第2166話 引っ越し先の情報をやり取りします。(家の間取りはお任せです。)
ビエラ達が一通り話を終え、落ち着いた所で、武雄が皆の前に立つ。
「とりあえず・・・リツ、今日はありがとうございました。
これは今日来てくれたお礼でオレンジを樽に入れましたので適度に食べてくださいね。」
「グルゥ。」
リツがそう言いながら目の前の樽を自分に引き寄せる。
「そして、リーザ・・・ですね。
『さん』とかを付ける必要はないとの事でしたので名前で呼びますけども。
来て頂いてありがとうございます。」
「ぎゅ。」
リーザが頷く。
「リーザとビエラ達の話は後で良いという事なので、まずはこちらの要件ですね。
今日来て頂いたのは、リツの引っ越し先の事です。」
「あー♪」
「きゅー♪」
ビエラとクゥが「引っ越しー♪」と手を挙げる。
「グルゥ。」
リツが頷く。
「では、説明をしますね。
今、計画されているのは、ここの訓練場の端を起点として1辺1km、周囲4kmの許可が無い者が入れない保護地区を作ろうと考えています。
そして、リツの住むのは真ん中を予定しているという事と同居人が居ても良いかという確認ですね。」
「グルゥ?」
リツが首を捻る。
「夕霧。」
「ん。」
武雄の横に夕霧が並ぶ。
「ここから1辺500m、周囲2kmの範囲は既にこの子達エルダームーンスライム達の保護地区です。
今回はそれを拡大しようと考えています。
リツが嫌でなければエルダームーンスライムと同居して貰って、スライム達を保護して欲しいんですよね。」
「グルゥ。」
リツが頷く。
「主、問題ないですって。」
ミアが言ってくる。
「はい、森に誰かが侵入してきた等の防犯機能はスライム達が得意としています。
リツも感知は出来るでしょうが二重で確認をした方が良いと思います。
また、夕霧達エルダームーンスライムはこの地で体液を作る仕事をしてくれています。
リツは王都の横の棲みかで見ていると思いますが、今、少数ですが商品を作り出しています。
エルダームーンスライム自体が希少と言うだけでなく、希少な原材料を作ってくれています。
リツにはスライム達を守護して欲しいのです。」
「グルゥ。」
リツが頷く。
「あ、そうだ、前に夕霧達と約束した森に人が入った時のお願いをしますか。
一応、リツに話しますが、出来ない事もあると思いますので全部聞き終わってから修正していきましょう。」
武雄が保護地区について話し始めるのだった。
・・
・
話はリツの家の話に移っていた。
「グルゥ?」
「主~、リツは住めればなんでも良いと言っていますよ?」
「ふむ・・・家主の希望はなしと。
なら、こっちで考えてみましょうかね。
リツ、一応、夕霧達が居ますのでスライム達の棲みかとしても使わせて貰いますね。」
「グルゥ。」
リツが頷く。
「夕霧は何か要望はありますか?」
「ん、今訓練場の小屋の所に衣服を置いて着替えています。
多少、その棲みかに持って行き、誰か来た際に着替えたいと思います。」
「なるほど、小部屋が欲しいという事ですね。」
武雄が黒板に書く。
「ん、あと、小銃の保管部屋が欲しいです。」
夕霧が言う。
「確かに、自衛の武器は必要でしょうね。
ですが、盗みに入られる事も考慮して少し扉の数を増やした部屋が必要でしょうかね。
もしくは武器庫の中に置く場所をひっそりと作って、他の武器は偽装とするか・・・
あ、そうか、万が一の際のエルヴィス家とキタミザト家の避難場所としても活用出来るのか。
・・・うん、色々と想定しないといけませんね。
とりあえずの所はリツが寝泊まりが出来るように屋根壁があり、夕霧達スライムが間借り出来て、私達が多めに来ても泊まれる広さ・・・ですか。
あと、リツ、成獣状態で離着陸するのに必要な広さはどのくらいですか?」
「グルゥ?」
「あ~??」
リツとビエラが見合う。
「あ?」
「グルルゥ、グルゥ?」
「あ~・・・」
「きゅ?」
「あ!あ~。」
「きゅ~・・・」
クゥが落ち込む。
「ぎゅ?」
「あ~?」
「ぎゅ~・・・」
リーザが不貞腐れる。
わいわいとドラゴン達が話し合っている。
「離着陸に個人差があるんでしょうかね?」
武雄がミアに聞く。
「ビエラがほぼ助走なしでも良いらしいですよ?
対してクゥが『10mくらい走りたい』と言ったら大人達から『クゥはもっと短くしなきゃダメ』と言われていましたね。」
「ん~・・・ビエラの感じだと両翼は伸ばして20m、頭から尻尾まで20mくらいですかね?
クゥが飛ぶことを考えれば+10mは欲しい。
でも周りに木々があれば邪魔だから体長の3倍は必要として・・・大きく見込んで100m四方の空き地が必要ですかね?」
「リツの家もありますよね?」
「・・・なら幅100m、奥行き150mで広場を作って、100m四方は離着や日向ぼっこに使うとして、建物用の敷地は奥から手前に50mの奥行内としますか。」
武雄が考えながら言う。
「建物用の範囲は幅100m、奥行50m以内ですか・・・広いですかね?」
「ん~・・・人が住む分には十分な敷地ですね。
ただ、ドラゴンですからね・・・やっぱり公募するしかないか。」
「主、公募って上手く行く物なのですか?」
「さて・・・しっかりと内容を確認しなくてはいけないでしょうね。
それに予算もオーバーしないように計画段階からしっかりと見通しを付けて貰わないとなぁ。」
「なかなか大変そうなんですね。」
武雄とミアがドラゴン達の会話を見ながら思案するのだった。
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