、少し相談があるのですが。」

アリスが意を決した顔をさせて言ってくる。

「はぁ・・・さっきから何か思い詰めているとは思っていましたが・・・聞きましょうか。」

武雄が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >ゼラチンは15℃で固まって、ゼラチンは40℃で固まる。 文中より40℃の方が寒天なので、要修正。
[気になる点] うぅ~ん、武雄の会話って異世界転移特典で話せてる気がするんだけど? 武雄が文字を練習したくないって言ってるって事は、実際は日本語の言語体系からかけ離れてるって事でしょ? って事は、羊羹…
[一言] いやー勉強になるな、これでおれも異世界に行ける
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ