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第2159話 ローチ工房に追加でお願いに。(変な事を言っている輩発見。)

ローチ工房の会議室。


「「ダメです。」」

ローチとキャロルに武雄がダメ出しをされていた。

「・・・コンテナの上に櫓案はダメですか。」

武雄が返事をする。

「はい、いくらコンテナの上と言っても地面の関係で馬車自体が水平になる訳ではありません。

 多少の傾きはあるはずです。

 今の高さよりも高い物を上にとなるとバランスが悪くなります。」

「コンテナの上に乗る程度であれば良いですが、その上に櫓を後からとなると安全性がありません。

 それにただでさえ、片側の外壁部に使う板を上下に開けるのです。

 風で煽られて、変な風にコンテナに荷重がかかったら横転、もしくは拡張した方の屋根板が弾みで閉まってしまう事も考えられます。

 ですので櫓は不可です。」

ローチとキャロルにダメだしされる。

「ん~・・・座るぐらいなら良いのですか?」

「はい、椅子程度なら問題ないでしょう。

 それに風雨もあるでしょうから・・・固定しないようにすればテントも可能です。」

「風で飛ばされたくないので固定はしたいのですけど。」

「なら、固定する際の紐を地面から取ってください。

 そうすればコンテナの方にテントにかかる風の影響は伝わりません。」

「・・・んー・・・テントも頼めます?」

「はぁ・・・わかりました。

 キタミザト様の話では後日、ラルフさんが来られるようですし、その際に打ち合わせをします。」

キャロルが言う。

「お願いします。

 中に座れて、ちょっとした机が置ければ良いです。」

「・・・そのちょっとが難しいのですが。」

「何とかなりそうですか?」

「何とかします。」

武雄の問いにキャロルが言う。

「完成はどのくらいですか?」

「そうですね・・・7月末には確実に出来るようにしておきます。

 ローチ工房の方の幌馬車の方が落ち着くのが来月の・・・」

「2週目までには落ち着くと思います。

 その後、整備の依頼も来ていますが・・・まぁ、大丈夫かと。」

キャロルとローチが言う。

「ふむ・・・わかりました。

 私はまた王都に出張に行くので、戻りは来月半ばくらいで考えておいてください。」

「「わかりました。」」

「ま、軽く部屋が出来て、屋根に登れてテントが張れれば良いです。」

「「ははは・・・」」

ローチとキャロルが乾いた笑いをするのだった。

・・

ベッドフォードの青果店の店先の端。

武雄が木箱に座りながら通りを見ていた。

「キタミザト様、何もそんな所に。」

ベッドフォードの奥さんが声をかけてくる。

「いえ・・・なんとなくね。

 お気になさらずに。」

「そうですか?

 まぁ、奥にお菓子置いておきますからね。

 しばらくしたら入ってくださいね。」

「はーい。」

武雄の返事を聞いてベッドフォードの奥さんが客の対応に戻る。

「・・・平和だねぇ。」

「タケオ、賑わいはいつも通りなのでしょうね。」

チビパナが武雄の肩に現れて言う。

「生活を良くするというのは難しい物ですよね。」

「タケオは料理からしていますからね。

 ある意味で直結している事ではあるので、皆が良くなっていると思ってくれていそうですね。」

「そうであれば良いですねぇ。」

武雄がしみじみと言う。

「・・・ん?」

「・・・何か演説っぽい感じの声質ですね。」

武雄とチビパナがここから少し通りの先で何やら演説めいた大声を出し始めている男を見つける。

「面白そうですね。

 すみませーん、ちょっと離れますけど戻ってきますから、お菓子仕舞わないでください!」

武雄が店の奥に声をかけて立ち上がる。

「はぁ・・・大概、面倒な事だと思いますよ?」

そうは言うもののパナも武雄を止めようとはしない。

2人は興味本位で近寄るのだった。

・・

「諸君!この国の貴族は私腹を肥やし!民達は貧困に喘いでいます!

 こんな事を許して良いのでしょうか!

 一部の特権階級がその他大勢の国民の血税を自分の贅沢に使用している!

 こんな事を許してはいけないのです!

 国民による、国民のための政策が必要なんです!

 貴族制を廃止し!権力を有する者達を排除する必要があるのです!

 その為にはまず!種族、性別関係なく、そして出自に関係なく!望んだ職業に付けるようにしなければならないのです!

 まずはそこから始まり!ゆくゆくは貴族制を廃止しなくてはならないのです!」

堂々と政治批判をしている男が聴衆を前に演説をしていた。

聴衆は少人数が聞いているが、ほとんどの者は聞いてもすぐに離れて行ってしまっていた。

聞いている人達もジト目で見ているのだが、演説をしている男は悦に入っているのか周りを気にせず、持論を展開している。

だが、この男、間違いを犯していた。

1つ、この地が領民の圧倒的な支持率を誇るエルヴィス領である事。

2つ、先ごろエルヴィス家は飲食店系の組合を通じ、無償でレシピを公開しており、尚且つ、皆が卵と鶏肉を食べれるようにと養鶏場の運営を始め、地域住民の事を思っての政策を実施していると知らされている事。

3つ、エルヴィス家が割と低めの税率で運営していると大人達は知っている事。

4つ、贅沢をしたといっても最近のアリスの結婚式ぐらいで、慎ましく過ごしていると知られている事。

5つ、演説をしているこの場所の通りの向かい側で批判している当主の孫娘の旦那が聞いている事。


まぁそもそもこいつを捕まえて兵士に渡そうと皆は考えているのだが、武雄が黙って聞いているので我慢していた。

皆の目には「こいつ何言っているの?」という呆れと「あんなに頑張っているエルヴィス家を愚弄しやがって」という憎悪が宿っているのだが・・・演説をしている男は気が付かない。

そして不思議な事に兵士達がやってこないのだ。

こんな演説をしようものなら、どこの地域に行っても、すぐに兵士が飛んできて引き摺り降ろされそうになるので、いつでも逃げる準備をしての演説をしているのだが、なぜか今日は来ない。

「これこそ兵士達が仕事を怠慢している証拠だ」とばかりに演説をする男は気を良くしどんどん政治批判をしていくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鴨ネギだ
[一言] いやぁ、中々に香ばしいのが涌いて来ましたな。 さてさて、数年後の戦争時にアズパール王国の足元が揺らいで一番得する国がほれ、魔王国の逆隣にあるじゃろ?(すっとぼけ) しかし市民革命や職業選択…
[一言] 次で完全論破されて涙目で逃走するのが見えるwww
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