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第2168話 その頃の王立学院では。(乗馬の授業が始まっていた。)

王立学院の厩舎前、1年生達が授業していた。

「馬に乗った事があるのは約6割と今年は多い、だが、乗馬の授業は基礎からしていく。

 経験がある者は復習として、無い者は出来るように努力してください。

 まず、馬に取り付ける各用具の説明をしていきます。

 こっちの馬に乗馬の用具が装着された状態で」

教師が説明をしている。

「・・・」

スミス達は真面目に授業を受けているのだが。

「なぁなぁ、スミス。

 馬の用具買いに行こう、皆で。」

イーデンが小声でスミスに話しかけてくる。

「・・・授業中ですよ。」

「まぁまぁ、で、今日は空いているのか?

 グレース殿下とカイルも誘っているんだが。」

「はぁ・・・皆の予定が決まっているのですね。

 空いていますよ。

 店はわかっているんですか?」

「ああ、グレース殿下が知っている店に連れて行ってくれるそうだ。」

「王家の?」

「貴族と豪商向けらしい。」

「そこ・・・大丈夫なんですか?」

「グレース殿下の店を疑うのか?」

「いや・・・そっちじゃなくてね、値段の方。

 いくら鞭と服装だけと言ってもそれなりの値段になるんじゃないの?」

「・・・集合前に実家に行ってくる。

 カイルにも伝えておく。」

「うん、僕もジーナに言って多めに用意して貰おうかな。

 さ、授業を聞かないとね。」

「ああ・・・そうだな。」

スミスとイーデンが授業に耳を傾けるのだった。


ジーナは授業は聞かずに厩舎を他のお付き達と職員とで見回っていた。

毎回とは行かないまでも貴族という体があるので初回から数回までは優先的に馬を選ばせてくれるとの事で、お付きが先に見る事になっていた。

要は平民の前で失敗はしないようにとの配慮がされていた形だ。

「ジーナ様、こちらの馬はどうでしょうか?

 なんとなく、落ち着いていますし、おっとりしてそうです。」

グレースのお付きのバウアーがジーナに聞いてくる。

「それは・・・歳も取っていて大人しそうですね。

 バウアー様やグレース殿下に良さそうです。

 同じような馬を選んでみるのも良さそうだと思います。」

ジーナが答える。


2人よりちょっと先を行くイーデンのお付きのバイロンとカイルのお付きのブルはというと。

「うちのには若い馬が良いと思うんです。

 これから先、長く乗れた方が良いと思いますし。」

「いや、若い馬の方が相性が良かったら動きは速いし、体力はあって良いですけど。

 最初は良いが、終盤に同じ馬が回ってくるとは言い切れないからなぁ。

 まぁ貴族という事で融通はしてくれるだろうけど。」

バイロンとブルが言う。

「おかしいなぁ・・・今日は馬達が大人しい・・・いや、緊張しているのか?

 こんな事は今までないと思うんだが・・・」

職員が先導しながら呟く。


「ジーナ様はどうしますか?」

バウアーが聞いてくる。

「私は・・・スミス様には扱い易い馬をお願いしたいです。

 たぶん、バウアー様が選んだような馬をお願いするとは思いますが、私は馬の目利きは出来ませんので教師の方に選んで貰えれば良いかと。」

「なるほど、お任せしてしまうのですね?」

「ええ、優先的に私達が選んで良いと言われましても・・・私はわかりませんので、出来るだけ大人しい馬をスミス様に付けて頂けたら良いかと。

 スミス様は乗馬は出来ますので、大人しい馬ならば問題ないと思いますので。」

「なるほど・・・・私もそうやって選んで貰った方が良いのでしょうか。」

バウアーが考えながら言う。

「そこはなんとも・・・ご自身の直感を信じるのもまた良い事かと思います。

 それにお任せにしてしまうと優先順位的に個別に指名するよりも低くなってしまうかもしれません。

 そうすると例えば先程の良いと思った馬が来ない事もあるでしょう。」

「・・・ん~・・・グレース殿下からは私に任せると言われているのです。

 私も少々乗馬は習いましたが・・・殿下から『バウアーが選ぶように』と言われてしまった手前、馬を選ぶ責任がありますよね・・・はぁ・・・全部お任せするのも違う気がするんです。」

「そうですか・・・(言われた内容の判断が)難しいですね。

 私もスミス様に同じような事を言われました。」

「そうなのですか?」

「はい、私はその際にスミス様が求める最低限の馬をお聞きしましたので、最低水準の馬がくれば仕事的には終わりです。」

「それが、大人しめの馬ですか。

 はぁ・・・なるほど、主の求める要件を聞かなかった事が私の今の苦悩ですね。」

「そうかもしれません。

 まぁ、まだ実技には日数がありますから、また後日に決めると言って、今はバウアー様が見繕った馬をグレース殿下にお見せして確認してもよろしいのではないでしょうか?」

「そ・・・そうですね。

 グレース殿下にお聞きし、実際に見て頂こうかと思います。」

「はい。」

バウアーの判断にジーナが頷くのだった。


(でもさぁ、ジーナ。)

パラスが姿を隠した状態で話しかけてくる。

(なんです?パラス。)

ジーナが答える。

(ジーナ、スミスから言われたのって『気性が荒いのは無理です』だけだよね?)

(はい、なので、大人しい馬にして貰おうと思います。)

(・・・大人しくなくても良かったんじゃない?)

(いえいえ、パラス、今回は判断基準は同じように見えて違うと思いますよ?)

(そうかなぁ?)

(ええ、教師や厩舎の方々はここの馬に慣れている方ばかりです。

 スミス様は地方の伯爵邸に居た馬しか知りません。

 元々の『気性が荒い』という判断基準自体に差があってもしかたありません。

 なので、極端ですが、大人しい馬を用意して貰った方が安全で確実です。)

(なるほどね。

 で、ジーナ自身はどうするの?)

(私ですか?私は最後の余っている馬から選びます。

 多少荒くても問題ないですし、暴れるなら魔眼を使って躾をするだけです。

 コラ達より馬は弱いですからね、問題はないですよ。)

(判断基準がおかしいのはジーナなのね。)

パラスが呆れるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] いっそジーナ自らスミスをn・・・おっと誰か来たようだ ε=ε=┏(・_・)┛
[一言] >「おかしいなぁ・・・今日は馬達が大人しい・・・いや、緊張しているの   ジーナ:高位の獣人の気配がダダ漏れなのか   3 ドラゴンが、上空を通過中なのか     ビエラが、スミス・ジーナ…
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