第2157話 王城に報告に来ました。(エリカ、何書いたの?)
王城の入り口の受付。
「キタミザト家ジーナです、第3皇子一家にご報告に参りました。」
「え?ジーナ殿?」
受付に居た警備兵にジーナが声をかけると受付の警備兵が驚き顔をジーナに向ける。
「はい?」
受付にいる警備兵はジーナとは何回も受付で会った事がある程の顔見知りだが、ここまで驚かれる事はないはずだとジーナは不思議そうな顔をさせる。
「あ!・・・いえ、ジーナ殿、おはようございます。」
「はい、おはようございます。
小太刀をお預けします。」
「はい、いつも通りですね。
少しお待ちください・・・では、こちらを。」
警備兵が小太刀の詳細をメモし、番号が書かれた木札を渡す。
「はい、お願いします。」
「ちなみにですが、ジーナ殿、3時課の鐘までには王城を退去された方がよろしいと思います。」
「そうなのですか?」
「少し、今日はバタバタとする予定ですので。」
「そうですか・・・この後、王立学院に行きますので遅くならないようにします。」
「はい、お願いします。
では、少しおかけになってお待ちください。
第3皇子一家に予定を聞いてこさせますので。」
「わかりました。」
ジーナはそう言って受付前の椅子に腰をかけるのだった。
・・
・
第3皇子一家の執務室。
ノックをして中から返事があったのでジーナが入る。
「失礼します。
殿下方、エリカ様、おはようございます。」
「「「「おはよう、ジーナ。」」」」
第3皇子一家の面々がにこやかに出迎える。
「今日は朝早くからだね。
何かあったのかい?」
ウィリアムが聞いてくる。
「はい、ご主人様とアリス様から手紙が来ました。
レイラ殿下にご報告をと思いまして朝早くではありますが、参りました。」
「私?なんだろう・・・今時期何もないと思うんだけど・・・」
レイラが腕を組んで考えながら言う。
「ご報告です。
アリス様が懐妊されました。」
「「「「!!」」」」
室内の動きがピタッと止まる。
「そ・・・それは本と・・・んんっ!喜ばしい事ですね。」
エリカが言ってくる。
「はい、エリカ様。
コノハ殿とパナ殿の診断結果ですので確実だと思われます。」
「そうですか・・・」
そう言いエリカが何か書き始める。
「まぁ・・・私達もあの2人の診断だからね、そこに疑いはしないわよ。
それで性別は?」
アルマが聞いてくる。
「手紙には何も。
聞いたのならば書いてきそうではあるのですが、もしかしたらまだ聞いていないのかもしれないと思っております。」
「ふむ・・・ん~・・・普通なら男子を、と考えそうではあるし、聞けるのなら聞くと思うのだけど・・・」
「タケオさん、貴族に執着ないからね。」
「聞く必要は早々にはないという感じかな?
でも、私達がそうだけど、部屋や衣服とかで性別がわかっていた方がやりやすいのはタケオさん達もわかっているだろうしね。」
「そうですね。
まぁ生まれてくるのは先だろうしね・・・ジーナちゃん、子供が生まれる予定は?」
「来年の2月中との予想が来ております。」
レイラの質問にジーナが答える。
「あ~・・・来年なんだ。」
「子供達の1つ下かぁ・・・」
ウィリアムとアルマが少しがっかりしたように言う。
「騒がしい寄宿舎を避けたのかもしれませんが、1つ下ですと・・・
殿下方・・・アリス様のお子様が同学年生徒筆頭でしょうか?」
ジーナが聞く。
「今の所、他の貴族から生まれたという事は聞いていないね。」
ウィリアムが言う。
「ふむ・・・となると教育方針を考えないといけませんね。
生徒達の見本となる振る舞いが出来るようにしないと・・・」
ジーナが考えながら言う。
「えっと・・・ジーナちゃんがアリスの子供達の教育をするの?」
レイラが聞いてくる。
「はい、あのアリス様のお子様です。
私の家系はそうでしたが、アリス様のお子様も魔眼を受け継ぐ可能性があります。
ですので、直接は教えなくても私が側に控え、子供達への抑止力とされると考えます。」
「「「魔眼・・・」」」
ウィリアムとアルマ、レイラが呟く。
「魔眼持ちには魔眼持ちか精霊魔法師しか対抗出来ません。
私で何とか子供を抑えないといけないかと思います。」
「・・・そうなのねぇ・・・アリスの子供かぁ・・・
ま、大きくなってから考える事ではあるかな?」
「はい、そうなっても良いように過ごして行きます。」
ジーナが答える。
「ジーナ殿、これ・・・アリス殿にお願いします。」
エリカがジーナに小さく折られた紙を渡す。
「これは?」
「出来れば、中を見ないで送ってください。」
「畏まりました。
あ、それと公表は来月との事です。
王城に正式に報告がなされるとの事です。」
「うん、わかったわ。
それまでは素知らぬ顔をしておくわ。」
「はい、よろしくお願いします。」
ジーナが礼をする。
「私の方から以上です。
ご主人様、アリス様にご伝言はありますでしょうか。」
「ないわ。
パナ殿とコノハ殿が居るからこっちよりも安心だろうしね。」
レイラが言う。
「そうねぇ・・・タケオさんは来るだろうから良いとして、アリスにはお互いに元気に子供を産みましょう・・・かな?」
アルマが言う。
「アリスの子供も楽しみだ。」
ウィリアムが言う。
「手紙よろしくお願いします。」
エリカが言う。
「畏まりました。
では、本日はこれにて。
また、スミス様とお伺いいたします。」
ジーナが頭を下げる。
「うん、報告ご苦労様。」
「ジーナ、気を付けて帰りなさい。」
「ジーナちゃん、報告ありがとうね。」
「お気をつけて。」
第3皇子一家皆が労う。
「失礼いたしました。」
ジーナが第3皇子一家の執務室を退出するのだった。
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